無名家族/復讐の狼たち
 原題 ; 無名家族/FAMILY HONOR(1990)
 監督 ; ノーマン・ロウ
 脚本 ; バリー・ウォン
 音楽 ; 
 出演 ; ジョイ・ウォン、ウィルソン・ラム、ディック・ウェイ、シン・フイウォン、リチャード・ウン
裏社会の人間を親族に持つ刑事が、麻薬密売組織のボスと死闘を繰り広げる香港ノワール。
サイ刑事(ウィルソン・ラム)は裏社会を取り仕切るマダム・インの義理の息子だった。
クラブを経営する姉が引き抜いた新人ホーイエ(ジョイ・ウォン)をめぐって揉め事が起きるが、姉は怒鳴り込んできたライバル店の経営者を放り出してしまう。
兄のタオも近辺を仕切るヤクザだった。彼は刑事クーの親戚に高利で金を貸したため逆に脅されてしまう。
騒々しい家族の食事の後、二人きりになったサイはホーイエに悩みを打ち明ける。
自分を不幸だなどと思わないことね。みんなあなたを愛してる。ホーイエはサイを励ました。
サイは兄ともめているクー刑事と話をつけようとするが、うまくいかない。殴り合いとなり、ホーイエや姉たちの見ている前で最初はやられるが、なんとか勝つことが出来た。
クー刑事は報復に潜入捜査していたサイの相棒チョンをわざと誤認逮捕して暴行を加える。
おとりの正体がばれたためサイたちは急きょ麻薬密輸組織のアジトに踏み込み銃撃戦となる。仲間に負傷者を出しながらもボスのウェイ(ディック・ウェイ)逮捕に成功する。
だが、サイは取調べ中ウェイに殴られ逃げられてしまった。
嫌疑をかけられ取調べを受けるサイ。クー刑事がサイの家を家宅捜索すると5万ドルという大金が出てきた。
それは兄タオの金だった。これまで隠していたサイの親類関係がばれてしまう。
マダム・インは自分たちとの関係を深めないためサイを寄宿学校に入れ、タオとも関わるなと言ってきた。
サイは、そのことによって自分が愛されていないように感じていたのだ。
タオはサイのためにウェイを見つけ出す決意をする。
ホーイエをめぐってクーともめたタオの仲裁をしたサイは、成り行きでクーと酒を飲むことになる。
サイは一気飲みさせられて帰っていく。彼はクーのもとを逃げ出したホーイエと一夜を共にする。
一方、タオは強引にウェイの行方を追っていた。
起訴猶予となったサイはあらためてウェイを探し始める。その矢先、協力を誓ったチョンが闇討ちにあい、サイの目前でウェイに殺害されてしまう。
次にはタオがおびき出されて罠にはまり重傷を負う。
マダム・インは組の幹部と交渉、サイのウェイ逮捕に干渉しない約束を取りつける。
入院していたタオも死んだ。そこにウェイが国外に逃亡するという密告があった。密告の主はウェイが邪魔になった叔父貴だった。
サイは父フェイとともに武装して港に向かう。銃撃戦となり二人は次々と敵を倒していく。
敵に囲まれたサイ。そこに小型トラックでホーイエが突っ込みサイを救出した。
フェイはウェイの部下を倒したが負傷してしまう。
一人残った部下とともに逃げるウェイをサイは倉庫に追いつめる。
荷物の下敷きにされるサイ。助けようとしたホーイエに斧を持った手下が襲いかかる。ホーイエはマシンガンで倒した。
ホーイエがウェイに捕まってしまう。銃を捨てたサイにウェイがナイフで斬りつける。
戦いになりホーイエは階下に落とされた。かなわないとみたサイは飛びついてウェイもろとも落下する。
サイは頭を打ちつけて即死。ホーイエは銃をひろい、命乞いするウェイを射殺した。
駆けつけた警官隊にホーイエは投降するのだった。
ギャングを親族に持つ警察官が主人公という設定のポリス・アクションって、なんだか良く見る気がする。
結末はなんとも救いがないが、バリー・ウォンが脚本を担当しており、それなりにまとまっている。
主人公はあっさり死んじゃうし、あんまり良いところがなくてノワールのヒーローとしては物足りない。
出番は少ないが、その分ジョイ・ウォンは儲け役になっている。