原題 ; LE MORT QUI TUE(1913)
 監督 ; ルイ・フイヤード
 脚本 ; ルイ・フイヤード
 音楽 ; 
 出演 ;ルネ・ナヴァール、エドモン・ブレオン、ジョルジュ・メルシオール、アンドレ・リュゲ
ファントマ・シリーズ第3作。他の作品は1時間前後なのだが、本作のみ1時間半強の上映時間となっている。
ストーリーも多少複雑になっているが、今見て特に鮮やかというほどではない。
ファントマ(ルネ・ナヴァール)はベルサム邸を爆破、ファンドール(ジョルジュ・メルシオール)は奇跡的に軽傷ですんだが、ジューヴ警部(エドモン・ブレオン)は見つからなかった。
裏では闇商売もしている古物商トゥールーシュの店にグラナジュールという間抜けな男が雇われた。
その店の常連にはファントマの手下で刑務所の看守ニベールもいた。トゥールーシュもまたファントマの手先なのである。
店の地下道はセーヌ川までつながる犯罪のルートとなっていた。
陶芸画家の青年ジャック・ドロンはモンマルトルのアトリエでファントマに襲われ、眠らされてしまう。
翌朝やって来た家政婦はドロンと、見知らぬ女性を見つけ警察を呼ぶ。ドロンは目を覚ますが、女は死んでいた。
死体はドロンの知り合いヴィブレー男爵夫人だった。
警察はドロンを容疑者として逮捕。彼は殺人容疑で起訴された。
警視庁の鑑識課はドロンの指紋を調べる。
ドロンは最高裁判所の留置場に入れられる。看守のニベールが彼を襲う。
ファンドールは、ドロンが独房で絞殺されたという情報を得て取材を開始する。
ドロンの妹、エリザベットが兄の死を知らず面会を申し込んできた。
ドロンの死体は独房から消失していた。
ファンドールはエリザベットを励まし、謎の究明にかかる。
帰宅したエリザベットには、兄が殺人を犯したと信じられない。彼女は謎めいたメモを見つける。
ドロンの死体は裁判所の地下水路に運ばれていた。ファントマは死体にナイフをむける。
ファンドールに危険を知らせる警告状が届く。
夜になって死体をどうやって消したのか調べるため、ファンドールは裁判所に忍び込む。
グラナジュールは店の屋根裏部屋に住み込んでいた。天窓からは裁判所の屋根が見える。彼は煙突から裁判所に入るファンドールを見つけた。
トゥールーシュの店にニベールがやって来た。積荷が着くという報せを持って来たのだ。
グラナジュールがニベールとともに地下を進んでいると、ファンドールも姿を現す。
ニベールは後ろからファンドールを刺し殺そうとする。間一髪、グラナジュールがファンドールをセーヌ川に突き落とした。
大富豪トメリーは、公女ソニア・ダニドフとの婚約パーティーを開催した。客には銀行頭取のナントゥイユもいた。
公女と踊ったナントゥイユは、わざと引っかけてドレスをほころびさせ、つくろっている彼女を背後から襲って宝石首飾りを奪う。
ナントゥイユの正体はファントマだった。彼は表で待つニベールに首飾りを渡す。
パーティーには警視庁のアバール刑事が派遣されていた。彼は公女の首筋に指紋が残されているのを見つける。
指紋は鑑識に回された。その結果、指紋はドロンのものだと判明する。
ナントゥイユことファントマにベルサム卿夫人が面会する。ファントマは首飾りの真珠二粒をトメリーに届けるよう命じた。
トメリーは盗まれた首飾りを買い戻そうと考える。彼は指定の場所に赴き、ベルサム卿夫人に導かれて一軒のビルに着く。
そのビルの中にはファントマの手下が待ち構えており、トメリーに襲いかかる。
エリザベットは兄が残したメモが事件を解く鍵になるのではないかと推理して、メモをインク取りに隠す。彼女はファンドールにメモを渡そうと手紙を書く。
だが、その手紙を家主に見られてしまった。
真夜中になると家主は黒衣に黒覆面のファントマをエリザベットの部屋に案内する。彼女を睡眠薬で眠らせ、家捜しをする二人。
メモを見つけることができなかったファントマは、ガス自殺にみせかけてエリザベットを殺害しようとする。
エリザベットの手紙を受け取ったファンドールは早速下宿屋に向かう。彼はエリザベットの部屋からガスの臭いがすることに気づく。
発見が早かったためエリザベットは意識を取り戻す。ファンドールは彼女を修道院にかくまう。
ファンドールは下宿屋に忍び込んでメモを入手する。そのメモに書かれた名前と日付は一連の事件と一致していた。
そこにデュラックという刑事が部下を引き連れて部屋を捜索に来る。ファントマがニセ刑事を送り込んで再びメモを取り戻そうとしたのだ。一味は行李(こうり)
一杯の書類を持ち出していく。
どうやったのか行李にはファンドールが忍んでいた。ファントマのアジトで抜け出した彼はトメリーの死体を発見する。
事件はメモの日付通り起こっていた。メモの最後はナントゥイユだった。
ファンドールにグラナジュールが接触する。彼こそ生きていたジューヴ警部の変装だった。
ナントゥイユは暴落したトメリー関連株を買いあさっていた。価格が上昇したときに売りぬけて姿をくらまそうという計画なのだ。
ジューヴとファンドールはナントゥイユを訪問する。ナントゥイユは手袋のようにドロンの手の皮を付けて行動し指紋を偽っていたのだ。
だが、逮捕の寸前、ファントマは壁の隠し通路に姿を消したのだった。
グラナジェールの正体がジューヴというのは最初から見当がついてしまう。
せめて中盤ファンドールを助けたあたりで正体を明らかにしたほうが良かった気がする。ラストまで引っ張っているため、かえって底が浅く感じられてしまう。
指紋のトリックは当時としては斬新なアイデアだったのかもしれないが、あまり効果的に描かれていない。
3作目からなぜかジューヴ警部の出番が減ってくる。特に4作目以降のジューヴ警部は少ない出番でドジをふむオマヌケキャラと化してしまうのが情けない。
ファントマの逆襲