原題 ; FANTOMAS CONTRE FANTOMAS(1914) |
監督 ; ルイ・フイヤード |
脚本 ; ルイ・フイヤード |
音楽 ; |
出演 ;ルネ・ナヴァール、エドモン・ブレオン、ジョルジュ・メルシオール、アンドレ・リュゲ |
ファントマ・シリーズ第4作。ファントマが逮捕されず、ジューヴ警部が投獄される珍編。 ジューヴ警部がファントマを取り逃がしたためマスコミは警察を非難。ジューヴ=ファントマ説まで飛び出した。 検事総長はいきなりジューヴ逮捕命令を下し、彼を拘束する。 その情報を聞いたファンドールはジューヴの無実を証明しようと決意、警察の追及を避けて身を隠す。 実業家モッシュを集金人が訪れる。その集金人は上階のポレ氏も集金しようとして襲われる。 不審な物音に様子を見に行ったモッシュは集金人が倒れているのを見つけ、とっさにカバンを奪い返す。 部屋に戻ったモッシュは来客を応対、ポレ夫妻が現われても動じない。山分けにすれば死体を始末してやると持ちかける。 集金会社はアメリカの探偵トム・ボブに集金人の捜索を依頼した。 モッシュが所有するアパートの工事現場から、壁に塗り込められた集金人の死体が発見される。見つけ出したのはトム・ボブだった。 今は再婚してアレクサンドリア大公女となったベルサム卿夫人をトム・ボブを名乗ったファントマが訪れる。 ファントマは大公女に、ファントマに対して5000フランの懸賞金をかける文書を書かせる。 大公女が仮面舞踏会を開くことを知ったファンドールはファントマの扮装で乗り込んでいく。 一方、ジューヴがファントマであるという確証を得られない警視庁も、刑事にファントマの扮装をさせて舞踏会に参加する。 そこに本物のファントマも自分の装束で登場。 警察のファントマは本物に殺害されてしまう。ファンドールが死体を見つけるが、追われている立場上通報はできない。 死体が発見され、警察は舞踏会場を閉鎖して捜査を開始。だが、ファントマはすでに逃げ去っていた。 犯人は右腕に負傷していたとの情報から、警察は留置中のジューヴを取り調べようとする。 ジューヴは眠らされており、腕に傷を負っていた。だが、留置場から抜け出た形跡はない。 ジューヴに出された飲み物に麻薬が仕込んであった。看守を集めて取り調べる。 その中にファントマの手先ニベールがいることをジューヴは見逃さなかった。 ニベールは麻薬と血の付いたナイフを持っていた。こうしてジューヴの無実が立証される。 ファンドールはパリ郊外でファントマの隠れ家になりそうな場所を回っていた。彼はモッシュに分け前を要求する手下たちの現場に遭遇する。 モッシュは、ファントマが今留置場にいて出たら支払うというニセ手紙で手下どもを追い返す。 ファンドールはモッシュを尾行、床下に金庫を隠すのを目撃する。 ジューヴに復帰の命令が下った。ところがジューヴは警視庁新建て屋の工事人に化けたファントマの手下にさらわれてしまう。 ジューヴをファントマと思い込んだ手下が、早く分け前を手に入れるため仕組んだのだ。 アジトの所轄署にトム・ボブが現われ、ファントマの隠れ家を見つけたという。 ファンドールの張り込むアジトにジューヴが連れ込まれる。分け前を要求する手下ども。 樽(たる)に隠れたファンドールは、こっそりジューヴに金庫の隠し場所を教える。 ジューヴはファントマのフリをして金庫を取り出す。 そこに警察がやってきたが、ジューヴは変装した仲間だとごまかした。ノコノコ出て行った手下どもは一網打尽。喜ぶジューヴとファンドール。 トム・ボブの姿は消えていた。ジューヴはトム・ボブもモッシュもファントマの変装で、分け前を踏み倒すために手下を逮捕させる計画をたてたことを見破る。 ファントマは大公女を襲い、賞金として用意された金を奪おうとする。それを見抜いたジューヴとファンドールが張り込んでいた。 両脇から腕をつかみファントマを連行する二人。だが、二人は小道の両側に掘られた落とし穴にはまってしまう。 ファントマは悠々と逃亡するのだった。 二人同時に穴に落ちるラストは、なんだかドリフのコントみたいに見えた。シリアスな犯罪ドラマのクライマックスとは思えないが、サイレント時代はこの程度で通用したのだろうか。 世間の噂だけでジューヴ警部が逮捕される無謀な展開。というわけで今回もジューヴはあまり活躍しない。 3人のファントマが登場する仮面舞踏会の場面なんか、もう少し脚本をひねれば面白くなった気がして残念。 探偵がファントマというのは良いのだが、本物の探偵がどうなったのかは謎。企業が捜査を依頼するくらいなので、それなりに名の知られた探偵なのだと思うが。 メインとなる犯罪が手下を逮捕させて分け前を踏み倒すこと、というのはかなり情けない。この金に目のくらんだセコい悪党ぶりが、怪盗紳士アルセーヌ・ルパンと違って後世に名を残せなかった原因かもしれない。 |