原題 ; FEAR NO EVIL(1981)
 監督 ; フランク・ラロギア
 脚本 ; フランク・ラロギア
 音楽 ; フランク・ラロギア、デヴィッド・スピア
 出演 ; ステファン・アーングリム、エリザベス・ホフマン、キャスリーン・ロウ・マッカレン
堕天使ルシファーと3大天使の闘いを描くホラー。
人間に転生した堕天使ルシファーを滅ぼすため大天使ミカエル、ガブリエル、ラファエルが地上に派遣された。
ラファエルはデイモン神父に、ミカエルはその妹マーガレットに転生したが、ガブリエルは行方不明だった。
デイモン神父は単身ルシファーの転生ボナモの古城ローレンスに乗り込み、ルシファーを倒す。しかし3天使が揃わねば真に聖務を果たすことはできない。
同時期に洗礼を受けていたアンドリューは突然血を流す。以後、彼の家族は諍(いさか)いが続き、家は寂れていった。
18年が経った。アンドリューの誕生日、父親がケーキをひっくり返したことから夫婦ゲンカが始まり、転倒した母親の頭にアイロンが落下する事故がおきてしまう。
しかしアンドリューは学業では抜群で、高校では開校以来の秀才といわれている。
デイモン神父はルシファーとの対決を殺人罪に問われ刑務所で獄死していた。殺人犯の妹とされているマーガレットは、ガブリエルの出現を待ち続けていた。
アンドリューの母親は事故以来廃人同様になっていた。
古城ローレンスは建設主ボナモが発狂し多くの人夫が行方不明となっっていた。アンドリューは、この古城の再建を夢見ている。
アンドリューは劣等性のトニーににらまれていた。トニーはシャワールームで中性的なアンドリューにキスするというセクハラをする。
マーガレットは教会を訪れ、デイリイ神父に真実を打ち明ける。だがデイリイ神父には理解できず、マーガレットが自分たちの殺人を認めたくないだけだと考えていた。
アンドリュ−の同級生ジュリーは彼に抱かれる夢を見る。起きると背中には引っかき傷ができていた。
体育の授業に遅刻したアンドリューは腕立て伏せをさせられる。きれた彼の目が金色に光り、激昂した体育教師の投げた球でジュリーのボーイフレンドが死んでしまう。
マーガレットが兄の墓前で祈りを捧げていると木の枝が落下してくる。
ジュリーは牢屋でリンチにあうデイモン神父の幻覚に襲われていた。
ジュリーは声に導かれ真夜中にマーガレットの家を訪れる。マーガレットはジュリーがガブリエルの転生だと気づく。
アンドリューは納屋で犬を殺して血を飲み反キリストの儀式を行う。
地元では毎年屋外ステージを組んで上演される宗教劇の準備が始まっていた。
凶事が怒ると兄の予言を聞いたマーガレットは上演の中止を求めるが相手にされない。
アンドリューの父親は酒場で「息子は悪魔だ」と騒いで取り押さえられる。
その頃、ローレンス城ではアンドリューが地中からゾンビを出現させていた。
アンドリューの父親は拳銃で妻を射殺する。
ボートを借りてローレンス城に乗り込もうとしたマーガレットとジュリーは、ジュリーの捜索手配が出ていたため警察に逮捕されてしまった。
ローレンス城に繰り出してパーティーをしていたトニーたちはゾンビの襲撃を受ける。
演劇がキリスト磔の場面になり、役者が本当に血を噴き出して息絶えてしまう。会場はパニックとなる。逃げまどう観衆に落雷が襲う。
パトカーは現場に急行。どさくさまぎれにマーガレットとジュリーは脱走する。
ゾンビに襲われ恋人を見捨てて逃げるトニー。乗ってきたボートも沈められていた。
城の中に逃げ込んだトニーはなぜか胸がふくらんでいた。彼はアンドリューの目前で自分の胸を刺して死ぬ。
アンドリューは最後に残ったブレンダを祭壇で刺し殺す。
ようやく到着したマーガレットとジュリーは十字架の杓を手にアンドリューを追いつめた。アンドリューは死んだボーイフレンドに姿を変えてジュリーを惑わせようとする。
アンドリューの手を取り自分の胸に当てて祈りを捧げるマーガレット。マーガレットの首を折って殺したアンドリューは、変身してルシファーの正体を現す。
ジュリーは輝きだした十字架の光をルシファーに当てる。その時、ジュリーにミカエルとラファエルの姿が重なっっていく。
ついにルシファーは光を発して滅びたのだった。
クライマックスは妙にあっけない。
「オーメン」シリーズの影響を受けた作品と思うが、堕天使ルシファーと三大天使の闘いというテーマは着想としてなかなか面白い。
ただし、そのスケール感ある設定と、低予算な中身とのギャップがはなはだしい。
この内容だったら地元に棲む魔女の末裔(まつえい)と霊能者の闘いくらいにしておいたほうが説得力があったかもしれない。
ルシファーが何を企んでいるのかも、よく分からずに終わってしまう。
ホラー映画としての見せ場も少なく、終盤におけるゾンビ出現が最大の見せ場か。
いっそ古城におけるゾンビの襲撃をメインにオーソドックスなB級ホラーに徹するか、とことん見せ場をけずって観念的なカルト作品を目指すかすれば、もう少し評価が上がったような気がする。
アンドリュー役のステファン・アーングリムは、「巨人の惑星」のレギュラー出演を始めとしてテレビを中心に活動、映画では大部屋クラスのようで、近年ではテレビ実写版「ゲド戦記」や「ザ・フォッグ」に端役出演したらしい。
ヒロイン役のキャスリーン・ロウ・マッカレンは、アングルによってはミック・ジャガー似に見える濃い顔立ちで大天使の転生に見えないのが残念。
魔界からの逆襲