年度 ; (1997)
 監督 ; 猪股隆一、大谷太郎、長沼誠
 脚本 ; 橋本以蔵、野尻靖之
 音楽 ; 朝本浩文、渡辺省二郎
 出演 ; ともさかりえ、鈴木紗理奈、篠原ともえ、遠藤久美子、知念里奈、唐渡亮
トラップ1
トラップ2
トラップ3
トラップ4
トラップ5
トラップ6
トラップ7
トラップ8
トラップ9
トラップ10
ファイナル・トラップ
当時人気のあったアイドル女優をそろえて制作されたサスペンス・アクション・シリーズ。デビュー間もない深田恭子も初々しい姿を見さえている。
MOON CHILDによる主題歌「ESCAPE」もスマッシュ・ヒットとなった。

トラップ1
関東女子刑務所、服役中のナナカ(鈴木紗理奈)とマドカ(知念里奈)のチームがケンカを始める。
これは作戦で騒動に乗じてカヨ(篠原ともえ)、イヅミ(遠藤久美子)とともに脱走しようというのだ。
パソコンの得意なカヨがハッキングして刑務所のシステムを操作する。
パソコンのバッテリーが切れたとき、エリ(榎本加奈子)がバッテリーを持って仲間に加わって来た。
遠隔操作で火災を起こし、停電を誘発させて電子錠を開ける計画だ。
5人を見つけた女看守たちが迫ってくる。その時、送電が止まり電子錠が解除された。
建物を出た5人は護送車を奪って、門に体当たりさせ破壊、脱走に成功する。
ナナカは裏切った男を刺し殺して投獄された。イヅミは義理の母親を殺した弟の罪をかぶって有罪となった。
検問を突破した5人はパトカーと白バイの追跡をうける。
マドカは自分を犯そうとした仲間を殺して捕まっていた。
一旦は警察の追跡を振り切ったが、先は崖っぷちだった。追ってきたパトカーが横転、炎上してしまう。
そこにもう一台のパトカーが走って来た。降りてきた男(唐渡亮)は五人を雌犬と呼ぶ。
窃盗犯のエリはパトカーが偽のナンバーであることを見抜く。
男は自分に服従すれば助けるという。
カヨの罪状はハッキングによる詐欺横領。
だが、男は中学時代イジメにあっていたカヨが、いじめのリーダーを走って来たバスの前に後ろから突き倒し死なせたことを知っていた。
「お前らは、ここで死ななければ行き場はない」男は護送車を崖から墜落させた。炎上する護送車。5人の死を偽装するためだ。って死体はなくていいのか。
一方、留置場にいたアサミ(ともさかりえ)は地元の有力者である父親代わりの越山(細川俊之)の力で釈放される。
刑務所の警備システムを請け負っていたのは東邦セキュリティーシステム。社長は代議士でもある早乙女(篠井英介)。彼は刑務所警備システムの担当者を処分する。
五人が連れてこられたのは地下のライブハウス跡。
男は五人に清徳学園に潜入して単位売買の証拠を掴むよう命じる。
首謀格は事務長の稲田(嶋田久作)と愛人で同僚の信子(石井苗子)。さらに早乙女がからんでいるらしい。
男は清徳学園に転入が決まった安藤陽子を誘拐していた。イヅミが陽子として入学し、ナナカが事務員として潜入する。
マドカとエリは二人のどちらかが死んだときのために清掃員として学園に潜り込む。
アサミの父親代わりの越山は、清徳学園の学園長だった。
イヅミは稲田が図書館の本に暗号を書き込んでいるのを見つける。
解読して単位を買おうとしている生徒を尾行。アサミが金を受け取っているところを目撃する。
イヅミは自分も単位が買いたいとアサミに申し入れた。
翌日、単位を買った生徒、堤が屋上から突き落とされて死ぬ。単位売買の裏には、さらに別な何かあるようだ。
事務長室の中には赤外線レーザーの警報装置が仕掛けられている。ナナカはカメラを仕掛けた。
稲田の裏には早乙女がいた。刑務所の担当者は交通事故で死んでいた。無用な者は消去だ、と早乙女は言う。
カヨがニセ電話で稲田を受付に呼び出す。ナナカはカメラのビデオを再生してパスワードを見つけた。
ナナカはカヨの指示を受けて鏡でレーザーを反射。事務長のパソコンに辿り着く。
ついにデータを表示させたがフロッピーディスクを忘れていた。カヨはデータを自分のパソコンに転送させる。
そこに入って来たのはアサミだった。アサミはパソコンの電源を切るが、データは転送を終了していた。
データを盗まれ腹を立てた越山は、アサミをぶん殴る。完全に八つ当たり。
越山に犯人を突きとめて抹殺することを命じられたアサミは、ナナカを縛り上げて首謀者を聞き出そうとする。
そこにイヅミから電話がかかって来た。アサミはナナカを助けたければ、奪ったデータを持って来いと言う。
動揺する四人。ナナカはお前らだけでも夢をかなえろと叫ぶ。
四人はナナカを助けるために動き出した。
イヅミとエリがデータを受け渡すと同時に、マドカとカヨが監禁場所に踏み込む。
時間を過ぎてしまったが爆発は起こらなかった。アサミにナナカを殺す気はなかったのだ。
越山は電話を逆探知して五人を操る男が淀橋と言う名だと調べ出す。越山はアサミに拳銃を渡し、今日中に全員抹殺するように命じる。
淀橋には車椅子の身でリハビリ中の妹、カナエ(深田恭子)がいた。
越山はデータを10億で買うと淀橋を学園に呼び寄せる。アサミが指示された場所に行くと稲田が額を撃たれて死んでいた。
そこに現れた淀橋は、アサミに手を組もうと申し出る。アサミが渡された銃は、稲田を撃ったものだ。越山はアサミに罪をなすりつけようと企んでいる。
淀橋はアサミに秘密を教える。越山は警備員だったアサミの父親を殺した犯人だった。アサミの保護者になったのは口封じのためである。
当時、越山は4人の仲間と犯罪に関係していた。そのことを知るアサミの父親を殺したのだ。
アサミは拳銃を自分のこめかみに当て引き金を引く。
血を吹き出させて倒れこむアサミ。その姿をモニターで監視していた越山と信子が見つめていた。
トラップ2
イヅミとエリが渡したデータは偽物だった。
信子はアサミの幽霊に脅かされていた。彼女は越山の愛人で、稲田殺しの実行犯である。
越山は罪悪感が生んだ幻覚だというが、信子はアサミの霊に「お前なんか越山に捨てられる」と脅される。
清徳学園では単位売買以上の犯罪が行われている。稲田はその口封じで殺されたのだ。
淀橋は、その犯罪が何かを探り出すよう五人に命じる。彼はアサミのホログラムを使って信子を追いこもうとしていた。
アサミを殺したのは淀橋に違いないと思い込んだマドカは脱走をもくろみ、パソコンから安藤陽子の口座を操作して5千万円を盗んだ。
エリの知っている密航組織の要求額は一人1千万円。全員が逃げられる金額だ。
カヨとイヅミにメッセージを残して、マドカ、ナナカ、エリが密航組織に接触する。
淀橋はメンバーに盗聴器を仕掛けていた。
目隠しをされたマドカたちは奇妙な部屋に連れ込まれる。写真を撮ると即座にパスポートが仕上がってきた。
パスポートの名義は先日死んだ堤だった。ナナカはこの場所が清徳学園であることに気づく。
そこに銃を構えた信子が現れる。安藤陽子の口座は学園が作った罠だったのだ。
学園内を調べていたイヅミも見つかってしまう。とっさに火災警報を鳴らす。
気を取られたすきにマドカが銃を握る信子の手を蹴りあげて脱出。
車を奪ったが、トラックの体当たりを受けて横転してしまう。
越山のもう一つのビジネスはパスポート偽造と分かった。
淀橋はカヨに命じて学園のデータベースに侵入させ、アサミのデータを書き直させる。
学園に香港からアメリカに逃亡しようとしている女が現れた。学園が偽造したパスポートの旅券番号が違ったため、チケットが買えなかったというのだ。
カヨによるデータ改ざんの効果である。
そこにアサミのホログラムが現れ、越山には新しい女ができた、お前は捨てられる、と信子を脅す。
ホログラムに銃を乱射する信子。弾丸を撃ちつくしたとき、本物のアサミが現れる。
アサミの自殺は防犯カメラに細工しての偽装だった。越山たちが死んだアサミのデータを使うことを見越して罠を仕掛けたのである。
アサミは香港の女を誘拐した。
早乙女は捕らえた四人を使ってトラブルを解決するよう越山に命ずる。
カヨは香港の女と4人の交換を越山に連絡した。
受け渡し場所に来た香港の女はアサミの変装だった。越山にナイフを突きつけ4人を助け出そうとする。
4人は冷凍庫の中で縛られていた。アサミとカヨも閉じ込められてしまう。
エリは怪我をして、ひどく出血していた。アサミは香港の女の居場所と交換に越山と交渉する。
だが、越山はすでに女の居場所を突き止め殺していた。
六人の中に裏切者がいるというのだ。疑心暗鬼に陥る五人。アサミだけは、もともと他人を信用しないと平然としている。
エリが告白を始める。彼女は父親を階段から突き落とした過去があった。父親は寝たきりになり、多額の借金を抱え込んだ。
早乙女は父親を保険金殺人の犠牲にしたくなければ言う通りにしろと脅してエリを裏切らせたのだ。
死を覚悟する五人。アサミが皆を起こし続けようとする。
アサミは冷凍ガスを爆発させて脱出することを思いつく。皆でパイプに穴を開け、コンテナに隠れて爆発させる。
うまく壁に穴が空き、外に出ることができた。
そこに一台の乗用車が突っ込んできて、エリが跳ね飛ばされてしまった。エリは皆で南の島に逃げる夢を話し死んでいく。
残った五人はエリを車とともに火葬にする。
アサミはすべての過去を消して生き直す道を選んだ。
淀橋は信子を脅して裏切らせる作戦に出る。信子の前に香港の女のホログラムを出現させ、越山の新しい愛人はアサミだと吹き込む。
カヨが越山に盗聴器を仕掛け、録音した言葉を編集、愛しているのはアサミだけで、信子は始末するという越山のセリフを作り上げる。
アサミが信子の前に現れて、用済みの女は始末されると脅す。
そこに越山からアサミへ電話が入る。受話器を取り上げた信子に、カヨがでっち上げた信子を始末するというセリフを聞かせる。
助かる道は先に越山の犯罪を暴露するしかない。話し始めた信子を越山が射殺した。
車で逃げようとした越山の眼前に死んだ者たちのホログラムが次々現れる。
ハンドルを切りそこね車はクラッシュ。観念した越山は淀橋たちに真実を話し始める。
犯罪者だった越山は、同姓同名の男を殺してなりすましたが、ある男に知られ、脅されて五人で銀行強盗をした。
その時、買収して利用したあとで殺したのが警備員をしていたアサミの父親だった。越山はその後も犯罪を重ね、その男に上がりを取られていたのだ。
だが、越山は早乙女の部下に連れ去られてしまうのだった。
トラップ3
早乙女が香港で黒社会の大物リー(加納典明)と密会した。
手がかりは表向きは高名な画家だが、実はリーの部下として闇物資のブローカーをしている中川(峰岸徹)。彼は毎年光林大学・藤沢キャンパスの梶山(清水章吾)にサイコセラピーを受けに行ている。
淀橋は、このキャンパスでなんらかの犯罪が企まれているとにらみ、ナナカを中川の行方不明の娘キミカにばけさせ、接触させることにする。
アサミとマドカは大学のスタッフとして潜入する命令を受けた。
セラピーには数十名が参加していた。登校拒否などで無理やり連れてこられた者もいる。
非協力的な参加者は病室に監禁された。
光林大学の理事長は黒沢和正(萩原流行)、福理事長はその妻、瑠璃(増田恵子)。
マドカがデータベースを調べると、5月開催のセミナーだけ死亡事故が発生していた。これは中川が参加している時期と合致している。
中川が到着。ナナカがわざと財布を盗んで見つかり、興味を引く。直後にアサミが中川に接近してナナカが有名な画家の父親と生き別れになっているのだと教える。
入手した中川の娘の写真を使って合成し、証拠写真をでっちあげる。写真を見た中川はびっくり、ナナカを娘のキミカと思い込む。
だが、中年男に弱いナナカは、中川に惹かれ始めていた。
自分が犯罪者と知られたくない中川は睡眠薬で眠らせ、犯行に出る。
翌朝、病室に隔離されていた基子の姿が消え、梶山はセラピーを終えて帰宅したと説明する。
テレビでは富士山中で若い女性の変死体が見つかったというニュースが流れた。
アサミはもう一人監禁されているメグミを助け出す決心をする。
淀橋はイヅミを患者として送り込む。
淀橋を監視していたアサミは彼の妹カナエの存在を知る。
マドカに助け出され、メグミが病室から姿を消す。梶原は、新たに送り込まれたイヅミに目をつけた。
ナナカは中川にセミナーに対する不信感を訴えた。中川は、娘と思うナナカの言葉にうろたえる。
その様子を女幹部が見張っていた。
淀橋は早乙女の使いのふりをして女幹部たちと接触、ナナカを始末するよう命じる。
女幹部は屋上にいるナナカを襲い、ナイフで刺し殺す。
娘の遺体と対面した中川は泣き崩れる。アサミは偶然犯行現場をカメラで撮ったと、中川に女幹部がナナカを殺している写真を見せる。
中川は、女幹部たちは手先にすぎないと、黒幕の犯罪証拠が収まったマイクロチップをアサミに託す。
ナナカは防御用の皮膚を着込んでいて無事だった。起き上ったナナカは、早乙女を裏切った中川のことが心配でならない。
アサミはカナエと接触する。カナエは火事に巻き込まれて、車椅子の身となったのだったという。
ナナカは中川への思いに悩んでいた。そんな彼女にアサミはきつく態度を取る。
淀橋は、犯罪が世界の大物政治家に対する臓器売買であることを突きとめ、刑事のふりをして中川を尋問する。
娘の仇が取りたい一心の中川はおとり捜査に協力する約束をした。
淀橋はイヅミをエサに取引現場を盗聴し、早乙女の名を出させる計画を立てる。
アサミは、カナエの名を出して、自分以外を解放するよう淀橋に交渉する。いつもは冷静な淀橋が取り乱し、妹に話したら殺すと逆に脅すのだった。
リーたちは取引現場の別荘まで、カモフラージュのため自分の車をトレーラーに積んで移動することになっていた。淀橋はトレーラーを奪ってリーの車を乗せ、別荘へと向かう。
ナナカは中川の部屋に行くが、すでに出た後だった。そこに何者かが現れる。
別荘では取引が始まり、イヅミが解剖されようとしていた。
その頃。ナナカを捕えた女幹部と梶原が別荘に向かっていた。
医者を電気ショックで眠らせ、中川が手術に失敗して臓器が使えなくなったとリーに報告する。
あわてたリーは早乙女と連絡を取り、事後処理の指示を受けようとする。早乙女はリーを切り捨てた。
女幹部たちが別荘にナナカを連れてきた。中川はトリックの真相を知らされる。
詰め寄るリーに、中川は自分で落とし前をつけるとリーから銃を受け取った。
中川が撃ったのは女幹部だった。リーが中川を撃つ。
その時、カヨの操作で電気が落ちた。四方の壁が開く。部屋は別荘ではなく、倉庫内のセットだった。スモークが噴出し、ナナカと中川を救出して逃走する。
中川は光林大学の理事長、黒沢が偽物であることを告げて息を引き取る。
仲間を裏切って中川と逃げる決心をしていたナナカは泣き崩れるのだった。
トラップ4
黒沢理事長は光林大学に多額の予算をかけた研究棟を持っていた。
潜入したナナカは黒沢に研究棟を案内され、隠し撮りをする。
最新の機材をそろえた設備の中に、不釣り合いなアナログレコード・プレイヤーが置かれていることが不思議だった。
カヨが黒沢のデータと比較した結果、血液型、顔の骨格、ともに本人と一致した。
しかしリサイタルで黒沢のピアノ演奏を聞いたイヅミは、それがCD音源だったことを聞きわけ、彼が偽物であることを見抜いていた。
マドカは研究棟の見取り図を入手する。警戒厳重で通常の出入り口からは侵入は不可能と思えた。
瑠璃は、イヅミが事故で死んだ娘のカスミの特徴を完全にコピーしてピアノを弾いているのを聞きつけ驚く。
その夜、アサミはロープで壁をよじ登り、天窓のガラスを切って侵入に成功。マドカとイヅミを引き入れる。
マドカが研究棟のコンピューターからデータを送信しようとするがロックされていた。
侵入がばれ、マドカが捕まってしまう。イヅミは逃走途中に皮膚の腫れあがった患者を目撃する。
黒沢に催眠術をかけられたマドカは知っていることを話してしまう。マドカは淀橋を殺すよう暗示をかけられて解放される。
カヨは戻ったマドカの態度がおかしいことを不審に思う。
瑠璃に接近するためピアノを弾いたイヅミに過去の記憶がよみがえる。実の母親を亡くしたイヅミは、有名ピアニストのコピーはうまいがオリジナリティに欠ける演奏を継母に罵倒され手を傷つけられた。
その様子を見ていた幼い弟が継母を刺し殺してしまったのだ。
大学の警備主任(石井愃一)はイヅミの存在に目をつけていた。
イヅミは、黒沢が偽物と見破られるのを恐れてカスミを殺したのではないかという疑惑を瑠璃にぶつける。娘の死にショックを受けた瑠璃が夫の真実を見ようとしなかったのではないかと。
目的はカビ研究の第一人者である瑠璃の知識と思えた。だが、イヅミは警備主任たちに取り押さえられてしまう。
黒沢はイヅミをカビの人体実験に使おうとする。
マドカは淀橋のパソコン・データを盗んで逃走した。
一方、カナエは肺炎を起こして危険な状態に陥っていた。それを知ったアサミは病室に行きカナエの手を握りしめる。
マドカが盗んだデータには黒沢の個人情報が含まれていた。そのデータには黒沢の肺からカビの胞子が採取されたとあった。
自分が細菌兵器に侵されているかもしれないというデータに、黒沢はショックを受ける。
それはマドカの洗脳を見破った淀橋が仕組んだニセ情報だった。
翌朝、カナエは峠を越え、快方に向かう。
アサミは検体をすり替え、黒沢が菌に感染していると思い込ませる。
瑠璃が黒沢の手術を手配する。淀橋はその電話回線を奪って医師として乗り込む。
瑠璃に偽物と見破られた黒沢は、大学で細菌兵器の大量殺戮テストを開始しようと企む。
イヅミは手錠の鍵を奪って自由になったが、研究棟のブースに閉じ込められた瑠璃を助け出すことはできなかった。
錯乱した黒沢は本物の死体を埋めた場所まで告白して逃亡しようとする。
研究棟のコンピュータはアナログレコードで流れるカスミのピアノ演奏音で制御されていた。イヅミは自分の演奏でコンピューターを止め、瑠璃を助けようとする。
マドカが淀橋に襲いかかった。アサミとナナカに斬りつけ、淀橋の胸にナイフを突き立てた。
イヅミはシステム停止に成功した。
早乙女に見捨てられた黒沢は、やけを起こして学校内に殺人菌をばらまこうとスイッチを押す。
だが、すでにシステムは停止しており、スイッチを押しても作動しない。
淀橋も前回のナナカと同じトリックで無事だった。マドカの洗脳を安全に解くには、暗示を完遂させることが必要だったのだ。
淀橋はコンピューターコンピューターのデータをカヨの元に送信しようとする。しかし、早乙女がディスクにトラップを仕掛けていたためデータは消去されてしまうのだった。
トラップ5
光林大学に残された書類の中から、自動車窃盗に関するデータが見つかった。
淀橋は背後に早乙女がいるとにらんで、窃盗団潜入を命じる。
窃盗団はバイクに乗った少年の集団だった。マドカとアサミは窃盗団に加わることに成功する。
菅田ビルのとか駐車場一角が、盗難車置き場に指定されていた。ビル警備会社もグル。それは早乙女のセキュリティ会社だった。
ビルのオーナー菅田(石丸謙二郎)は保護司としても活動し、警察にコネを持つ名士である。
警察が監視カメラの映像を調査した結果、窃盗団は菅田が後見人をした及川ユキオとその仲間たちと判明。警察は張り込みを始めることを菅田に連絡した。
実は窃盗団の黒幕である菅田は、口封じのため窃盗団全員抹殺を計画する。
淀橋はコンピューター・シミュレーションで、菅田が整形を施した黒沢であることを突きとめた。
カヨは、執刀した整形医が闇医者、神崎省吾(鈴木清順)であると当たりをつける。
窃盗団の少年たちは鑑別所仲間だった。ユキオは金を貯めて仲間たちと外国の孤島で自由に暮らすことを夢見ている。
マドカに記憶がよみがえる。彼女の恋人は鑑別所上がり、勤務先で盗みの罪を着せられ、やけを起こして本当に売上を持ち出し、逃走途中に事故で死んだのだった。
菅田が黒沢であれば、ナナカたちの顔はばれている。それでも淀橋は作戦を続行する。
淀橋は少年たちが殺されたら、その証拠を押さえて早乙女に揺さぶりをかけると言い出す。
アサミは冷酷な淀橋に反発する。淀橋は、そんなアサミを見せしめのために痛めつけるのだった。
窃盗団のアジトを警察が包囲した。駆けつけた菅田は自ら説得すると警察をだまし、一人で乗り込む。
菅田は自分を人質にして逃亡するよう少年たちに命じる。
少年たちは停めてあったバンに乗り込み逃走。だが、バンはリモコン操作されていた。積まれたドラム缶に突っ込み爆発炎上する。アサミたちを含めて窃盗団全員が直前に脱出成功していた。
ユキオは今度こそ海外に逃げようと言い出す。イヅミは菅野の金を奪うことを提案。ナナカも皆と逃げることに乗り気になった。
淀橋は自ら菅田ビルに乗り込み、金を奪って早乙女に菅田を殺させる計画を立てる。
カヨは、淀橋より先にコンピューターをハッキングして電子マネーを奪うようアサミに指示した。
ユキオは早乙女の隠し子だった。早乙女が他のメンバーを皆殺しにしようとしていることを知ったユキオは、マドカに全てを話し皆を助けるため二人で逃げようと誘う。
だが、ユキオとマドカは早乙女の部下に捕まってしまう。ユキオが拷問され、耐えきれなかったマドカは、早乙女に従うことにする。
淀橋は神崎を訪ねる。神崎は整形手術の実験台にするため誘拐殺人を繰り返していた。淀橋はそのことをネタにゆすり、自分の顔を菅田に作り替えさせる。
手術の場面は整形ではなく、完全に特殊メイク。ゴムマスクをかぶって顔を変える。
淀橋は菅田になりすましてオフィスに乗り込む。
少年たちは菅田の手下に捕まってしまう。ただ一人逃げのびたマサキは、アサミたちにマドカが裏切ったらしいと伝える。
菅田より早くカヨが電子マネーを奪った。
早乙女は菅田が偽物であることを見抜く。
単身マドカを助け出すことを決意したアサミに、マサキは菅田ビルのパスカードを渡す。
早乙女の部下たちが菅田に化けた淀橋を射殺する。だが、それは二重にゴムマスクをかぶせられた菅田本人で、本物の淀橋はその様子を撮影していた。
アサミは秘書を人質に乗り込むが、早乙女はためらわずに秘書を撃ち殺す。
早乙女はアサミの父親をドブネズミ呼ばわりした。そこに廃人となった越山が連れて来られる。
アサミに記憶がよみがえった。父親が越山に殺されたとき、早乙女もいたのだ。
てめえこそクズだと思い知らせてやる、激昂したアサミは啖呵を切るが、背後から警備員に殴り倒されてしまう。
早乙女はアサミの顔を踏みつけ殺すという。そこに菅田が出張から帰ってきた。
早乙女は菅田にアサミとマドカ、そしてユキオを始末するよう命じる。
だが、この菅田こそ淀橋だった。
一方、早乙女も殺した淀橋が二重にマスクをかぶせられた本物の菅田であることに気づく。
地下駐車場で逃げようとしていた淀橋たちは、早乙女と武装した警備員に追いつめられてしまう。
15年近く前、5人の男が銀行を襲った。早乙女を首謀者に、越山、鹿島、津田、大屋というメンバーだった。
それに警備員をしていたアサミの父、滝川が買収されて協力したのである。
淀橋は、早乙女に裏切られて殺された鹿島の息子だった。早乙女と知り合って悪魔のようになった淀橋の父親は、保険金目当てに妻を殺し、淀橋も殺そうとしたのである。
マドカたちもまた早乙女に関係があるのだという。
ユキオは命乞いするふりをして早乙女に近づき銃を奪って人質に取り、マドカたちを逃がす。三人が車に乗り込むと同時に、ユキオは早乙女に射殺された。
少年たちは密航していった。だが、ナナカ、イヅミ、カヨの三人は仲間たちのために残っていた。
五人は早乙女との戦いを新たに誓うのだった。
トラップ6
次のターゲットはバブル期にブラックマネーを操って暗躍した三沢(上田耕一)。彼が闇社会に現れたのは早乙女たちの銀行強盗と同じ時期だった。
早速、三沢と、彼につながる川久保玲子(田中美奈子)について調査を開始。玲子は東西銀行の子会社社長。三沢は幾つもの画廊を持ち、絵画ブローカーとして活動していた。
今回はカヨが画廊に潜入することになった。
玲子には一枚だけこだわりのある絵があるらしく、三沢に捨てるように言う。
カヨは画廊で口元を怪我した子供を見かける。その少年は一枚の絵をずっと見つめていた。
画廊で盗難事件が発生する。被害総額は10億以上。画廊の警備は早乙女の会社が担当していた。
今回の犯罪は保険金詐欺である。
カヨは公園で先日の子供がいじめられているのを見つけてかばう。
石を振り上げて迫るいじめっ子を追い払ったのはアサミだった。アサミは戦う勇気ぐらい持てと少年に言う。
少年は「みんな殺してやる」とつぶやいて走り出す。その姿を昔の自分と重ね合わせたカヨは後を追う。
少年が落とした名札には三沢真とあった。マンションの部屋で真は時限発火装置をテストし、「絶対に許さない」とつぶやいていた。
淀橋は、曽根画伯幻の作品を三沢の元に持ち込む。三沢は、その絵を偽物と見抜いた。
カヨはいじめのリーダーを殺した過去を思い出し、このままでは真も自分と同じになってしまうと心配する。
淀橋は、真の母親は三沢に贋作を描かされていた美大生で、三沢が口封じのために結婚したが、去年自殺していた。淀橋は早乙女の指示で三沢が殺したとふんでいる。
負け犬のような奴は放っておけ。淀橋に怒鳴られたカヨは飛び出していく。
いじめっ子たちが理科室で遊んでいる。忍び込んだ真はガス栓を開け、発火装置を仕掛けた。
爆発は起こらなかった。カヨが停止させたのだ。
カナエが階段を落ちて症状が悪化し、手術が必要になる。1日でも早く歩けるようになりたくて無理をしたのだ。
金の出所を心配したカナエは手術を拒否する。淀橋はアサミがカナエに余計なことを言ったのではないかと勘ぐるが、アサミはそんなことはしていない。
淀橋は、新たに曽根画伯の傑作「摩天楼の涙」を入手したと三沢に連絡を入れる。
「摩天楼の涙」を買い取った三沢は、すぐに絵を画廊から運び出す。隠し場所は東西銀行の丸の内支店。
早速、ナナカが忍び込む。だが、絵の隠し場所を見つけることは出来なかった。
カヨは真に会いに行く。真は三沢が母親を殺したと思い込んでいた。
二人の様子を玲子が監視している。玲子は真の母親が絞め殺される現場にいたのだ。
玲子は真の母が描いた絵をカッターで切り刻む。そこに真とカヨが入ってきた。玲子は三沢の命令でやったのだと言い捨てる。
その絵を分析すると絵の下に銀行の見取り図が隠されていた。絵の保管場所が判明し、淀橋は絵を奪取する計画を立てる。
マドカが早乙女の動画を使って、三沢に絵の保管庫が保険調査員にばれ捜索が入るので絵を移し替えろというニセ指令を出す。
慌てた三沢はすぐに絵を警備員に移送させる。そのトラックを婦警に変装したアサミとナナカが停めた。
司令のとき、早乙女が警察のことをマッポと呼んでいたことに不信感を抱いた三沢は、早乙女に連絡を入れる。早乙女は香港に出張中だった。
罠に気づいた三沢はトラックの後を追う。検問中に淀橋がトラックを入れ替える。
トラックに追いついた三沢が絵を点検するが、暗がりのため偽物にすり替えられたことに気づかなかった。
三沢が画廊に入ると、盗まれたと偽って隠した絵が並べられている。淀橋は早乙女の罪を一人でかぶるのかと脅す。
三沢への復讐心にとりつかれた真は、三沢のオフィスに発火装置を仕掛けていた。
真を見つけたカヨが発火装置を取り上げる。三沢は二人が言い争うのを聞きつけた。
アサミは三沢に、玲子によって真が母を殺したのは三沢だと思い込まされていることを教える。
三沢は部下の男に撃たれた。玲子は三沢の監視役だったのだ。
玲子が真に銃口を向ける。三沢は真をかばって銃弾を受けた。
サイレンの音が近づき、玲子たちは他の者を撃たずに逃げだす。サイレンはカヨがリモコン操作で鳴らしたものだった。
三沢は15年前の銀行強盗に加わっていなかった。三沢は真に母親を守れなかったことを謝り、まっすぐ生きるように言う。
最後に五人組の一人が女であることを伝えて三沢は息を引き取った。
カヨのおかげで人殺しにならずにすんだと礼を言って真は引き取られていく。
そこに早乙女が現れた。もうお前たちの結末は用意されている、早乙女はアサミとカヨを脅して去って行くのだった。
トラップ7
東西銀行は川久保祐一郎(黒部進)が最高顧問、二男の明(宇梶剛士)が本店頭取、長女の百合子が第一支店支店長だが乗馬事故で半身不随、そして明の妻玲子が第二支店支店長だった。
五年前に玲子が明と結婚して以来、川久保家では祐一郎の妻、長男、三男が事故で立て続けに死んでいた。
淀橋は五人に玲子の調査を命じる。玲子の正体を知る可能性があるのはアメリカで画廊を共同経営し、一緒に帰国した実昌洋子ただ一人と思えた。
ナナカとマドカが雑誌取材を装って洋子に接近し、盗聴器を仕掛ける。
早速、洋子が玲子に金の無心をしていることが分かった。アサミとイヅミが受け渡し現場に行くと、洋子が男に殺されかけていた。男に脅された洋子は証拠が妹の和美のところにあると白状する。
二人は助けようとするが、洋子は何者かに狙撃されてしまう。
一方、玲子は淀橋に自分と組むように迫っていた。玲子は早乙女の地位と財産を狙っているのだ。
アサミは淀橋が玲子に協力を約束するのを見てしまう。誰を信じていいのか分からないアサミは悩む。
洋子のマンションには、彼女が強盗犯の一人、津田と撮った写真があった。
マドカが玲子のパーティに客として潜り込んだ。アサミはコックの一人として紛れ込んでいる。
アサミは玲子の部下に見知った女がいることに気づく。
玲子の隠し金庫を見つけたアサミは、その中に祐一郎の遺書が入っているのを見つけ写真に撮る。
逃げる途中、アサミは百合子の死体を見つけた。
マドカは玲子に取り入っていた。玲子は自分のドレスを譲ると言い出す。
アサミは淀橋の命令に背き、屋敷の捜索を続ける。彼女は玲子の贋作製造工房を見つけた。
命令違反に怒った淀橋は、カヨにアサミへのバックアップを打ち切らせる。そのためアサミは捕まってしまう。
先ほどアサミが出会った女は自分の母親だった。玲子は母親を人質にアサミに寝返るよう脅迫する。
仲間たちの元に戻ったアサミは悩む。母親を憎むマドカ、母親を懐かしむナナカ、カヨ。すでに母親を亡くしているイヅミはどんな母親でも生きていてさえくれていたらという。
和美の住所を探り当て、イヅミとマドカが向かう。だが、すでに和美も殺されていた。
玲子は自分の作ったニセ遺書に祐一郎のサインを入れ、東西銀行乗っ取りの準備を進める。
ナナカは明を説得しようとするが、彼は聞き入れない。
母親を逃がそうとしたアサミは再び玲子に捕まった。玲子はアサミに祐一郎殺害を指示する。
淀橋か母親か、選択を迫られたアサミは屋敷に淀橋に呼び寄せた。
玲子は淀橋に色仕掛けで迫るふりをして毒を盛る。動けなくなった淀橋を縛りあげ、ボートで運んで湖に投げ入れた。
アサミはその様子を双眼鏡で見ていた。
淀橋が行方不明になり、ナナカたちは作戦から撤退しようとする。だが、アサミは拒否して再び佐久間の屋敷に向かうのだった。
淀橋のデータを調べたカヨは、彼の妹カナエの存在を知る。
兄の行方不明を知らされたカナエは皆が何をしているか問いただす。カヨは淀橋が早乙女を恐喝しようとしていると口を滑らせてしまう。
玲子は自動車事故で川久保一族抹殺を図る。アサミにリモコンを操作させて車のアクセルとブレーキを制御し事故を起こさせるのだ。
マドカを自分の身代わりとして事故に遭わせて死なせ。後で自分が入れ替わって、一族ただ一人の生き残りに成りすます計画である。
当日、ナナカとイヅミはアサミの不審な行動に気づき止めようとする。だが、二人は早乙女の部下ニタドリに撃たれて負傷した。
アサミがリモコンを操作し、車は崖の下に落ちて炎上した。玲子は部下に自分の腕を折らせて事故での怪我を偽造する。
玲子は遺言書を持ち出して、東西銀行後継の会見を開く。その席上に祐一郎と明が淀橋とともに現れる。
淀橋は、玲子の正体が銀行強盗の一人津田ジュンであることを突きとめていた。
空港で母親はアサミを背後から刺し殺そうとする。だが、アサミはすべてを見抜いていた、攻撃をかわしマドカとともに母親に詰め寄る。
最初からアサミは裏切っていなかった。淀橋が縛られたときには、水に溶けるロープにすり替えていたのだ。
交通事故のときも途中で全員が車を降りて人形を乗せていた。(それって玲子がマドカの死体と入れ替わる時に、全部ばれると思う)
しかも玲子が東西銀行乗っ取りを宣言しているところがカメラに収められていた。
警官隊が突入し玲子は逮捕され、淀橋たちは一目散に逃げだしていく。
川久保の屋敷ではアサミ、イヅミと警備員隊が乱闘を始めていた。母親もナイフをかざして襲いかかる。
しかし、ニタドリが母親と警備員を射殺した。ニタドリはアサミの母親を愛しており、彼女に娘殺しだけはさせたくなかったのだという。
母親を失ったアサミは呆然とする。
川久保の屋敷にあった一枚の絵に謎が隠されているようだった。
淀橋は、アサミに母親が死んだときくらい感情を隠さなくてもいいという。うなずいたアサミは淀橋の胸で泣きはじめる。
その時、検察が動き出して東西銀行の経営陣に不正融資、乱脈経営のため逮捕状が出され、大株主の早乙女が新経営者に就任するとニュースが流れるのだった。
トラップ8
ナナカは会員クラブの売春婦に化けて、外人客の書類をフィルムに収める。見つかって追われると、現れたアサミがワイヤで男を絞め殺してしまう。
予定外の殺人にナナカは驚く。
淀橋の今回の作戦は、早乙女の犯罪仲間、人身売買組織のボス、ケーニッヒ、マネーロンダリングの専門家、佐原、密航組織のボス、チェンの3人が東京入りしたたので、動向を探るというものだった。
アサミはケーニッヒを殺したのは自分ではないという。だが、目の前で見たナナカは納得できない。
ケーニッヒが殺され佐原はビビっていた。レストランで食事中の佐原に、ウエイトレスに化けたマドカが盗聴器を仕掛ける。
突然現れたアサミが、バックアップ役のイヅミに襲いかかって通信機をいじったため、盗聴器がハウリングを起こし佐原にばれてしまう。
慌てて川に飛び込み逃げるマドカ。佐原は毒を盛られて死んだ。
岸に上がったマドカは、バイクで走り去るアサミと、男たちに車で連れ去られるイヅミを見た。
アサミは獄中の玲子と面会する。偽のアサミと玲子には、唇を舐めるという共通の癖があった。
淀橋はアサミをチームから追い出そうとする。ナナミたちは反対するが、テレビではアサミのモンタージュ写真が流れていた。
アサミは啖呵を切って出ていく。そんなアサミに、カヨは手作りのブローチを渡すのだった。
その頃、イヅミは睡眠時間を与えない拷問にかけられていた。淀橋は早乙女にイヅミとニタドリの交換を申し入れる。
同時に淀橋はナナカたちに行方不明のニタドリを探すよう命じた。
一人逃亡生活を続けるアサミ。一人ぼっちには馴れていたはずのアサミは、捨て犬とともに孤独に耐えていた。
カヨに貰ったブローチには「いつでも帰っておいで」というメモが隠されていた。
カナエは自分の足を治すためにゆすりをしているのか淀橋を問いただす。淀橋は妹に真実を話す決意をした。
4歳のカナエが負傷した火事は、早乙女が自分に逆らった淀橋の父親を殺すための放火殺人だった。
だが、早乙女は淀橋に入院中の妹がいることを嗅ぎつけてしまう。
カヨは川久保邸から持ち帰った絵の解析に苦戦していた。彼女はコンピューターに画像を取り込んで分析を始める。
ナナカがニタドリの居場所を突き止めた。関東テレビの佐伯という女性キャスターがかくまっているのだ。
淀橋が佐伯に接触する。彼女は早乙女のスキャンダルを暴こうとしているらしい。
局の食堂でニタドリを見つけたナナカは、彼の渋い中年ぶりにポーっとする。
ニタドリは末期ガンだった。淀橋はニタドリにの残された時間を自分に預けるよう説得する。ニタドリはアサミの母親を殺した罪滅ぼしだと引き受けた。
人質交換の現場に現れたのはアサミだった。彼女はニタドリを刺す。
慌てて逃げだす淀橋たち。
本物のアサミは唇を舐める癖のある女を早乙女の周辺で捜し、画像をカヨに送る。虹彩を分析した結果、その女は変装した玲子だった。
玲子こと津田ジュンは整形医の神崎に顔を作る技術を学んでいたのだ。アサミは神崎に自分の顔を玲子そっくりにさせる。
玲子は看守を買収し、監獄を抜け出しては犯行を重ねていた。玲子と入れ替わって監獄に入ったアサミは、監視モニターにビデオをつなぎ、偽の映像で玲子がいるように見せかけていたことを突きとめる。
病院からカナエが早乙女代議士の部下に連れ去られていた。
ニタドリは負傷していたが、医者を呼ぶことはできない。カナエが誘拐されたことを知った淀橋は笑いだす。彼はこの時を待っていたというのだ。
絵のデータを分析した結果、銀行強盗の情報が隠されていることが分かった。しかし、データは自動的に消去されるように仕掛けがされていた。
アサミは玲子になりすまして早乙女に会う。早乙女は残ったチェンを殺せば、玲子を特赦で出獄させるという。
早乙女は航空会社の経営に乗り出し、政治家としても国家の中枢に入る予定だった。彼は玲子を結婚をエサに操っている。
イヅミの母親は早乙女の手下だったが夫を愛して裏切ったため、早乙女とニタドリに殺された。玲子はその証拠となる画像を握っている。
玲子が淀橋を刑務所に呼び出す。面会した淀橋は、その玲子がアサミの変装であることを見抜く。
淀橋は始めからアサミを信じていた。アサミに玲子のトリックを探らせるため芝居したのだ。
早乙女と玲子の間に結婚の約束があることと航空会社設立パーティーに運輸大臣の広中(佐原健二)がスピーチすることを知った淀橋は、その情報を利用する計画を練る。
本物の玲子と区別するのは、カヨのブローチだった。
カナエから、まだイヅミが生きているとの連絡が入った。カナエは淀橋の妹ではなく、早乙女の娘だった。
10年前、淀橋は火事に乗じてカナエをさらい、自分の妹だと思い込ませていた。カナエに早乙女を仇と信じ込ませて殺させる計画だったのだ。
アサミがチェンを射殺して逃亡。追ってくる警察を誘導する。だが、使ったのはペイント弾だった。
カナエはスタンガンで早乙女の部下を倒し、イヅミを助け出そうとする。だが、部下の一人が起き上がりイヅミに掴みかかった。
アサミが縛り上げた玲子の所にニタドリが現われ、早乙女の命令で殺しに来たという。彼は早乙女の婚約発表記事を持っていた。
発作に襲われたニタドリが血を吐いた。その隙に玲子はニタドリを蹴倒して銃を奪い、彼を撃って早乙女の元に向かう。
ナナカに看取られてニタドリは死んでいく。
パーティー会場にアサミが逃げ込んで来る。警察が取り押さえゴムマスクをはぐと、玲子だった。
早乙女に助けを求める玲子。早乙女は、こんな女は知らんとシラを切る。
玲子が警官の銃を奪って逃げると、入れ替わりに本物の玲子が入ってくる。先の玲子は二重にマスクをかぶったアサミだった。
警察に囲まれた玲子はウエイトレスを人質に取り、早乙女に私を愛していたと言ってと迫る。
早乙女は誰かの策略だ、とシラを切り続ける。裏切られた玲子は、早乙女が殺人を犯す映像をモニターに流す。
それでも早乙女は、これは自分ではなく、誰かの罠だと言い張る。
早乙女の屋敷では、早乙女の部下にイヅミが首を絞められていた。立ち上がってイヅミを助けようとするカナエ。
そこにニセ玲子が現れてスタンガンで部下を倒す。彼女は早乙女の命令で隠し場所を変えると言って、イヅミを助け出した。
全てを思い出し、自分が淀橋の妹ではないことを知ったカナエは、これが自分の運命だと言って早乙女邸に残る。
玲子が真相を暴露し、運輸大臣は早乙女を党から追放すると怒鳴る。
これでお前は終わりだという淀橋に、早乙女は俺に終わりはないと言い返す。
その時、玲子の銃が火を噴き、早乙女は倒れる。次に玲子は銃口を自分に向け自殺した。
重傷を負いながらもテロには屈しないと芝居を続ける早乙女。
淀橋と五人は最後の時が近づいたことを宣言する。
早乙女邸ではカナエが。自分はあくまで淀橋カナエであり、早乙女は仇だと復讐を誓っていた。
そこに傷をった早乙女が帰ってくる。ナイフを構えるカナエ。傷ついた早乙女はカナエの前で力尽き倒れこむのだった。
トラップ9
アサミは早乙女が入院している病院に潜入しようとする。
だが、病室は指紋と角膜のチェックシステムで守られていた。ビル内部は警備員がかため、窓からの侵入も不可能である。
病室には関東テレビの人気ニュースキャスター福岡広志(村野武憲)の姿があった。
福岡はクリーンなイメージで政界への進出も噂されている。しかし、彼は握った情報で相手を恐喝する裏の顔があった。
淀橋たちは福岡が早乙女を強請(ゆす)っているネタを調べ上げようとする。
ナナカは玲子の情報を持って福岡に接近するが、彼にとってその程度の情報では不足だった。
一人の女が福岡を刺そうとする。その女ミクは、自分は福岡の愛人だったが、恐喝のネタを作るため標的の男と寝させられたうえに捨てられたのだと言う。
一方、淀橋は佐伯リナという女に接触する。彼女は早乙女に関するネタを握っていながら、福岡に握りつぶされ、ニュースキャスターの仕事を奪われていた。
だが、その直後リナはひき逃げにあって死ぬ。
リナの入手した証拠は、カナエの母親、夏子殺害の犯行現場が写った防犯ビデオだった。リナはそのビデオを福岡に奪われていた。
淀橋はナナカとマドカに隠していた事実を教える。
ナナカが殺した不倫相手は、早乙女が会社乗っ取りのために送り込んだスパイで、ナナカを利用するために関係を持ったのだ。
マドカの両親が離婚した原因も、父親が早乙女の詐欺に引っ掛かって破産したためだった。
アサミはカナエを助け出そうとしない淀橋に真意を問いただす。カナエにもう利用価値がないからだという淀橋に、アサミは憐れみを感じる。
ナナカはミクを説得し、福岡との愛人関係を記事にして暴露させる。
ゲラ刷りを見た福岡は、アサミの持ちかけた取引に応じた。
福岡が病室の早乙女を訪ねる。犯行の写った防犯ビデオのコピーを持参していた。
夏子は早乙女がただ一人愛した女だったが、銀行強盗を知られ自首を勧められた時に逆上して絞め殺してしまったのだ。
早乙女は、そろそろ自分も消去される時期かもしれないと言い出す。
アサミとマドカは早乙女の部下、加納を誘拐する。
真の黒幕から消去指令が出され、早乙女は暗殺された。これでお兄ちゃんの元に帰れる、カナエは喜ぶが、組織は彼女をまだ利用する気だった。
淀橋は早乙女の死を簡単には信じない。早乙女の死体が本物かどうかの確認と防犯ビデオのマザーテープ入手、二つの作戦を立てる。
淀橋は加納を脅し、暗殺命令が出ていると信じさせて協力させる。
一方ではナナカをミクに化けさせ、加納に誘拐されたと福岡に思い込ませた。福岡からマザーテープを手に入れるためだ。
加納の手引きで淀橋たちは病院に侵入する。
取引現場で加納はテープを破壊してしまう。彼は早乙女の財産を奪う気でいた。
だが、加納は組織の男に射殺される。男はミクが偽物であることも知っていた。本物のミクは彼自身が、すでに殺していたのだ。
怒った福岡が男を倒すが、自らも傷を負った。実はミクは福岡の義理の娘。福岡を憎み、嘘までついて追い詰めようとしたのだ。
ミクは福岡の妻、サオリと黒幕の間にできた子供だった。それを知られたくないため福岡はミクを捨てたのである。
男が時限爆弾のスイッチを入れた。早乙女の死体は本物であり、黒幕は別にいるというのだ。
福岡は時限爆弾の解除に成功するが、ミクの手を握って力尽きた。
アサミはカナエを助け出そうとするが、淀橋は早乙女が死んだ以上もう用がないと見捨てる。
福岡は自分の身に何かあった場合、淀橋の元に真実を告げるビデオテープが届けられるよう手配していた。
そのテープで福岡は、殺された早乙女が偽物であり、本物の早乙女は海外で逃亡生活をしていたことを告げていた。
海外逃亡中は時効のカウントがストップされる。時効を成立させるためには日本で生活する必要があり、そのため自分の身代わりを日本で活動させたのだ。
時効は2ヶ月前、五人の脱獄と同じころ成立していた。
その後、本物の早乙女は日本に戻り、かっての仲間を抹殺する計画を立てた。早乙女たちが隠した巨額の香港マネーを独り占めしようと企んだのだ。
その時、カヨが絵の解析に成功する。絵には日本にいた早乙女と、強盗犯の早乙女のDNAが異なるというデータが隠されていた。
トラップ10
カヨは銀行の特別口座を利用からスーパーコンピューターに接続し、早乙女の香港マネーを奪おうとする。
だが、バックアップするアサミたちが襲撃され、カヨも早乙女の部下、奥村に襲われる。手引きしたのはイヅミだった。
手下の男を刺し殺し逃げ出したカヨは、バイクにぶつかって意識を失ってしまう。
淀橋のアジトに警察の手入れが入る。淀橋はアジトを捨てて逃げだし、カヨ以外のメンバーと合流した。
早乙女の香港マネーを奪うにはカヨが解読した早乙女のパスワードが必要である。
アサミは越山に会い早乙女の正体を聞き出そうとする。本物の早乙女は誰も手が出せない地位にいる、と越山はアサミに逃げることを勧めた。
淀橋は検察官に化けて事件を担当する小野寺刑事(山西道広)に接触する。淀橋はカヨに尋問する機会を得たが、彼女は記憶を失っていた。
アサミは、イヅミがコインロッカーから封筒を出す現場を押さえる。中にはイヅミのパスポートが入っていた。
早乙女の屋敷に監禁されたときにイヅミは取引していた。新しい履歴を手に入れ、ニューヨークの音楽学院に入学させてもらう約束をしていたのだ。
イヅミに裏切り者の十字架を一生背負う覚悟があるならと言って、アサミは見逃すことにする。
指紋からカヨの身元が判明した。片山警察署長(石立鉄男)は淀橋たちが早乙女の香港マネーを狙っていることを知っており、小野寺に拷問してでもカヨに自白させるよう命じる。
一人くらいまっとうに立派な人生を生きてもらおうよ、と言ってアサミはナナカたちにイヅミのことを納得させる。
マドカとナナカは不良少女と補導した婦人警官に化けて警察署に入り込む。
検察局の八神(白井晃)が香港マネー調査のためカヨの身柄を預かりにきた。マドカたちは先にカヨに会うが、カヨには二人の顔が分からなかった。
空港で新しい履歴を受け取るイヅミ。彼女の脳裏にカヨとの思い出がよぎる。
マドカとナナカはカヨを助け出せず逃げだす。アサミ、淀橋とともに逃走しようとするが警察に追いつめられてしまう。
そのとき、イヅミが車でやって来た。彼女は四人を車で逃がし、囮になるため一人残る。
警察署の屋上に追いつめられたイヅミは、銃を構えたまま身を投げるのだった。
ニュースでイヅミの死を知ったアサミは、早乙女の息の根を止め、香港マネーを奪うまで絶対に引かないと誓う。
カヨは検察庁に移送された。八神は香港マネー押収に燃えていた。
殺人強盗の時効は2ヶ月前に成立していた。夏子殺害の時効は翌日に迫っている。
片山警察署長の正体は強盗犯の一人、鹿島。淀橋の父親だった。
淀橋はもともと鹿島という男は存在せず、片山が犯罪を犯すために作りだした隠れ蓑だったと推理する。淀橋は片山に香港マネーの半額と仲間の安全を要求して手を組む。
同じ夜、カナエは本当の父親の元に連れて行かれていた。
淀橋は片山を罠にはめてカヨを助け出す計画を立てる。
片山と淀橋が検察局に乗り込み、精神科医に化けたアサミをカヨに面会させる。
一方、ナナカとマドカはニセ護送車で警察署に乗りつけ、倉庫に保管されていた証拠品の偽札を奪う。
アサミは眠らせたカヨにスピーカーを仕掛け、偽の自白を周囲に聞かせる。
その内容は片山と小野寺は押収した偽札を横流ししており、取引相手の奥村を殺していた。カヨは事件を探っていただけであるというものだった。
捜索すると片山の車から偽札が発見された。片山は無実を訴える。そこに越山が現れ、自分は片山が奥村を殺す現場を目撃したと証言する。
錯乱した片山は淀橋に銃を向け、八神に射殺された。
アサミたちはカヨをイヅミの墓に連れていくが、カヨにはイヅミが誰なのか分からない。
アサミはカヨにイヅミがピアノを弾くテープを聞かせた。
カヨはついに観念し、実は途中で記憶が戻っていたが、早乙女に殺されるのが怖くて芝居を続けていたことを告白する。
アサミは、一度は逃げだそうとしたイヅミが仲間たちの元に戻って自分を犠牲にしたことを教える。
カヨは探り当てた香港マネーのパスワードを皆に伝えた。だが、パスワードは一つ足りず香港マネーを手に入れることはできなかった。
黒幕は越山だった。彼は最後のパスワードを思い出す前にカヨを殺害しろと命じる。
ついに最後のパスワードを思い出した瞬間、一発の銃弾がカヨの額を撃ち抜くのだった。
ファイナル・トラップ
アサミとナナカはカナエを探すため病院に潜入する。カナエはパスワードを知っているのだ。
二人の前に現れたのは越山だった。
越山はカナエが10年前から完璧なボディガードに守られていたという。淀橋も越山の部下だったのか。
警報が鳴り、二人は警備員に追われて脱出する。
あきらめかけたアサミをナナカが励ます。イヅミとカヨのためにも南の島は夢で終わらせない。改めて三人は戦いを誓う。
三人の乗ったバンが、乳母車を押す女性と接触しそうになる。母親の手を離れた乳母車をマドカが追って止めるが、乗っていたのは人形だった。
マドカが腕を撃たれ、女がナイフで襲いかかる。
三人は女のカバンを奪って逃げ延びた。中にあった通信機で越山の通信を傍受、越山がカナエを連れて香港に飛ぶという情報を得た。
アサミは自分たちも香港に行き、香港マネーを奪って南の島に逃亡する計画を立てる。
アサミは八神と連絡を取り、越山の情報をネタに密航ルートの元締め(ミッキー・カーティス)を紹介させる。
マドカは傷が悪化し、熱に浮かされていた。アサミはマドカを置いていこうと言い出す。たとえ刑務所に戻されても死ぬことはない。
人生長く生きれば良いってもんじゃない。ナナカは反発する。置き去りにされた者の気持ちは分かるはずだ。
ナナカはアサミが淀橋とグルなのではないかと疑い出し、二人は取っ組み合いになってしまう。
女の友情なんて所詮こんなもんやったんか。嘆くナナカを置いてアサミは去り密航の準備を進める。
通信機で密航が罠だという情報を得たナナカは、一人でアサミを助けに行く。
一人残ったマドカは、カヨが帰ってくる幻を見る。誰か来るよ、気をつけて、マドカにと忠告してカヨの姿は消えていく。
マドカは忍び込んできた男を背後から空きビンで殴り逃げることができた。
港に着いたナナカは元締めたちに襲われ、連れ去られてしまう。
アサミは二人が見捨てられず、隠れ家に戻ったのだ。そこには八神たちが待ち伏せていた。
八神は香港マネーに魅せられ、越山に魂を売ったのだ。逃げだしたアサミは陸橋からトラックに飛び乗って姿を消す。
淀橋がカナエの前に現れる。パスワードを聞き出した淀橋は、カナエを連れて逃げ出し、捕えられていたナナカも助け出す。だが、ナナカは元締めの銃弾に倒れてしまう。
起き上ったナナミの手はダイナマイトが握りしめられていた。胴体にも無数のダイナマイトが巻きつけられている。
ナナカは淀橋とカナエを逃がすと導火線に火をつけた。マドカに帰れなかったことを詫び、アサミに最高の仲間に出会えて幸せだったと言い残し、元締めを道連れにに爆死する。
アサミとマドカが再会したところに、淀橋がカナエを連れて入ってくる。ナナカの死を知って泣き出すマドカをアサミが励ます。
越山の時効が成立する翌日には、香港が中国に返還される。そうすれば香港マネーは中国に没収されてしまう。越山が香港マネーを手に入れるチャンスは一日しかない。
淀橋は香港マネー奪取のため最後のミッションを開始する。
太平証券で淀橋とアサミはパスワードを入力。だが、一瞬早く越山に金が引き出されてしまい、カナエも連れ去られてしまった。
マドカとアサミは、八神に越山の部下のホログラムを見せ、自分が越山に裏切られたと思い込ませる。
一方では八神のCG映像を使って、報酬の受け渡しに越山を呼び出す。
二人に殺し合いをさせようという作戦である。
アサミとマドカが現場に爆薬を仕掛けて待つと、淀橋が現れ八神を射殺した。
越山の部下が襲いかかり、マドカは逃げたがアサミは捕まってしまう。
カナエは淀橋がすでに助け出し警察病院に送られていた。
時効目前に日本に戻った越山は、淀橋を利用して仲間を消し金を一人占めしようとしたのだ。
淀橋が越山を撃った。しかし、駆け寄ろうとしたアサミは越山に撃たれてしまう。
越山は防弾チョッキを着込んでいたのだ。淀橋も越山の銃弾に倒れる。
車で走り去ろうとする越山。起き上ったアサミはタイヤを撃つ。車は横転し、カバンから札が飛散する。
うろたえて金を拾い集める越山。その近くには爆薬が仕掛けられていた。
アサミがリモコンのスイッチを押して爆発させる。越山は吹っ飛んで爆死した。
ついに越山を倒した。アサミにも淀橋にも起き上がる力は残されていなかった。
皆精いっぱい生きた。マドカもカナエも生きている。一人でも生き残れば、私たちの勝ちだ。
二人は手を握り締めて死んでいく。
刑務所のマドカをカナエが面会する。カナエは淀橋の残した保険金で高額な手術が受けられることになっていた。
手術の後には兄やアサミの遺骨を南の島に撒くつもりだという。
空港でカナエは持ってきた骨壺が空になっていることに気づく。
刑務所の独房にいるマドカの元に、アサミ、ナナカ、カヨ、イヅミが姿を現す。
やっと来てくれたのね、待っていたわ。ほほ笑むマドカ。五人の姿は光に包まれ消えていくのだった。
allcinema onlinによれば少女版「スパイ大作戦」を目指した作品とのこと。残念ながら「スパイ大作戦」の緻密(ちみつ)さはなく、突っ込みどころ満載。首をひねるような展開が多い。
海外逃亡中の時効とか、香港の返還とか、いろいろなキーワードは出てくるが、途中でどこかに行ってしまう。
ただし、テンポはかなり早く、次々とイベントが起こるので、見ている間は深く考えさせずに引き込んでしまう力は持っていると思う。
映像も、当時としてはスタイリッシュな部類に入ると思う。
人気アイドルを揃えたキャスティングは、当時はなかなか豪華だったし、悪役陣の濃さも魅力。
淀橋のキャラクター作りは、イマイチで中途半端に非情なため感情移入がしにくく、アサミが彼を愛するようになるという展開が、どうもピンと来なかった。
淀橋役の唐渡亮は、その後は役に恵まれず、最近は酔ってトラブルを起こし、余計なところで話題を作ってしまったらしい。
アイドル物にしてはかなり殺伐とした展開で、ラストで主要キャラクターが二人しか生き残らないのもセンセーショナル。
ある意味、90年代前半に流行ったジェットコースターのように不幸が加速するとか、ラストでヒロイン以外はみんな死ぬとか、今考えるとけっこうとんでもないサスペンス物(「もう誰も愛さない」「あなただけ見えない」「もう涙は見せない」など)の流れをくんでいるのかもしれない。

FIVE