原題 ; GET SMART,AGAIN!(1989)
 監督 ; ゲイリー・ネルソン
 脚本 ; レオナード・L・スターン、マーク・カーティス、ロッド・アッシュ
 音楽 ; ピーター・メルニック、テーマ曲はアーヴィング・シャツマリー
 出演 ; ドン・アダムス、バーバラ・フェルドン、バーニー・コペル、ロバート・カルヴェラス
かって人気を博し、メル・ブルックスが脚本に参加していたことでも話題を呼んだテレビ・シリーズ「それ行けスマート」の後日談を描くテレフューチャー。
秘密結社ケイオスがホッテントット博士の発明した天候操作装置を手に入れ、合衆国大統領に2500億ドルを要求してきた。
どうやら情報局内に二重スパイがいるらしい。ということでドルーリー局長は外部の者を使うことにした。
選ばれたのはスパイを引退して政府の儀礼官となっていた86号ことマックスウェル・スマート(ドン・アダムス)。
スマートは新人スパイ、ビーミッシュとともに行動を開始。資料を調べようとすると引き出しに13号が潜伏していた。
ファイルを見つけたが敵ブロンスキーに襲われてしまう。スマートはリモコンで棚を飛び出させて反撃、ブロンスキーを倒す。
一方、秘密結社ケイオスは乗っ取りにあい混乱していた。
スマートは交通事故実験のダミー人形として働いていたスパイ・ロボット、ハイミーを復帰させる。
駐車代節約のためニセパーキングメーターを設置するスマート。尾行を知った彼は消火栓に潜伏していた13号に頼んで撃退した。
やはり閑職に就いていたララビーも加わるが、スマートの妻で回顧録を執筆中の99号(バーバラ・フェルドン)に対しては局長から口止めされた。
ハイミーがホッテントット博士の居所を突き止めたが、博士は何者かに撃たれてしまう。彼は二重スパイの正体を知らなかった。
スマート暗殺指令が下った。彼はキッチンで襲われ、妻にスパイ復帰が秘密なので声をひそめて格闘する。
殺し屋は撃退したが、寝言で情報を洩らしそうになる。夫婦で盗聴防止の密談装置を使って話し合う。だが機械の調子が悪くて会話にならない。
99号は、回顧録の関係で出版社に機密が漏れた可能性があることに心あたる。
そこにビーミッシュから連絡が入り、スマートが呼び出される。これは罠で、ビーミッシュは銃を突きつけられていた。
99号も同行し駐車場で襲撃される。スマートは装備したマグネットで銃を奪って反撃。
犯人には逃げられたが、剥ぎ取ったズボンから局長の右腕ウォーターハウス少佐と判明した。
二人は少佐の住むトレーラーハウスに向かう。少佐は逃亡しようとするが、99号にタイヤを撃たれ事故ってしまう。
トレーラーから出てきたのは99号の原稿だった。スマートが後に政界入りした95号を救出するくだりである。
少佐は口封じに毒殺されてしまう。99号は正式に復職が認められた。
大気物理学の権威シュメルディング博士がケイオスの暗号を解読した。彼はケイオスの幹部ジーグフリートとは三つ子の兄弟で瓜二つ。
スマートと局長は会話が音にならず文字になるという新開発の沈黙室で話し合う。そこいら中,文字だらけになって解読不能。結局表で話す。
スマートはケイオスとの会見でジーグフリートを捕らえ、シュメルディングを替え玉にして送り込む作戦をたてた。
一方、ジーグフリートも会見でスマートを暗殺しようと手ぐすね引いていた。
いよいよ会見。ジーグフリートはスマートが丸腰と知って銃を抜く。靴底のマグネットで奪い取るスマート。ケイオスは改良型のマグネットで奪い返す。スマートは両足で対抗、決着をつけた。
ジーグフリートに成りすましたシュメルディングは相棒シュターカーとともにアジトに向かう。
尾行するスマートと99号。シュメルディングはパスワードが分からなかったため正体がばれてしまう。
99号は出版社社長のディメンテが黒幕とにらんでいた。推理は当たったが、倉庫に忍び込んだ二人はディメンデに捕まってしまう。
そこにはビーミッシュも捕らえられていた。
ディメンデは、ケイオスの大株主だった。彼は2500万ドルで古典文学150冊を出版し、読書を強要して文盲をなくすという理想を掲げていた。
天候装置で雨を降らし外出させなくして、テレビの電波も妨害、読書のほかにすることをなくそうというのだ。ビデオやゲームのない時代の発想。
スマートは100名の警察官が包囲しているとディメンデを脅す。信じてもらえず、ガードマン、ボーイスカウトと落としていくが説得力はなくなるばかり。
スマートの手足首にはエアクッションが仕込まれていた。ふくらませて枷(かせ)を破壊、4人は脱出に成功。
倉庫でヘロヘロな戦いが展開。ケイオスのザコども倒した。
スマートに銃を突きつけるディメンデ。スマートは装置で濃霧を発生させて逃げようとするが、スイッチを切られてしまう。
ディメンデが再び銃を構えたところに99号が雷スイッチを押した。雷撃に倒れるディメンデ。
スマートと99号は雪スイッチを押してロマンチックな雰囲気で抱き合うのだった。
本作以前の1980年には映画版「0086笑いの番号」が作られた。シルヴィア・クリステル、ヴィットリオ・ガスマンをキャストに迎えたが、出来栄えはイマイチ。当初「帰ってきたスマート」だった原題が「ヌード爆弾」に変更されたのも製作会社の自信のなさを物語っている気がする。
相方の99号ことバーバラ・フェルドンを出演させなかったことも敗因の一つと思う。
本作はテレビ用ということで小粒でスケール感には欠けるが、従来のトボけたスパイ・コメディの味わいを出すことに成功している。
「ハリーポッターと不死鳥の騎士団」で魔法省へ公衆電話から入っていくのを見て、スマートへのオマージュと思ったけど、関係ないんだろうなあ。
役に立たない盗聴防止装置を連発するギャグとか、あちこちに潜んでいる仲間とか、オリジナルを知らないとピンとこないかもしれないが。
ドン・アダムスは、その後刑事コメディ「それ行けパートナーズ」に出演したが1シーズンで終了。やはり当り役はマックスウェル・スマート。1965年に始まり99号との結婚までを描いた最初のシリーズは5シーズン続き、映画版、本作を経て、1995年にはテレビ版新シリーズも制作されたらしい。
ドン・アダムスは2005年に亡くなったが。2008年にはスティーヴ・カレル主演によるリメイク版が公開予定。99号のアン・ハサウェイ、チーフにアラン・アーキン、ジーグフリートにテレンス・スタンプという布陣のようだ。
監督は「50回目のファースト・キス」のピーター・シーガル。コメディーを得意とする監督なので期待している。
それ行けスマート
世界一の無責任スパイ