製作 ; (1966) |
監督 ; 佐藤肇 |
脚本 ; 高久進 |
音楽 ; 菊池俊輔 |
出演 ; 千葉真一、山川ワタル、中田博久、高見エミリー、筑波久子、関山耕司 |
「黄金バット」は昭和5年に紙芝居として登場したという、戦前から引き継がれた数少ないヒーローの一人(アメリカン・コミックのヒーローには戦前から活躍していた者も少なからずいて、戦時中にはドイツ軍や日本軍を蹴散らしていたらしい。テレビ「ワンダーウーマン」の第一部が戦時中を舞台としていたのは、その名残だと思う)。 黄金バットの演技者はミスター黄金バットとクレジットされているが、声はアニメ版と同じ小林修が担当している。 天文学好きの風早アキラ(山川ワタル)は惑星イカルスが軌道を変え、地球に向かっていることを発見するが、科学者たちは信じない。惑星じゃなくって彗星じゃないのという気もするが。 イカルスの軌道を変え、地球に激突させようとしているのは怪人ナゾー(関山耕司)だった。動機は宇宙に存在するのはナゾーだけで十分というもの。分かったような分からないような。 その夜、アキラは黒服にサングラスの男たちに拉致される。MIBである。連れて行かれた先は最新設備の研究所だった。 国連の下部組織である、そのパール研究所を仕切るヤマトネ博士(千葉真一)が、アキラの才能を認め隊員に勧誘したのだ。 ヤマトネ博士とパール博士は地球に激突する前に超破壊砲でイカロスを爆破しようと計画。そのため隊員たちは超破壊砲の特殊レンズに使う原石を探していた。 探査隊からのSOSを受け、ヤマトネたちは遭難現場に向かう。そこは地図にない島だった。 その島の遺跡で探査隊は全滅していた。そこは海底に沈んだと伝えられるアトランタス大陸の一部のようだった。 そのとき海底からナゾータワーが姿を現し攻撃を始めた。 洞窟へ逃げ込んだ隊員たちは、地下神殿の奥へと追いつめられてしまう。そこにはエジプト風の棺があり、一万年後の危機に我黄金バットは蘇えると書かれていた。 棺の中には一体のガイコツと超破壊砲に使える原石が納められていた。 パールの孫エミリー(高見エミリー)がガイコツに水をかけると黄金バットが復活した。 黄金バットはナゾーの部下を蹴散らすと、コウモリをブローチに変え、エミリーに付けさせた。このコウモリを通じて黄金バットを呼ぶことが出来るのだ。 ナゾーは黄金バットたちに宣戦布告して去っていった。 ヤマトネたちは超破壊銃を完成させたが、イカロスはまだ射程距離に入っていなかった。 脅威を感じたナゾーはケロイド、ピラニア、ジャッカルの三怪人に超破壊砲奪取を命じる。 あっさり研究所に潜入するジャッカル、ピラニアと部下十数名。ピラニアは隊員のナオミ(筑波久子)に変身した。 パール博士を人質に取るジャッカル。そこに黄金バットが現れ、部下どもを蹴散らしていく。 だが博士は誘拐されてしまった。黄金バットは空中艇を追い、外壁に一匹のコウモリを張り付かせる。このコウモリは、すぐナゾーに見破られて役に立たない。 超破壊砲も奪われてしまったが、肝心の特殊レンズは外してあった。 特殊レンズを狙うナゾーは、人間複写機を使ってケロイドをパール博士の姿に変えた。 ニセ・パール博士は意識不明を装って研究所に収容される。 夜中になり動き始めるニセ・パール。エミリーはそれを目撃、偽者であることに気づく。 正体を現したケロイドは、コウモリとエミリーを捕らえナゾー基地へと連れ去る。 それでもレンズの隠し場所を言わないパール博士に腹を立てたナゾーは、イカロスをスピード・アップさせた。 レンズ探知機(?)で探しまわるピラニア。それはヤマトネ博士の罠だった。 正体がばれたピラニアは自動車を盗んで逃走。清水隊員たちも捕虜になってしまう。 ピラニアはヤマトネが黄金バットにレンズの保管を依頼したことを見抜くが、任務失敗に腹を立てたナゾーに処刑されてしまう。 やけになったナゾーは部下たちの反対を無視して、黄金バットをナゾータワー内におびき寄せる作戦を取る。 東京のど真ん中に地底から姿を現すナゾータワー。黄金バットも登場した。 人質を塔から突き落として脅迫するケロイド。ヤマトネ博士は黄金バットにレンズを渡させる。 黄金バットはジャッカルの操縦する空飛ぶ潜水艦を奪い、ナゾータワーに体当たり。タワーは離陸不能となってしまった。 イカロスが衝突するというのに地球を脱出できなくなり、慌てふためくお茶目なナゾー。 ヤマトネとアキラもタワーに潜入。人質たちを解放した。 襲ってくるケロイドと部下たち。そこに現れた黄金バットが三たび敵を蹴散らす。ケロイドも黄金バットの杖に倒れた。 黄金バットとナゾーの最後の対決が始まる。鉤爪を飛ばして攻撃するナゾー。黄金バットの杖がナゾーを貫く。ナゾーは逃げ出してしまった。 爆発するナゾータワーから超破壊砲を運び出す黄金バット。 ヤマチネは超破壊砲でイカロスの破壊に成功した。 ナゾーの鉤爪をモニュメントにして悪への戒めとした黄金バットは空の彼方へと去っていった。 ナゾーの生死を明らかにせず続編を狙った気がするが、翌年からテレビアニメ版が放送されたため実写版は1作で終った。ちなみに主題歌はアニメ版と同じ曲が使用されている。 四つ目に黒頭巾のナゾーは、首を細くしたデザインがなんとなく猫の着ぐるみを思わせ、妙に可愛くて迫力がない。子供には黄金バットのほうが怖く見えたんじゃないだろうか。 劇中の光線は全てアニメ合成だが背景から浮いて見える。 黄金バットが空を飛ぶ場面の合成もあまり上手くない。空中艇を追うシーンでは明らかに違う方向を向いて飛んでいる。黄金バットと背景のトーンもかなり違っている。 とはいえ73分の上映時間に豊富なエピソードを織り込んでいるし、「吸血鬼ゴケミドロ」が代表作の佐藤肇監督による手際よい演出もあって、なかなか楽しめる作品となっている。 余談その一=佐藤肇監督は1995年に亡くなっているのだが、現在活躍中のアニメデザイナーに同姓同名の方がいるらしい。そのため混乱しているデータもあるので要注意。 余談その二=山川ワタルは本作の5年ほど前、少年ケニヤとして人気を博していた。美少女の高見エミリーは本作の5年後、「仮面ライダー」に助演することになる。 余談その三=黄金バットの最初の実写化は1950年の「黄金バット摩天楼の怪人」らしい。美空ひばりも出演しているのだが、詳細はキネマ旬報のデータベースにも記載がない。幻の作品か。 |