製作 ; (1993)
 監督 ; 福富博
 脚本 ; 遠藤明範
 音楽 ; 和田薫
 出演 ; (声)伊藤美紀、苅谷俊介、山口勝平、小山菜美、千葉繁、大友龍三郎
本城ゆきとの原作をOVA化。
「RUSTY ANGEL」「TEARS SIGN」の2巻に分けてリリースされた。
壮大なストーリーが展開する原作の冒頭部分を、うまくまとめた質の高い作品。SFアクションとしてもテンポが良くて楽しめる。
スーパーヴァイザーとして、りんたろうが参加。キャラクターデザイン、総作画監督を結城信輝が担当している。
空中都市ザレム、その真下にはザレムから出るゴミ目当てに人が集まりクズ鉄町と呼ばれる集落が出来上がっていた。
医師イド(苅谷俊介)はガラクタの中から、まだ生きているサイボーグの頭部を見つける。
ボディを与えられガリィ(伊藤美紀)と名付けられてイドの助手となる。
そのころ町では女性を狙う連続殺人と、脊椎を奪う臓器強盗が横行していた。
ガリィは何でも屋のユーゴ(山口勝平)と知り合う。ユーゴはザレムに憧れていた。
イドはザレム出身者。同じくザレム出身で、かってイドの恋人だった女医チレン(小山菜美)は何としてもザレムに戻ろうとしている。
イドのもう一つの顔は賞金稼ぎハンター・ウォーリアーだった。女性殺しの犯人二人組を見つけるが、ピンチに陥ってしまう。
そのときガリィが犯人に襲いかかった。夜な夜な出かけるイドを不審に思い、尾行してきたのだ。
ガリィは驚異的な戦闘能力を発揮、犯人の片割れを抹殺する。
ハンター・ウォーリアーになることを決意するガリィ。
拳闘士の改造を生業としていたチレンは、生き残った犯人のサイボーグ・グリュシカの状態を見てガリィの力を知り、かっての恋人だったイドの技術に対抗心を燃やす。
パワーアップしたグリュシカがイドとガリィを襲う。受けて立つガリィ。
グリュシカは伸縮する指のカッターで攻撃する。だが、ガリィの敵ではなかった。
一千万チップ貯めればザレムに送り込んでやると暗黒街のボス・ベクター(千葉繁)にそそのかされたユーゴは、脊椎強盗の一味に加わっていた。
一千万チップの件を知ったガリィは、ユーゴのために金を作ろうと賞金稼ぎに精を出す。
一方、ユーゴは脊髄強盗をしようとして、ハンター・ウォーリアー・ギメに見つかってしまう。
相棒のタンジは殺され、ユーゴも名前を知られてしまった。賞金首となるユーゴ。
ガリィはユーゴに足りない分のチップを持たせ、ベクターのもとに行かせようとする。
だが、そこに現れたギメにユーゴは切られてしまう。両身の長剣で攻撃するギメを、ガリィは落雷を誘って倒す。
殺されたユーゴの頭部に自分の生命維持装置をつないでイドに持ち込むガリィ。
応急措置を施したのはチレンだった。
チレンもまた、ベクターにザレム行きの約束で利用されていた。
ユーゴは首から下をサイボーグ化して生き延びる。
ザレム出身のイドは、クズ鉄町の人間がザレムに入る手立てなどないことを知っていた。
その話を聞いたユーゴは飛び出していってしまう。
ベクターのもとに現れたイド。そこにはチレンのイヤリングが落ちていた。
チレンは解剖され瓶詰めの生体標本にされてしまったのだ。
イドは、襲ってきた用心棒もろともベクターを殺す。
ユーゴはザレムへとつながるパイプを這い登っていた。
ユーゴを追ってきたガリィは戻るよう説得する。
ユーゴが再び生きる希望を持ったとき、パイプを密入国者防止用のリングが降りてきた。
リングに切り裂かれ、はじき飛ばされるユーゴ。
ガリィはユーゴの手を掴むが、コードがちぎれユーゴは町へと落下していった。
夕陽の中、ユーゴの腕とチレンのイヤリングをバスケットに入れ小さな気球で飛ばすガリィとイドの姿があった。
見果てぬ夢を追って散っていった者たちへの鎮魂歌を感じさせる余韻のあるエンディング。
原作にないキャラクター、チレンを加え、惑わされる人間の悲しさを強調したドラマ展開となっている。
銃夢GUNNM