原題 ; IRON JAWED ANGELS(2004) |
監督 ; カーチャ・フォン・ガルニエル |
脚本 ; サリー・ロビンソン、ユージニア・ボストウィック・シンガー、レイモンド・シンガー、 ジェニファー・フリーデス |
音楽 ; |
出演 ; ヒラリー・スワンク、フランシス・オコナー、アンジェリカ・ヒューストン |
アメリカにおける婦人参政権取得に大きな貢献を果たした女性活動家アリス・ポールを描いたテレビ用の伝記ドラマ。アウターチャンネル放映タイトルは「アイアン・エンジェルズ/自由への闘い」 1912年9月フィラデルフィア、アリス・ポール(ヒラリー・スワンク)は婦人参政権を求め憲法改正を目指していた。 アリスは相棒のルーシー(フランシス・オコナー)とともに女性活動家キャリー・チャップマン(アンジェリカ・ヒューストン)に面会し、協会の支部設立を認められた。 二人は大統領が来訪する日にデモ行進をしようと準備を開始、賛同した労働者のルージャ・ウェンクラウスカが活動に加わった。 メイベル、ドリスらとともに支部事務所を立ち上げたアリスだが、女性たちの間にも人種差別問題があり前途は多難である。 アリスたちは寄付金集めのため上流階級が集うパーティに参加、労働問題を得意とする女性弁護士イネズ・ミルホランド(ジュリア・オーモンド)や挿絵画家ベン・ワイスマン(パトリック・デンプシー)と知り合う。 そして派手なデモパレードが決行された。罵声を浴びせる男たちもいる。 そのころ、ウィルソン大統領とともに到着した夫人は駅周辺に観衆がいないのを不思議がっていた。 次第に沿道の男たちが暴れ出し、デモは大混乱となる。 デモが一面の記事となりアリスたちは大喜び。大統領への陳情を実行する。 しかし、ウィルソン大統領に女性に参政権を与える利点が分からないと一蹴(いっしゅう)されてしまう。 作戦を変えて新しい委員会を立ち上げ、大勢の議員に陳情を続けるが、なかなか良い結果は出ない。 キャリーはアリスの委員会に多額の寄付が流れてしまったことで立腹していた。 アリスは集まった資金で新聞を発行する。 ベンに夕食を誘われたアリスがレストランに出向くと彼は子連れで来ていた。 キャリーはアリスの集めた資金をめぐって運動中止命令を出す。 対抗してアリスは全米女性党を立ち上げた。党員は選挙に立候補することはせず、議会を傍聴して活動するという方針を取る。 1916年ワシントン。党は西部で遊説するために派遣団を出す。 アリスはベンに車の運転とダンスを習う。男勝りで生きてきた彼女には初めての体験だった。 上院議員のレイトンは女性党の寄付者リストに妻エミリーの名を見つけて夫婦ゲンカとなる。レイトンは妻から現金を取り上げてしまう。 活動の過労でイネズが倒れ、病院に搬送されたが助からなかった。 女性党の反対にもかかわらず、ウィルソン大統領は再選を果たした。 休みたがっていたイネズを引っ張り続けたのはアリスである。苦悩した彼女は実家に戻っていく。 アリスの元にルーシーが迎えに来た。彼女は投げたコインの裏表で賭けて、大統領との戦いをアリスに続けさせることに成功する。 アリスたちはホワイトハウスの前で抗議活動を繰り広げ、新聞記事となり世間の注目を集めた。 エミリーも陰ながら女性党の応援を続ける。 アリスはベンのことが気になっていたが、この戦いが終わるまで結婚しないと誓っていた。 アメリカがドイツに宣戦布告、アメリカも第1次世界戦争へと突入していく。 戦時下で下手な抗議活動をすれば反乱とみなされてしまう。ルーシーたち代表者が覚悟をきめて活動を続ける。 男たちの罵声を浴びながら、アリスたちはホワイトハウスの前に立ち続けた。 ついに警察が出動しアリスたちは連行される。 裁判が始まり女性党のメンバーは無罪を主張した。判決は有罪で罰金10ドルか60日の禁固刑だった。 ルーシーは罪を認めたことになると罰金の支払いを拒否、禁固刑に処せられた。監獄での扱いはひどかったが彼女らは頑張り続ける。 一方、女性党支持を嫌われたエミリーは夫から娘の親権を取り上げられそうになる。 ベンに励まされたアリスは、自らホワイトハウス前での活動を行う。その中にはエミリーの姿もあった。 興奮した水兵や市民が彼女らに襲いかかり警察が出動、アリスやエミリーたちも逮捕される。 さっそく反抗したアリスは独房に入れられてしまう。彼女はハンガー・ストライキを開始する。 残った者たちはホワイトハウス前で活動を続けた。 餓死されたら責任を問われると、刑務所長はアリスを病院に送る。 医師はアリスの活動の動機を聞く。彼女に異常な面がないと判断した医師は診療を拒否した。 刑務所に戻されるアリス。他の女性たちもアリスとともにハンガー・ストライキを開始する。 慌てた刑務所側はアリスを椅子に縛りつけ、ホースで流動食を無理やり喉に流し込むという暴挙に出た。 その間も党員たちはストライキを続ける。 ある日、女看守がルーシーにメモを渡した。 エミリーにレイトンが面会に来た。娘のために戦っているという悲痛な妻の言葉にレイトンは心を動かされる。 隙を見てエミリーは夫のポケットにメモを入れる。そのメモにはアリスが無法な扱いを受けていることが書かれていた。 その内容が表ざたになり、調査が開始される。窮地に追い込まれたウィルソン大統領に、キャリーが最後通牒を突きつけた。 屈せざるを得なくなったウィルソンは、いかにも自分が正義の味方であるような顔をして演説。婦人参政権を認める。 傍聴席には釈放されたアリスの姿もあった。 だが、憲法改正には36州の賛成票が必要である。あと1州の票が集まれば憲法改正というところで、反対派の買収活動がありアリスたちは苦境に立たされた。 だが、母親に頼まれたバーン議員が意見をくつがえし憲法改正に回ったため、ついに婦人参政権が立法化されることが決まる。 知らせを受けたアリスやルーシーたちは歓声を上げた。 こうして1920年8月26日、憲法修正第19条で婦人参政権が認められたのである。 テレビドラマとしては、なかなか充実した配役で、それなりに見応えはある。残念なのは、やや詰め込みすぎな印象を残すこと。そのためドラマ全体にメリハリが欠けてしまった。 脚本に四人も名を連ねているが、もしかしたら逆効果だったのかもしれない。 活動を妨害しようとヒロインを投獄したことが裏目に出て婦人参政権を認めざるをえなくなってしまう展開は歴史の皮肉を感じさせるものだった。 タフなヒロイン役が得意なヒラリー・スワンクは適役だと思う。 ただ、ヒロインの強面(こわもて)の部分ばかりを強調したくなかったのかもしれないが、恋人ベンとのエピソードはなんだか中途半端に終わってしまう。 裕福な身分でありながら、アリスの主張に共鳴し、活動に身を投じていく上院議員婦人エミリーが印象的な役柄だった。 ジュリア・オーモンドはゲスト出演レベルで、さほど見せ場のないまま出番を終えてしまう。 |