原題 ; NIGHT OF THE JUGGLER(1980) |
監督 ; ロバート・バトラー |
脚本 ; ビル・ノートン、リック・ナトキン |
音楽 ; アーティ・ケイン |
出演 ; ジェームズ・ブローリン、クリフ・ゴーマン、リチャード・カステラーノ |
娘を誘拐された父親、犯人、刑事の三つ巴の戦いを描いたサスペンス・アクション。小品ながら、きびきびした演出が冴え見ごたえのある佳作となっている。 原作はロバート・ワイズ監督の「拳銃の報酬」で有名なハードボイルド作家ウィリアム・P・マッギバーン。 元警官のトラック運転手のショーン・ボイド(ジェームズ・ブローリン)は、離婚して娘のキャシーと二人暮し。 キャシーは通学途中、ボイドの目の前で誘拐されてしまう。服装と髪形が似ていたため富豪クレイトンの娘と間違えられたのだ。 ボイドはタクシーを捕まえて追跡、一旦は追いつき窓にしがみつくが落とされてしまう。 さらに車を乗り捨てた犯人を地下鉄に追う。 地下から路上に出た犯人は、言いがかりをつけた黒人に切りつけ、車を盗んで逃走。 ボイドも路上宣教師の車に乗り込みこれを追うが、自動車運搬車に追突してしまう。 犯人のガス・ソルテック(クリフ・ゴーマン)は破産して、持ちビルがクレイトンに買収されたため逆恨み、娘を誘拐して金を取ろうと企んでいた。 すでに異常をきたしているソルテックは、キャシーが人違いだと説明しても信じない。 病院で怪我の治療を受けたボイドは、トネリ警部補(リチャード・カステラーノ)の尋問を受ける。 一方、クレイトン家では娘がいるのに脅迫電話がかかって大混乱。 事件に無理矢理割り込んでくるオーティス・バーンズ警部(ダン・ヘダヤ)。彼は、かってボイドに職権濫用を摘発されて逆恨みしていた。 ボイドは暴力を振るうバーンズを逆にぶちのめして警察署を抜け出す。彼は黒人が切りつけられた場所に戻る。そこで犯人が何かを落とし、覗き部屋のヌードモデルが拾うのを見ていたのだ。 再度掛かってきた脅迫電話にトネリはクレイトンのふりをして対応、犯人がボイドの娘をさらったことに気付く。金の引渡し場所はセントラルパークのコンサート会場だった。 その頃、トチ狂ったバーンズはショットガンを手にボイドを探していた。 ようやく覗き部屋でモデルを探し出したボイド。部屋に乗り込んで用心棒と乱闘になり、放り出されてしまう。 事の重大さに気付いたモデルは、拾った犬の鑑札付ペンダントをボイドに渡す。 そこにやって来たバーンズ。ボイドを見つけ、街中でショットガンをぶっ放して大騒動を起こす。 動物規制局で担当のマリア(ジュリー・カーメン)の協力により犬の登録を調べるボイド。 そこにバーンズが追って来た。ボイドは野犬の檻にバーンズを突き落とす。さすがのバーンズも大怪我をして病院行きとなる。 事情を知った地元に詳しいマリアは、協力を申し出てボイドに同行する。 マリアと黒人運転手の案内でソルテックの家に辿り着いたボイド。警官と間違われ地元の黒人たちに追われる羽目になってしまう。 しかもソルテックとキャシーは一足違いで取引現場に向かっていた。警官のふりをして取引現場を聞き出したボイドはセントラルパークへと向かう。 公園地下の下水トンネルを使って身代金のトランクを奪ったソルテック。追いかけてきたボイドと銃撃戦になる。 地の利があるソルテックは事前に火薬を仕掛けていた。だが、ボイドは爆発を無事逃れる。ロリコンの異常性を発揮してキャシーを連れ去ろうとするソルテックを、ついに追い詰めた。 ソルテックはボイドに飛びかかるが、ボイドはトネリから預かった銃で射殺。 ボイド父娘とマリアは現場を去っていくのだった。 「ルッカー」でも感じたのだが、事件が解決したからって、主人公がいきなり帰っちゃうのは無理じゃないかという気がする。警察は調書を取ったりしないのだろうか。 この映画で大きな魅力となっているのがニューヨークでのロケ。街の雰囲気を見事に捉えている。 前半の父親の執念を感じさせる追跡は迫力があるし、偏執狂的な刑事を演じたダン・ヘダヤも強いインパクトを与えている。 余談その一=ジュリー・カーメンは、この年本作と「グロリア(冒頭で死んだけど)」で印象を残した。1988年の「フライトナイト2/バンパイアの逆襲」では復讐に燃える女吸血鬼を熱演したがブレイクするにはいたらず、B級作品専門の女優になってしまった。 余談その二=覗き部屋のヌードモデルを演じているセレナは、1970年から活躍している筋金入りのポルノ女優。もう相当な歳になると思うのだが、まだ現役でポルノ映画に出演しているらしい。直接関係ないけど1975年にバート・レイノルズが主演した「ハッスル」には、やっぱりポルノ女優のシャロン・ケリーが出演していた。ストーリー上は重要な役だけど、すでに死んじゃっているので、裸で踊るイメージ・シーンだけだった。 |