原題 ; 大蛇王KING OF SNAKE(1986)
 監督 ; ヒュー・ユールン
 脚本 ; ウー・ウェンリャン
 音楽 ; 
 出演 ; リー・シュンシェン、リャン・シュウシェン、スー・ヒュイルン
何を思ったのか女の子が蛇をペットにしてしまい、その蛇が巨大化するというファミリー向け怪獣映画。
「大蛇王/HONG KONG崩壊の序曲」のタイトルでビデオ発売されたこともあったらしい。
川遊びで蛇を捕まえた少女ティンティンはモスラと名づけて可愛がる。
軍部の安全局では国家機密の生物巨大化薬R19の研究が進められていた。飢餓救済を目指していた李博士は、軍事利用される可能性があることを知り研究所を離れる。
李博士の恋人リン博士は研究所に残り、丁博士と共に研究を続ける。カエルでの実験は成功した。
研究所をテロリスト集団が襲撃。BGMは「謎の円盤UFO」のテーマ。
博士たちは裏口から走って逃げ出す。研究員は次々と射殺され丁博士も死亡。
軍の車に乗り込んだリンは事故死に見せかけて脱出、軍に保護された。
ティンテュンはリンが投げ捨てた巨大化ボックスを拾い、モスラの家にする。
照明と勘違いしてティンティンが装置に通電してしまったため、モスラはあっという間に巨大化。だが、ティンティンにはなついておとなしいままだった。
大きくなりすぎて家に隠せなくなったティンティンはモスラを倉庫に隠す。
一方、シャオ警部は研究所について調査を開始していた。
児童コーラス曲をバックに大蛇と戯れる少女。
李博士もリンを捜し始める。
じつはリンも組織の送り込んだスパイだったが、改心して裏切ったのだった。
シャオ警部はリンの入院先を突き止めた。
退院したリンを組織が襲う。偶然やって来たシャオ警部は、なぜか持ち歩いていたマシンガンで犯人たちを殲滅(せんめつ)した。
安全局とシャオ警部が近隣の捜索を開始。それを知ったティンティンはケースを捨てる。
捨てるところを組織の人間に見られてしまう。だが、ケースは空だった。
李は世界平和のため研究を放棄することを決意。リンは彼に真実を告白する。
それでも李は彼女を愛していた。ラブソングをバックにデートする二人。
両親にモスラが見つかってしまった。可愛いから飼わせてとティンティンは懇願(こんがん)するが、なにしろ大蛇なので両親は納得しない。
そこに組織が乗り込んできて、ティンティンを連れ去る。
追ってきたモスラを地雷と高圧電流の罠で殺そうとするが、かえって巨大化してしまう。ティンティンはモスラにまたがって逃走する。
組織はセスナ機でモスラを攻撃。あっさり撃墜される。
再び組織はティンティンの家族を襲う。結局ティンティンは誘拐されてしまった。彼女の叫びを聞きつけたモスラは川を泳ぎ、都心を目指す。
軍が攻撃を開始。モスラは鉄橋と列車を破壊。そのうえ尻尾の起こした波が津波となって人々を襲う。
ティンティンの呼び声で再び活動を開始したモスラは市街地へと入り、激しい戦闘が繰り広げられる。
ついにモスラはティンティンと組織のボスが隠れているビルに巻き付いた。
ティンティン救出のため、シャオ警部がマシンガンを抱えて乗り込む。一旦は銃を突きつけられて捕まるシャオだが、隙を突いてボスを射殺、ティンティンを救出した。
モスラに対する一斉攻撃が開始される。ティンティンの叫びもむなしくモスラはビルごと崩れ落ちていく。
大声で泣き叫ぶティンティン。
ようやく安全局局長は研究を断念した。
「不幸な命の嘆きと思え」シャオ警部は局長を殴り倒すのだった。
蛇にモスラというネーミングもすごいが、少女を助けにやってくるところがモスラっぽいのかもしれない。
この蛇は深作欣二監督の「里見八犬伝」に使われたものを流用したらしい。もともと巨大生物として撮影されることを想定して造形したものではないので、後半はちょっときつい。
ストーリーは、まあどうでもいい感じでラストにおける警部の行動もメッセージ性を感じさせるわけではない。
音楽も含めて突っ込みどころは満載、見飽きない作品ではある。
香港には「人蛇大戦・蛇」という蛇がだぶった邦題の動物パニック・ホラーもある。蛇穴を埋め立てて作られたビルが蛇の大群に襲われるという珍作だった。

大蛇大戦