原題 ; KRIPPENDORF'S TRIBE(1998)
 監督 ; トッド・ホランド
 脚本 ; チャーリー・ピーターズ
 音楽 ; ブルース・ブロートン
 出演 ; リチャード・ドレイファス、ジェナ・エルフマン、ナターシャ・リオーネ、リリー・トムリン
研究費を使い込んでしまった教授の秘策を描くコメディ。テンポ良く楽しめる作品で、劇場未公開作品としては意外な拾い物。
同じリチャード・ドレイファス主演作でも、「のるかそるか」に比べるとおバカ度が高くなっっている。
シェリー、ミッキー、エドモンド3人の子供を抱える人類学教授クリッペンドーフ教授(リチャード・ドレイファス)は、研究のパートナーにして最愛の妻を亡くしてから、仕事への情熱を失っていた。
元教え子の人類学者ヴェロニカ(ジェナ・エルフマン)からの講演依頼も見逃していた。
当日になって直接知らされ大慌て。何しろ新部族発見に対する研究費は私生活で使い果たし、講演すべき成果はまったく無いのだ。
やけくそで会場に乗り込むと満員の大盛況。同僚の研究費使い込み事件まで知らされて引っ込みがつかなくなる。
ついにクリッペンドーフ教授は、ニューギニアのボサビ山で未知の部族シェルミッケドムを発見したと、でっち上げてしまう。ちなみにこの名称は3人の子供の名前をつなげたもの。
次の講演で現地を撮影したフィルムを上映しなくてはならなくなった彼は、庭に部族の小屋を作り上げ、子供たちを仮装させて撮影する。
シェリーは怒るが、男の子2人はノリノリで脅威の割礼シーンも撮影。第2回講演も大成功だった。
夢中になったヴェロニカは、ケーブルテレビのディレクター、スパイビーを連れてきてしまう。借金返済で追い詰められた教授はケーブルテレビと契約。
発見を疑うライバルのルース・アレン教授(リリー・トムリン)は、ニューギニアへ赴く。
ヴェロニカとディレクターは視聴率が稼げると部族のセックス場面を要求。
クリッペンドーフはヴェロニカを自宅に誘う。酔っ払ったヴェロニカはシェルミッケドムの扮装をして大騒ぎ。彼とベッドインしてしまう。
クリッペンドーフは、抜け目なくこの様子を撮影する。
一方、アレン教授はジャングルで奮闘していた。
今度こそ最後と言いながら撮影を続ける父親にシェリーは愛想をつかす。
学長と学部長に撮影用の扮装を見られたクリッペンドーフは、実は族長ウタ・バジーを連れてきていると嘘を重ね、ウタ・バジーをテレビのトークショーに出すハメになってしまう。
一方、ヴェロニカは放映された部族の性交渉シーンに自分が映っているのでびっくり仰天。
珍扮装でウタ・バジーに扮してクリッペンドーフが出演するトークショーに、ヴェロニカが通訳として乗り込む。部族の愛情表現といってぶん殴ったり、地元の珍味といって虫を食べさせたり、たっぷり仕返しする。
ヴェロニカはばれないうちにウタ・バジーが帰国したことにしようと提案。ところが彼女は新たな研究基金の発足を知って態度を急変。ウタ・バジーをパーティーに出すと約束してしまう。
その頃、アレン教授はボロボロになりながらも秘境ボサビ山に到着していた。
基金のパーティーに臨むクリッペンドーフとウタ・バジー。今回はヴェロニカと二人で交互に変装。背の高さがぜんぜん違う(ヴェロニカのほうが頭一つ高い)が誰も気づかない。
大学にはアレン教授からシェルミッケドムなど存在しないとの報告が入っていた。
それを知った子供たちはパーティー会場へと急ぐ。
子供たちと報告が会場に着いたのは同時だった。
子供たちは咄嗟にアレン教授には部族は見つけられないと説明する。
クリッペンドーフは、これ以上嘘を重ねられないと正体をばらす。
だが、アレン教授からシェルミッケドム族を発見したとの続報が入った。
大学側は今夜の騒ぎはジョークだったと判断。クリッペンドーフの首はつながる。
実はシェリーが、現地の知り合いに頼んで一芝居うってもらったのだ。
家族の絆というものも多少は織り込まれているが、全体的にはドライな味わい。ヒロインなんか欲望丸出しに描かれている。
タイトルのジャガバンドーとは教授のでっち上げた「ありったけのブタを」という意味のシェルミッケドム語。シェルミッケドム族は女性の胸の大きさで婚礼に送られるブタの数を決めるのだとか。劇中には1回しか出てこない。
とんでもない主人公なのだが、リチャード・ドレイファスが演じると適度に抑えられ、あまり嫌味にならないのが魅力。
Dr.ジャガバンドー