原題 ; LOVE AMONG THIEVES(1986)
 監督 ; ロジャー・ヤング
 脚本 ; スティーヴン・ブラック、ヘンリー・スターン
 音楽 ; アーサー・B・ルビンスタイン
 出演 ; オードリー・ヘプバーン、ロバート・ワグナー、サマンサ・エッガー
晩年のオードリー・ヘプバーンが主演したテレビ用の冒険ドラマ。「おしゃれ泥棒」とは全く関係ない作品。
元男爵夫人キャロライン・デュラック(オードリー・ヘプバーン)のピアノ演奏会場で宝石の盗難事件が起きる。
演奏を終えたキャロラインは警報の鳴り出す中、義妹のソランジュ(サマンサ・エッガー)とともに会場を後にする。
途中、マンホールにヒールがはさまってしまい、靴を脱ぎ捨てていく。その靴を拾った人物がいた。
キャロラインは夫と死別後、アラン(パトリック・ボーショー)という恋人がいる。
2分後、マーケット広場にタマゴを持ってこいという電話が入り、キャロラインは一人出かけていく。
(アランが誘拐されており、脅されたキャロラインが通称タマゴと呼ばれるニコラス太帝の秘宝を盗み出したことが後で分かる)
噴水のそばでキャロラインはナイフを突きつけられる。そこにソランジュが車で救出に来た。
男は噴水に落ち、キャロラインは車に乗り込む。
ソランジュによると、犯人が明日レデラにこいという指図をしてきて、電話でアランにも話させたというのだ。
噴水に落ちた男は誘拐犯ではなかったようだ。翌朝、その男がホテルを見張っていた。
ソランジュが囮になって男を引きつけ、その隙に抜け出したキャロラインは空港に向かう。
当日のレデラ直行便はなく、230キロ離れたザボルカに行くしかなかった。
便は双発のプロペラ機、隣にヒゲでサングラスの男(ロバート・ワグナー)が乗り込んできた。彼の名がチェンバースであることが、ずっと後で分かる。
キャロラインはチャーター便でザボルカからレデラに向かおうとするが、パイロットは3日間戻らないという。仕方なく金を積んで予約済みだったレンタカーを押さえる。
なんと運転手は先ほどのチェンバースだった。彼の吸う葉巻と下手な歌に悩まされながら山道を行く。
キャロラインが寝込んだすきにチェンバースは彼女の荷物を調べる。
車がエンストしてチェンバースが押し、運転できないキャロラインがハンドルを握る。エンジンはかかったがキャロラインには停め方が分からない。
土山に突っ込んでどうにか停めたが、今度は山賊に囲まれてしまった。
山賊の首領マゾはキャロラインを気に入り花嫁にしようとする。
祝宴となりバカ騒ぎが始まった。チェンバースは初夜が終わってマゾが寝込んだら銃を奪えとかテキトーなことばかり。
チェンバースはイカサマ・ポーカーで車を手に入れた。ついでにキューバの高級葉巻2ケースと交換でキャロラインを救出する。
結局、二人はレデラに到着できず、日付けが変わってしまう。
二人が車で寝ていると、追跡してきたコート姿の男が発砲してきた。
あまり緊張感のないカー・チェイスが展開。
車を停めたところでチェンバースが犯人を引きつけ、その間にキャロラインが犯人の車からキーを抜く作戦を立てる。
ところが犯人はしっかりキーを抜いてチェンバースを追っていた。そこでキャロラインは犯人の車を爆破するという荒技を決行、チェンバースとともに逃げることに成功する。
イノシシ祭り開催中のレデラに着くとチェンバースは、盗んだ3つのタマゴを自分に渡すようキャロラインに言う。
キャロラインは無視して人ごみを逃げ、チェンバースをまいたあとにホテルで伝言を受け取る。
チェンバースはコートの男スパイサーとは顔見知りだった。どうやらライバル同志らしい。
キャロラインに誘拐犯の一人(ブライオン・ジェームズ)が接触。彼女を連れ去ってしまう。
犯人のアジトに着いたキャロラインは3つのタマゴを渡す。
それは「アレクサンドラの三体」と呼ばれるニコラス皇帝の宝物だった。
アランと再会して抱き合うキャロライン。
犯人の顔を知ったキャロラインは自分たちが殺されるのではないかと心配するが、アランは落ち着いたもの。
夜更けにキャロラインが目を覚ますと一味とアランが酒を飲んでいた。アランもグル、彼女を殺す相談をしている。
キャロラインはこっそり屋敷を抜け出そうとするが、アランに見つかってしまう。幸い真相を知ったとは思っていなかった。
キャロラインはシャワーを浴びているふりをして時間を稼ぎ、窓から逃げだす。
壁を伝って隣室を抜け、ついでに宝物を取り戻す。地下道の入口に閉じ込められてしまい、仕方なく進んでいくとチェンバースが待ち構えていた。
町に戻ったチェンバースはインターポールの捜査官だと言うが、宝物を博物館に返すつもりのキャロラインは信じない。
二人はスパイサーの姿を見つけ、ラバに隠れて逃げようとするが、アランたちに見つかってしまう。
一味とスパイサーが撃ち合いになり、スパイサーは負傷。警官が駆けつけたため、一味も逃げだす。
キャロラインとチェンバースは列車に乗ることができた。
ようやくチェンバースを信用したキャロラインは宝物を渡す。駅では待ち伏せされている可能性があった。二人はわざと車掌に無銭乗車だと告白、途中下車する。
ヒッチハイクで町に出た二人が車を物色しているとスパイサーがいた。二人は彼の車を奪う。
チェンバースは、キャロラインを逮捕するかわりに、アラン一味の逮捕に協力させる。
ようやくサンフランシスコに戻った二人。チェンバースが、アランが逮捕されるまでキャロラインをソランジュの元に身を隠させようとする。
しかし、ソランジュの家の前でアランに見つかり発砲されたため逃げだす。ソランジュはアランの愛人であり、共犯者だった。
ホテルにチェックインしたチェンバースとキャロライン。
キャロラインはインターポールに問い合わせるが、チェンバースという捜査官はいなかった。
キャロラインは、ソランジュに電話して自分の居場所を教えてしまう。
起きてキャロラインの姿がないことに気付くチェンバース。そこに敵の一人が襲ってきた。
宝物を返すため博物館についたキャロラインは、待ち伏せていたアランに捕まってしまう。
チェンバースの正体は美靴品コレクターで、アランたちに贋作を売りつけられたことを恨んで追っているのだという。
アランはキャロラインをエレベーターホールに落とし自殺に見せかけて殺そうとする。
真相を知らないキャロラインは、やってきたソランジュに宝物を投げ渡してしまう。
そこにチェンバースが駆けつけた。キャロラインは奪い返した宝物をエレベーターホールに投げ込み、気を取られたアランを蹴落とす。
何とかケーブルにしがみつくアラン。そこに松葉杖のスパイサーがやってきた。彼こそ本物のインターポール捜査官だった。
全員が逮捕され、罪のなすり合いが始まる。
ようやくキャロラインが釈放されたとき、チェンバースは姿を消していた。
後日、パーティー会場でキャロラインはチェンバースの姿を見つける。チェンバースは「この靴の主を探している」と冒頭で拾った靴を差し出す。
二人は手を組んで会場の階段を上がっていくのだった。
「おしゃれ泥棒」よりは「シャレード」や「アラベスク」タイプを目指したのではないかと思うが、テレビ用ということもあって中途半端なスケール。
あれこれ詰め込み過ぎてテンポは良いけれど、全体的に未整理でメリハリのない作品になってしまった。特に序盤は説明不足。伏せておくほどの内容ではないし、単に見ている者を混乱させるだけに終わっている。
オードリー・ヘプバーンがどうしてこんなテレビ作品に出演したのか不思議な気もする。
「ネバーセイ・ネバーアゲイン」でショーン・コネリーがジェームズ・ボンドに復帰したときのように、チャリティー資金が必要になったとか特別な裏事情があったのかもしれない。
すでに盛りを過ぎていたロバート・ワグナーも特に精彩を放っているわけではないし、悪役陣もイマイチ。

おしゃれ泥棒2