原題 ; MESMERIZED(1986)
 監督 ; マイケル・ローリン
 脚本 ; マイケル・ローリン
 音楽 ; ジョルジュ・ドゥルリュー
 出演 ; ジョディ・フォスター、ジョン・リスゴー、マイケル・マーフィー、ダン・ショール
「SHOCKED」の別原題および「禍いの家の花嫁」の別ビデオ・タイトルあり。
ジョディ・フォスターが製作にも加わったイギリス、ニュージーランド、オーストラリアの合作作品。やけに国際的だが、ハリウッドが乗り気にならなかったので、あちこちから資金をかき集めた、というのが実情ではないかという気がする。
1880年ニュージーランド、ヴィクトリア・トンプソン(ジョディー・フォスター)が裁かれようとしていた。
ヴィクトリアは18年間を孤児院で育ち、面会に来る者すらなかった。
突然、オリヴァー・トンプソンと名乗る自称実業家の中年男(ジョン・リスゴー)が現れ、彼女に求婚する。
嫁いではきたものの、いかつい中年男と幼な妻でハナからそりが合わない。
最初に案内されたのは、ネズミを追いかけて大騒ぎしている倉庫だった。ヴィクトリアは、比較的年の近いオリヴァーの弟ジョージ(ダン・ショール)とは仲が良くなる。
ひと月たっても夜の相手をしてくれないヴィクトリアにいらだつオリヴァー。
戸棚に浴室への覗き穴を見つけたヴィクトリアはショックを受け、家を出てしまう。
彼女は、ジョージとともにアメリカ行きの船に乗るが、オリヴァーとその父老トンプソン(ハリー・アンドリュース)に見つかり揉み合いとなる。ヴィクトリアは誤ってジョージを燭台で殴り倒してしまう。
ジョージは助かったのだが、オリヴァーは彼が死に、その死を隠蔽したとヴィクトリアをだまして自分の言いなりにする。
やがてヴィクトリアは妊娠する。彼女が信用できないオリヴァーはお目付け役にシモンズを付ける。結局、子供は死産だった。
ある日、ヴィクトリアは、オリヴァーが隠していたジョージからの手紙を見つける。騙され、無実の罪で夜毎うなされていたことを彼女は知った。
オリヴァーに対して一段と冷たい態度を取るようになり、今度はウィルソン牧師(マイケル・マーフィー)を話し相手にする。
ウィルソン牧師の著作に催眠術の研究書があった。試みに彼がヴィクトリアに催眠術をかけると、見事に彼女は意識を失ってしまう。チャンスとばかりにオリヴァーは牧師を散歩に出し、彼女を意のままにする。
オリヴァーは倉庫に殺虫剤を撒いたころから体調を崩す。フィンチ医師は殺虫剤が原因と判断した。
オリヴァーは一旦回復するが、急激に悪化。やがて衰弱し死んでしまう。
フィンチ医師が解剖するとクロロフォルムが匂った。
ヴィクトリアは、オリヴァー毒殺の容疑で告訴される。
胃からクロロフォルムが検出されたにもかかわらず、喉には痕跡がなく。フィンチにも説明できなかった。
ヴィクトリアは、オリヴァーに催眠術をかけてクロロフォルムを飲ませていたのだ。それでは喉にクロロフォルムによる炎症がないことの説明になっていないと思うのだが、強制的に飲ませなければ痕跡は残らないという設定になっている。ここらへん、ちょっと説明不足と感じた。
とにかくヴィクトリアは証拠不十分で無罪になり、悲劇の未亡人として地元の名士となった。その後、彼女はジョージとともにアメリカに渡ったのだった。
なにしろ珍作SF「ストレンジ・インベーダーズ」のマイケル・ローリン監督作品なので、ピントのはっきりしない中途半端な作品になっている。もしかしたら、本来悪女物だった作品を、製作に加わったジョディ・フォスターが女性の自立を描く作品に変更しようとしたのかもしれないと思えてくる。
残念なことに名手ジョルジュ・ドゥルリューのスコアも、さほど効果的に使われていない。
ヴィクトリア