原題 ; NICE GIRLS DON'T EXPLODE(1987) |
監督 ; チャック・マルチネス |
脚本 ; ポール・ハリス |
音楽 ; アンソニー・マリネーリ、ブライアン・バンクス |
出演 ; バーバラ・ハリス、ミシェル・メイリンク、ウィリアム・オリアリー |
サブタイトルは「キッス一発火事の元」。超異常の過保護ママに悩まされる娘と、その恋人を描いたコメディー。 映画秘宝では、恋に燃えると本当に発火してしまう娘が、雨男の青年にめぐり合って無事鎮火、結ばれるストーリーと紹介されていた。 エイプリル(ミシェル・メイリンク)は、離婚したママ(バーバラ・ハリス)と二人暮し。 離婚がトラウマとなったのか、ママはエイプリルから徹底的に男を遠ざけていた。 やがてエイプリルは高校生となった。ママはデートに消火器を持たせる。 彼氏と良い雰囲気になると、レストランのあちこちから火の手が上がって大騒ぎ。帰りがけには彼の車が突然炎上してしまう。 ママが言うには、エイプリルは恋心が燃え上がると、本当に火事を起こしてしまう特異体質。 実はママが放火魔エレンから火薬を買い込み、リモコン式の発火装置を作ってエイプリルの行く先々に仕掛けていた。 エイプリルは幼馴染みのアンディ(ウィリアム・オリアリー)と再会したが、火事を恐れて逃げ回る。 結局、エイプリルとアンディは公園の砂場でデート。追いかけてきたママが火薬を投げるとアンディのズボンにくっ付いてしまう。さすがのママもスイッチが押せない。エイプリルは、アンディが相手なら大丈夫と大喜び。 だが、次のデートでママがリベンジ。アンディの車を燃やしてしまう。 アンディは、誰かがエイプリルを男から遠ざけるためにやっていると見抜いてしまう。ママは彼に、実はエイプリルが二重人格で、犯人はもう一人のエイプリルなのだと吹き込む。 アンディはエイプリルを連れて精神病院に行く。待合室で彼女はエレンに会い、火をつけずにはいられない話で意気投合。放火魔仲間と思い込んだエレンは彼女に惚れてしまう。 そのころアンディは、ママに買収された看護士に捕まり、片足の毛を剃られていた。 さらにアンディは、誤って下半身に脱毛剤を塗ってしまい、アソコもツルツルになる。 エイプリルはアンディとキスするために氷風呂に入って体を冷やす。さすがのママも自分の家は燃やせない。 今度こそ成功と喜ぶが、ママは飼い猫に火がついたと嘘をつき消火剤をかける。 アンディは猫が火傷していないことから真相に気づく。彼はテープレコーダーを隠し持ってママを問いつめようとするが、逆に変質者として警察に突き出されてしまう。 留置場でアンディは放火魔エレンと親しくなる。 急がないとエイプリルとママが旅に出てしまうというので、エレンは自分の身代わりにアンディを保釈させる。 駆けつけたアンディはガソリンをかぶりエイプリルにキスを迫る。 だが、エイプリルは怖気づいてキスできない。その時、近所の子供が投げた花火がアンディめがけて飛んできた。 思わずアンディに飛びついて助けるママ。ところが、このはずみでママはリモコンを落としてしまった。 エイプリルがスイッチを押すと、庭のあちこちから火の手が上がる。 集まった近所の人たちは素晴らしい花火ショーだと大喜び。 ついに真相を知ったエイプリルは、卓球奨学生として中国に渡ることが決まったアンディについていく決心をする。 ママは、実はエイプリルが幼い頃誤って販売された爆発性物質入りのクッキーを食べたため、セックスすると摩擦で爆発する特殊体質になったと、この場に及んでもデタラメを言う。 半信半疑のエイプリルはアンディのもとへ。雨の中、ママは窓の外から泣き落としにかかるが、すでに彼女の行動パターンを見抜いている二人はエイプリルの家に向かっていた。 アンディの恋人がエイプリルであることを知ったエレンは、失恋した腹いせにエイプリルの家に爆弾を仕掛ける。 二人が合体したとき、爆発が起こった。エイプリルの死体を抱いたアンディの姿を見て倒れこむママ。 エイプリルは無事で、仕返しで脅そうとしただけだった。慌てて駆け寄る二人。 しかしママを簡単に騙せるわけはない。彼女も芝居だった。 三人は和解し、やがて中国で卓球に励むアンディを見守るエイプリルとママの姿があった。 いくらコメディといっても、行く先々でボヤ騒ぎを起こして車を炎上させてしまう基本設定に無理がありすぎ。捜査して発火装置が見つかれば、それこそ大騒ぎになるはず。それなのに警察も消防署もまったく出てこないのは、どう考えても納得できない。 この前提の矛盾を無視できれば、作品自体の出来はそれほど悪くない。爆笑するほどの場面はないのだが、とぼけた味わいで、それなりに楽しめる作品になっている。 「ナッシュビル」「ファミリー・プロット」で魅力的なヒロインを演じたバーバラ・ハリスが、すっかりオバサンになって怪演を披露する。このところヴォイス・キャスティングというスタッフのクレジットで、バーバラ・ハリスという名前をよく見るのだが、今回調べて別人と分かった。 |