プロジェクトS
 原題 ; ONCE A COP(1994)
 監督 ; スタンリー・トン
 脚本 ; スタンリー・トン、モク・ダンハン、シュウ・ライモン
 音楽 ; 
 出演 ; ミシェール・キング、ユー・ロングァン、エリック・ツァン、ジャッキー・チェン
「ポリス・ストーリー3」で大活躍を見せたミシェール・キング扮するヤン・ホア刑事(アメリカ版ではジェシカ・ヤン刑事らしい)を主役にしたスピン・オフ作品。
そのため「Police Story 3 Part 2」「Police Story 4: Project S」「Police Story V」など別タイトルが山ほどある。
ジャッキー・チェンがワン・シーンだけゲスト出演。
中国で赤軍派が大臣を含む人質をとって立てこもった。
出動したヤン・ホア刑事(ミシェール・キング)は医者に化けて乗り込み、隙をついて赤軍派を攻撃する。
人質の中にいたヤンの恋人フェンも戦いに加わる。ヤンたちは大臣を逃がし、自分たちも脱出に成功した。
この活躍で二人は表彰される。
フェンはヴェトナム帰りの元軍人で、今は警備員をしている。彼はかっての戦友チュアンと香港に渡り、ひと稼ぎしようと考えていた。
半年後の香港、警官たちがミン刑事の妹メイの誕生日を祝っていた。彼女の恋人はミンの同僚ルン刑事。
フェンは仲間チュアンたちの警備会社襲撃に加担していた。表で見張り駆けつけた警察に発砲して仲間を逃がす。
路上で銃撃戦となる。騒ぎを聞きつけたパーティ会場の刑事たちも飛び出していくが、結局逃げられてしまう。
盗まれたのは警備会社のシステム設計図と顧客情報。中国人ギャングの犯行とにらんだ香港警察は中国に協力を依頼、ホア刑事がやって来る。
ミン刑事が空港に迎えに行く。ルン刑事も来た。
ホアはミンとメイ兄妹のアパートに滞在することになる。
犯人が香港の密輸ブローカー、ピンとつながりがあることを突き止め、港へ捜査に行く。
ピンとその客”爆破王”を尾行すると、アジトにはフェンとチュアンもいた。三人は応援を要請する。
警察無線を傍受したフェンは警察に気づく。銃撃戦となり、爆破王が爆薬を仕掛けて刑事たちをおびき出す。
ホアの姿を認めたフェンは爆破命令を撤回するが、手下は待ちきれずに爆破。爆弾に気づいたホアは間一髪で逃れる。
フェンはばすの屋根に飛び乗って脱走。ホアは車に屋根を飛び渡って追うが、フェンはスポーツカーを奪って逃げてしまった。
この争いでチュアンの弟チュンがミン刑事に射殺され、爆破王は逮捕された。
復讐にはやるチュアンを、フェンは爆破王の救出が先だといさめる。
フェンはホアに電話してデートに誘う。彼が犯罪グループのボスとは知らないホアは喜んで出向く。
フェンを紹介されたミンは内心穏やかでない。メイに冷やかされてばかり。
ホアはフェンに自分の勲章をプレゼントする。
そのときチュアンが別の部屋にいたメイを襲う。駆けつけたミンが撃たれそうになったとき、フェンがチュアンに飛びかかって助ける。
これはフェンが警察内部に入り込むための芝居だった。フェンは爆破王がヴェトナム時代の部下なので、自分になら自供するかもしれないと言う。
フェンと爆破王は一芝居うって警察にニセ情報を与える。
宝石店に女装して張り込んでいだチェン刑事(ジャッキー、チェン)は強盗一味を捕まえるが、フェンの組織とは別だった。ジャッキー・チェンの出番はここだけ。
フェンの手下が警察病院を襲撃。爆破王はベッドに火をつけてボヤ騒ぎを起こし、混乱に乗じて助けに来た仲間とともに、屋上からパラセールで脱出した。
香港警察はフェンに疑いをかけ、ホアを帰国させようとする。ホアはミンとルンを説得して居残った。
ホアはフェンのオフィスに乗り込んで問いつめる。フェンは否定した。ホアは安心して手が引けると言って立ち去るふりをする。彼女は出てきたフェンを尾行。
一方、ルンはチュアンを追う。結局両方ともまかれてしまうが、ロジャー・デヴィッドソンという男と手を組んでいることをつかんだ。
ロジャーは香港中央銀行の金庫設計者だった。
そのころ一味は現金輸送車で銀行の中に侵入していた。仲間が電話回線を切断した銀行内をマシンガンで制圧する。
銀行に到着したホアとルンは装甲車で銀行に乗り込むロジャーを見つけて後を追う。
ロジャーは計画にない自分の部下を連れてきていた。一味は地下金庫に侵入するが、銀行は警察に包囲されてしまう。
通風孔を爆破すれば地下鉄の車庫に抜けられるとロジャーは動じない。一味は金庫を破った。
ホアとルンが駐車場にいたロジャーの手下を倒す。
ロジャーを信用していないフェンは仕事が済んだら、ロジャーたちを始末するつもりでいた。
だが、先に裏切ったのはロジャーだった。爆破王が殺され、チュアンは金庫の扉に押しつぶされてしまう。
ロジャーを追うフェン。ロジャーはボンベを積んだトロッコで逃げる。フェンは飛び移って攻撃を仕掛ける。
警察は地下鉄のシャッターを下ろして封じ込めようとする。
フェンはロジャーを射つ。駆けつけたホアが銃を突きつけた。そのとき虫の息のロジャーが爆弾を投げた。
爆発で海底トンネルが崩壊していく。流れ込む海水。傷ついたフェンを連れて逃げるホアとルン。
閉じていくシャッターを潜り抜けるが、一歩及ばずフェンが取り残されてしまう。
ホアがあわてて戻ろうとするがシャッターはすでに閉ざされていた。
地下道にはホアの嘆きの声が響くのだった。
香港製アクション映画の中では比較的ストーリーのまとまった作品とは思う。その分、香港映画らしい突き抜けた破天荒さがなくなってしまったのが残念。
香港の監督としては比較的寡作ながら、ジャッキー・チェンとのコンビ作や藤原紀香も出演した「SPY−N」のスタンリー・トン作品なので(「Mr.マグー」だけはなんとも場違いの印象だったが)手堅い仕上がりの作品ではある。