原題 ; RECKLESS(1995)
 監督 ; ノーマン・ルネ
 脚本 ; クレイグ・ルーカス
 音楽 ; スティーヴン・エンデルマン
 出演 ; ミア・ファーロー、スコット・グレン、メアリー・ルイーズ・パーカー
決まってクリスマスに悪夢のような出来事に襲われるという奇妙な運命に翻弄される女性を描いた不思議な味わいのブラック・ユーモア作。
テンポの良い演出で配役も個性的、一風変わった物語に深みを与えている。
クリスマスも夜、レイチェル(ミア・ファーロー)は仲の悪かった夫トムとよりを戻すが、夫は意外な告白。
トムはレイチェルを殺すために殺し屋を雇っていたのだ。5分後に押し入ってくる手筈だがキャンセルは効かないので、すぐに逃げてくれと言う。
すでに階下からは物音が、レイチェルは窓から逃げ出し雪降る中をネグリジェとカーディガン、スリッパ履きの姿でさまようハメに。
知り合いに電話しても殺し屋の話など信じてもらえず、行く場所がない。
たまたま通りかかったロイド(スコット・グレン)は行き先のないレイチェルを自宅に連れて行く。
ロイドには不釣合いに若い車椅子に乗った聾唖の妻のプーティ(メアリー・ルイーズ・パーカー)がいた。
レイチェルはロイドたちと暮らすことになり、ロイドの職場である福祉団体に事務職を紹介される。
事務の先輩トリッシュは無愛想だったが、新しい人生は順調に思えた。
実はプーティは話すことができた、ロイドが好きになり気を引くために偽っていたのだ。
ロイドにも難病の妻と子を捨て子供の教育資金を持ち逃げしたという過去があった。
レイチェルたちは教育資金を返すため、変装してプーティが母親、ロイドとレイチェルが息子夫婦という設定でテレビの家族クイズに出場、見事優勝して賞金10万ドルを手にする。
次のクリスマス、トムが訪ねてきた。
偶然テレビを見て居場所を知ったのだ。トムは玄関に置いてあったというシャンパンを持っていた。そのシャンパンを飲んだトムとプーティは突然血を吐いて死んでしまう。
レイチェルは事情も分からないままサンタ衣装で放心状態のロイドを連れて逃亡。
二人は各州を逃げ回るが、サンタ衣装のままのロイドはすっかりアル中状態。
そんなある日、トリッシュが背任横領で逮捕されたというニュースが流れた。
毒入りシャンパンは、勝手にコンピューターを使ったレイチェルが横領に気づいたと疑ったトリッシュの仕業だった。
レイチェルは出頭して無実が証明できると喜ぶが、ロイドはシャンパンのコルクを喉に詰まらせて死んでしまう。
次のクリスマス、放心状態でさまよっていたレイチェルはホームレスのための慈善食堂でシスター・マーガレット(アイリーン・ブレナン)ら尼僧たちに助けられる。
口も聞けない状態のレイチェルはイヴと名づけられ少しずつ回復した。
6年後のクリスマス、レイチェルとシスター・マーガレットは路上で目出し帽を被った男に発砲される。
レイチェルはショックで声が出せるようになった。
さらに月日が流れ、レイチェルはセラピストになっていた。
クリスマス・イヴの前日、相談に来た学生のトム(スティーヴン・ドーフ)が意外な話を始める。
トムもまたクリスマスにトラウマを抱えていた。
母がクリスマスに家出、次のクリスマスに母を迎えに行った父は毒殺、失踪していた兄はクリスマスに「あの女を見つけた」と連絡してきた直後に路上で乱射事件を起こしたという。
トムはレイチェルの次男だった。
トムは家族のいた頃のクリスマスに母のツリー飾りをけなしたことが母を傷つけ、それがその後の家庭崩壊につながったのではないかと悩み続けていた。
レイチェルは名乗らず、セラピストとしてトムを支える決心をするのだった。
けっこう悲惨なストーリーなのだが、あっけらかんとした雰囲気があり見ていて暗い気分にはならない。
ラストでようやく主人公が自分の身の置き場を見つけ、ちょっとホッとさせてくれるのも嬉しい。
オープニングとエンディングのレイチェルの家などに、いかにもミニチュアっぽいセットを使用して寓話的ムードを強調しているのも印象的だった。

レックレス逃げきれぬ女