製作 ; (1990) |
監督 ; 千葉真一 |
脚本 ; 佐藤繁子 |
音楽 ; 大谷幸 |
出演 ; 真田広之、菅原文太、村松美香、長門裕之、蟹江敬三、黒崎輝、夏八木勲 |
千葉真一の監督第一作、というか本編の監督はこれ一本。(ビデオ用映画に「覇拳」というのがあるようだ) ケレン味はないが、丁寧な演出できっちりまとまった作品に仕上がっている。 登場人物が良く描けているし、日本の自然を捉えた映像もなかなか良い。 山に次々と炭鉱が掘られ、マタギが時代遅れとなりつつある時代背景も描かれ作品に深みを増している。 パンフレットには全て本物の熊を使ったとあるが、これはどう見ても嘘。 頑張って作ってはいるのだが作り物にしか見えない場面があるのは残念。(それでもアーノルド・シュワルツェネッガーの「超人ヘラクレス」に比べれば百倍良くできているのだが) 深作欣二が企画・監修に参加、真田広之は音楽監督も担当している。 大正4年に起きた人食い熊事件に発想を得て作られた。 若い夫婦の家が熊に襲われ夫は殺され妻は連れ去られた。 それは女のみを食らう人食い熊アカマダラの仕業だった。 アカマダラを追い続けるのは嘉助(菅原文太)ひきいるマタギの集団。 狡猾なアカマダラは川で匂いを絶って逃走していた。 吹雪により一旦引き返すマタギたち。 途中別の熊を狩るが、銃を撃つタイミングを掴みかねていた鋭冶(真田広之)の横から熊を射殺した女マタギがいた。 それは鋭冶の幼なじみユキ(松谷美香)だった。 ユキは一年前に両親と弟をアカマダラに殺され、母は遺体すら見つからなかった。 ユキは敵討ちのためマタギに加わることを望むが、女は山に入れないというしきたりのため叶わず、愛犬の芽留(メル)とともに姿を消していたのだ。 嘉助は、娘ミツの結婚相手に鋭冶を考えていたのだが、鋭冶がユキへの想いを断ち切れないことを知り、サブ(黒崎輝)と結婚させることにする。 ふもとの村が祭の日、よろず屋(蟹江敬三)の若妻ヤエ(高部知子)が食われる事件が発生、村中がパニックに陥る。 村の中にまでアカマダラが現れたことにより、村の女たちは避難しなければならなくなった。 嘉助は作戦を変更し、各人が一人マタギとなって広範囲に散らばり待ち伏せすることにする。襲われても助けが間に合わないかもしれない、危険な作戦だった。 鋭冶は小屋に女の匂いの付いた着物をばらまき、アカマダラをおびき寄せようとする。 そこにユキがやって来た。ユキは自分を囮にしようというのだ。 もくろみ通りアカマダラはやって来た。巨大な手が小屋の壁を突き破る。 アカマダラの爪がユキを捉えるが深手は負わずにすんだ。 アカマダラの攻撃を避けるため小屋の中央に身を寄せて様子をうかがう二人。 その時、天井を破ってアカマダラが侵入してきた。 梁を伝って鋭い爪をかわし戦う二人。 鋭冶は、のしかかってくるアカマダラの胴体を槍で貫くことに成功した。 よろめくアカマダラは小屋の壁を壊して倒れていく。 同時に小屋も崩れ落ちた。 這い出してくる鋭冶、ユキも気絶しただけで無事だった。 湯気を上げるアカマダラの死体。 二人は強く抱き合うのだった。 |