原題 ; SARA(1997)
 監督 ; マチェイ・シレシツキ
 脚本 ; マチェイ・シレシツキ
 音楽 ; マレク・ステファニケウィック
 出演 ; ボグスワフ・リンダ、アグニェシュカ・ヴォタルチック、ツェザーリ・パズーラ
マフィアの娘と愛し合うようになってしまう元特殊部隊員のボディガードを描くポーランド製ハードボイルド・アクション。
国連の特別使節が3人の暗殺者に狙撃され、護衛が身代わりとなった。
陸軍特殊部隊のレオン(ボグスワフ・リンダ)には二人の娘がいたが、任務を終えて帰宅したとき、拳銃をおもちゃにして片方の娘がもう一人を撃ってしまう。
レオンは離婚し、酒浸りの荒んだ生活を送っていた。彼はマフィアのボス、ヨザフに呼び出される。
ヨザフは酔っ払ったレオンを見て追い返そうとするが、その場を三人の殺し屋が襲撃。レオンはとっさにヨザフを助けた。
そこにヨザフの娘サラ(アグニェシュカ・ヴォタルチック)がやって来る。
飲みすぎて意識不明になったレオンはベッドで点滴を打たれながら気を取り戻す。
ヨザフはレオンをサラのボディガードにした。
レオンは学校の外で授業の終わったサラを拾う。隠れ家に着くと門の前でボヤが起きていた。
レオンはサラを自宅に連れて行き、状況を確認する。ボヤは酔っ払いの仕業ということだった。
しまってあった銃で武装したレオンは、サラに防弾チョッキを着させる。彼に反発したサラは服を脱いで下着に防弾チョッキという姿で帰宅した。
ヨザフにはサラが狙われているという情報が入っていた。
サラは学校のバスケット試合にチアリーダーとして参加する。
レオンは勝利の混乱にまぎれてサラを見失ってしまう。これはサラのいやがらせ。彼女は先に車に戻っていた。
勝利を祝うディスコでのパ−ティー。まとわりつくレオンにうんざりのサラ。彼女はトイレに行くふりをして車で逃げだす。
走って追いかけるレオンに気を取られたサラは交差点で追突事故を起こしてしまう。
レオンは気絶したサラを助け出す。
衝突されて横転した車の運転手は殺し屋だった。ショットガンを手に立ち上がる。
殺し屋に気づいたレオンは防弾チョッキを着た自分の背中を撃たせ、素早く逆襲して撃ち殺す。
サラは自分のために負傷したレオンを愛するようになっていた。
レオンは背中を撃たれたが、狙いはサラの頭だった。
辞めると言い出したレオンをサラは引きとめる。
ヨザフは仲間内の食事会でサラを紹介した。サラは身内も疑っている。
サラはレオンにぞっこんだが、彼は受け入れない。
レオンは階段の上からコインを投げ、裏か表かでサラのことを占い、その結果として彼女を抱くことにした。
本を燃やして湯を沸かし、レオンはサラを風呂に入れる。
肉体関係ができてサラは有頂天。そうとは知らないヨザフは、レオンに一人娘に悪い虫が付かないよう気をつけてくれと頼む。
ヨザフはレオンを自分の事業に誘う。
レオンは今度こそ辞めるといい、サラに別れを告げる。
父親の手下からレオンが事故で娘を死なせたことを聞いたサラはレオンの実家に出向く。
レオンはサラを追い返す。外に出たサラは車に轢かれそうになった。
サラをヨザフの元に送り届けたレオンは自分の心を偽るのをやめ、サラの愛を受け入れる。
車で襲ったのはサラの元ボーイフレンドで、ふられた腹いせらしい。
レオンは避妊方法を説くが、サラは子供が欲しいと涼しい顔。
二人は中華料理店で情熱的なダンスを披露するが、そこに敵がやって来た。
レオンは銃で威嚇して厨房から脱出した。サラは二人が写った写真の入ったバッグを置いてきてしまう。
車の件はサラがレオンの気を引くために仕組んだ狂言だった。彼女が頼んだ相手が車に轢かれて死んでしまう。
もしかしたら事故ではないのかもしれない。サラは自分がしたことの結果に悩む。
サラはレオンと別れると言い出す。レオンの元に残された妊娠検査薬は陽性を示していた。
レオンは実家でサラを待っていた。そこをギャングに襲撃され父親が撃たれてしまう。
水槽越しに敵を撃ち殺すレオンだが、瀕死の父親を人質に取られて銃を捨てる。
写真を見たヨザフがレオンを始末することにしたのだ。
ヨザフの手下二人がレオンを森に連れて行き、彼自身を埋める穴を掘らせる。
口答えするレオンを殴る蹴るの二人。結局痛めつけるだけで去っていく。(だったら穴を掘らせる意味がなかった気もする)
サラの妊娠を知ったヨザフは気を変えてレオンを殺すことにした。だが、すでに手下はレオンを置き去りにして帰ってきてしまっていた。
二人の悪徳警官がパトカーで現場に到着するが、傷ついたレオンはすでに姿を消していた。
レオンの父親を撃ったことはヨザフ最大の過ちだった。父親は病院で息を引き取る。
ヨザフはサラに無理やり中絶手術を受けさせようとするが、抵抗が激しくて上手くいかない。ベッドに縛りつけて手術することにした。
レオンはショットガンを手にしてヨザフ邸に現れる。まずヨザフに組する悪徳刑事を血祭りにあげた。
邸内に乗り込み次々と手下を撃ち倒す。
間一髪、手術に間に合ったレオンはサラを救出。
サラは父親の金庫からマシンガンを持ち出す。
レオンに銃口を向けるヨザフ。間に入ったサラが父親に銃を向けた。マフィアの娘として家族を傷つけようとしたことが許せないと脅す。
娘の言葉にヨザフは銃を下ろした。
二人が表に出ると、パトカーで二人の警官がやって来た。
レオンは適当にあしらってやり過ごそうとする。二人はヨザフ子飼いの悪徳警官だった。
サラは金庫から40万ドル持ち出していた。それを知ったレオンはアフリカで魚を獲ろうとサラに持ちかける。
警官の片割れが歩み去る二人の背後から銃口を向けた。気づいたサラはレオンをかばい、数発の弾丸を受けて倒れる。
マシンガンで警官を射殺したレオンは横たわるサラにすがりつく。
動転したレオンは「お前なしでは生きていけない。今目覚めてくれたら一生お前のそばにいる。死ぬまで離れない」と嘆く。
「死ななきゃ言ってくれないの」サラが突然微笑んだ。彼女はこっそり防弾チョッキを着込んでいたのだ。
してやられてふてくされるレオン。
二人はぬかるみの道に足を取られながら肩を並べて歩きはじめるのだった。
ポーランド製のアクション映画は珍しい気がする。
「レオン」がヒットした影響で日の目を見たラッキーな映画ということなのかもしれない。
ちょっとオフビート気味でストレートなアクション映画ではないのだが、ユーモラスな描写もあって、けっこう楽しめる出来。
「レオン」と比較するのは、さすがに無理と思うが、B級アクションと割り切れば、捨て難い味を持っている。
オープニングのアクションと本筋のつながりがうまく表現できていないなど、ややギクシャクした部分があり、それぞれのエピソードがこなれていない印象を残すのは惜しい。
ヒロイン役のアグニェシカ・ヴォタルチックはなかなかキュートだし、サービスのヌード・シーンもある。
レオン役のボグスワフ・リンダはアンジェイ・ワイダ監督の「鉄の男」などにも出ていたポーランドのベテランらしい。
SARA レオンの愛した女