原題 ; A SHOW OF FORCE(1991)
 監督 ; ブルーノ・バレット
 脚本 ; ジョンストロング、エヴァン・ジョーンズ
 音楽 ; ジョルジュ・ドゥルリュー
 出演 ; エイミー・アーヴィング、ロバート・デュヴァル、アンディ・ガルシア
実際に起こった未解決事件を映画独自の解釈で描いたポリティカル・サスペンス。未公開作ながら、けっこう豪華な配役になっているのも見どころ。
1978年、プエルトリコで自治領制定記念式典が開催されていた。
その最中、テロリストがセロ・マラビアの通信塔を攻撃、警察が銃撃戦の末射殺したという報道があった。
TVレポーターのケイト・メレンデス(エイミー・アーヴィング)は早速調査を開始。
学生運動家二人が射殺され、おとり捜査官のフエンテス(ルー・ダイアモンド・フィリップス)も負傷したという内容だった。
翌日、ケイトは上司のハワード(ロバート・デュヴァル)に情報源としてFBIのフランク・カーティン(ケヴィン・スペイシー)を紹介される。
フランクは放送塔の事件現場写真に写っていた男だった。
さらに調査していくと死んだ二人は学生の活動家であったがテロ活動に組してはいなかったとの証言が出てくる。
学生の一人には妻子がいた。高名な弁護士だった夫をガンで亡くし、二人の子供と暮らしているケイトには他人事と思えない。
テロリストが持ち込んだと発表された爆発物も見つかっていなかった。
次にケイトはフエンテスを取材するが、負傷した様子もない。
ケイトは活動家のリーダー、チャベスに接触する。チャベスによれば二人はフエンテスに扇動されて放送塔に行ったのだという。
そこに警官隊が乗り込んできた。チャベスは撃たれ、ケイトも連行されてしまう。彼女は軍に務める父の力で釈放された。
ケイトはテロリストに乗っ取られ、放送塔に行ったというタクシーを調査する。タクシー運転手フリオの話によると、警察がいきなり発砲してきたのだという。
当日、近くをピクニックしていた者の証言では、銃撃戦の約10分後に数発の銃声が響いていた。
ケイトが帰宅するとフエンテスがあがりこんでいた。彼は共産主義者を倒すのが仕事だと言う。
放送を見たフリオが放送局を訪ねてくる。彼は死んだ二人の学生とともに殴られたが、学生の一人がフリオは関係ないと証言したため助かり、学生たちは射殺されたのだった。
疑惑がつのり、大陪審も調査に乗り出す。
ケイトは何者かに拉致され注射を打たれてしまう。連れて行かれた先はフエンテスが待ち構える闘鶏場だった。脅され殴られて解放された。
取材を諦めかけたケイトだが、母親に励まされ続けることにした。
証拠不十分で大陪審は閉廷し、重傷だったチャベスは死んだ。
チャベスの葬儀でケイトはフランクの姿を見かける。
チャベスの死に責任を感じるケイト。ハワードは、これ以上深追いすれば命に関わると忠告する。
ケイトは、FBIが知事に票を集めるための工作として仕組んだものだと推理する。
予想通り現知事は選挙で大勝した。
事件について聴聞会が開かれることが決定した。ケイトは聴聞会を中継するために、反政府寄りの弱小放送局と手を組むことにする。
プロジェクトの最中、ケイトは聴聞会を担当する特別検察官ルイス(アンディ・ガルシア)を紹介される。
聴聞会の争点は二人が即座に殺されたのかどうかだった。
フリオは、即死と発表された二人が、最初の銃撃戦の後に生きていたことを証言する。
ルイスは、二人の死体写真を公開し検死報告との矛盾を突くが、医師は死後についた傷だと譲らない。
フエンテスが喚問され、学生二人に銃を買い与えたのが彼であることが公けになる。
追いつめられたフエンテスは、またもケイトを脅迫。
学者の分析では、学生の一人はひざまずいたところを上から撃たれており、発表のように伏せた警官の銃撃による傷ではありえなかった。
もう一人は、両足、胸、心臓の順で撃たれていた。
ケイトを、フリオを殴ったという警官マカド(エリック・エストラーダ)が訪ねてくる。
彼の証言によれば、二人は銃を撃っておらず、警察が後で発射したのだった。二人は投降し命乞いをしたが、警察は射殺するように命令されていた。
法廷にはマカドを冷たい目で見つめるフランクの姿があった。彼こそ陰謀の指揮官だったが、報復を恐れるマカドは法廷でフランクの名前を出すことが出来ない。
聴聞会は終わった。機材を片付けるケイトにフランクが接触してきた。それを見たルイスは、クルーに指示を出し隠し撮りの準備をさせる。
そうとは知らないフランクは、全てを喋ってしまう。しかも、この作戦は彼の独断によるものだった。ケイトを始末するとまで言ってのけるフランク。
カメラの存在を教えられたフランクは憮然として去っていった。ケイトはルイスに向かって両手を上げ大喜びするのだった。
最後に事件は実際のことだが、フランク以下登場人物は架空のものであり、現在も未解決で調査中であるというテロップが流れる。
社会派サスペンスの佳作なのだが、終盤の展開が少々甘く、作品全体の印象が軽くなってしまったのが残念。
監督のブルーノ・バレットはブラジル出身。関係あるようなないような。
スティーヴン・スピルバーグ元夫人だったエイミー・アーヴィングは、この作品の後1996年にブルーノ・バレット監督と結婚。彼の作品2本に出演するが、2005年に離婚している。
ケヴィン・スペイシーの比較的初期の出演作だが、若くて今より丸顔なため悪役としての迫力に欠けるのが残念。「スーパーマン・リターンズ」のレックス・ルーサー役に期待している。
エリック・エストラーダは、「白バイ野郎ジョン&パンチ」で人気を博したが、映画出演はB級作か脇役が専門。
テロリストを撃て!