デビルズ・パイレーツ
 原題 ; TREASURE ISLAND(1990)
 監督 ; フレイザー・C・ヘストン
 脚本 ; フレイザー・C・ヘストン
 音楽 ; パディー・モロニー
 出演 ; チャールトン・ヘストン、クリスチャン・ベイル、オリヴァー・リード、クリストファー・リー
恐ろしげなビデオ・タイトルだが、ロバート・ルイス・スティーヴンソンの「ジキルとハイド」と並ぶ代表作「宝島」をドラマ化したテレフューチャー。
監督のフレイザー・C・ヘストンは先日亡くなったチャールトン・ヘストンの息子。チャールトン・ヘストンがロング・ジョン・シルヴァーに扮し、序盤にオリヴァー・リードとクリストファー・リーがゲスト出演しているのは、そのためかもしれない。
ジム・ホーキンズ(クリスチャン・ベイル)の母親が営む宿屋にキャプテン・ビリー・ボーンズ(オリヴァー・リード)がやってくる。
ビリーは、昼は岬で海を見張り、夜はラム酒を飲んですごす。酔って医師で治安判事のリヴジー(ジュリアン・グローバー)ともめることもあった。
ある日、黒犬という男がビリーを探しにやってくる。二人は戦いになり、黒犬は逃げ出す。
ジムが表に出ると目つぶしと呼ばれる盲目の男(クリストファー・リー)がいた。彼はビリーに10時まで待つというメッセージを渡して去っていく。
身体をこわしていたビリーは、ジムに水夫箱の鍵を渡して死ぬ。
母親がビリーに箱を開けさせ宿代を取ろうとしていると、目つぶしと仲間たちが襲ってきた。
二人が表に逃げると、部下を率いたリヴジーが馬に乗って駆けつけてきた。
逃げていく悪党ども。仲間に置いていかれた目つぶしは、馬に踏みつぶされて死んだ。
リヴジーとジムは、水夫箱から持ち出した包みを地主のトリローニー立会いで検分する。
中には宝島の地図が入っていた。それには「高い木、望遠鏡山、北北東より1ポイント北、どくろ島、東南東より1ポイント東、10フィート、銀の延べ棒は北に隠し場所にあり、黒いごつごつした岩の10尋(ひろ)南」と記してあった。
署名はジョン・フリントだった。彼は残虐で名をはせた海賊だ。
トリローニーは、スモレット船長のもと、ジムをボーイにしてヒスパニオーラ号で宝島を目指すことにする。
コックとして片足で肩にオームを乗せたロング・ジョン・シルヴァー(チャールトン・ヘストン)が雇われた。
ヒスパニオーラ号は出航した。海が荒れジムは船酔いでダウン。
島が近づいたころ、ジムはジョン・シルヴァーが海賊でフリントの部下だったことを聞きつけてしまう。
ジムはこのことをトリローニーたちに知らせる。スモレットは、知らないふりをして航海を続け、いざというときまで待つ作戦をとる。
ジョン・シルヴァーたちは宝島に上陸した。陸地に着くとジムは一目散に逃げ出す。隠れて海賊たちの動向を見張ろうというのだ。
船内で叛乱が起こる。スモレットたちは鎮圧に成功した。
ジムは、3年前島に置き去りされたベン・ガンと出会う。彼は手製のボートを持っているという。
斥候が湧き水と小屋を見つけた。スモレットは船を捨て、水のある場所を確保することにした。船に残った海賊の砲撃を受けながらも上陸に成功する。
だが、島でも海賊の攻撃を受け、トリローニーの部下トムが死んでしまう。スモレットたちは小屋に篭城(ろうじょう)する。
ジムは小屋でスモレットたちと合流した。浜辺に野営する海賊たち。夜陰に乗じてベンが一人の喉を掻き切った。
翌朝、ジョン・シルヴァーがリヴジーたちに会見を申し込んできた。海図を渡して攻撃をやめれば、命を助けるというのだ。スモレットは応じない。
ジョン・シルヴァーは大砲を陸にあげ攻撃を開始した。必死に反撃するスモレットたち。
スモレットは負傷したが、部下が火薬の樽を投げて大砲の破壊に成功した。
ジムは夜になると小屋を抜け出し、ベンの小舟で単身ヒスパニオーラ号に乗り込む。彼は負傷していた海賊のイズラエルと手を組む。ジムは船を北浜に隠してしまう。
隙を突いてイズラエルがナイフで襲ってきた。ジムは銃を抜くが、火薬が湿っていて撃てない。
マストをよじ登ったジムは、銃の火薬を詰め直す。彼は投げナイフに傷つきながらもイズラエルを撃って海に沈めた。
小屋に戻ったジムは、待ち伏せていたジョン・シルヴァーに捕まってしまう。船がなくなったのを知ったジョン・シルヴァーはリヴジーたちと協定を結んだが、食糧を持ち逃げされてしまったのだ。
ジムの度胸が気に入ったジョン・シルヴァーは、彼を殺そうとする手下をとめた。
手下どもはジョン・シルヴァーを見限り、叛乱を起こそうとする。しかしリーダーシップを取れるものは他におらず、結局元通りで収まる。
海賊の中にはマラリアにかかった者もいた。リヴジーは彼らに薬を与える。
ジョン・シルヴァーは絞首台が怖いので、有利な証言をしてくれるなら味方すると言う。彼はジムを人質に取ったまま宝を捜し始める。
一行は奇妙な白骨死体を見つけた。フリントは部下を殺して、その死体を宝の方向指示に使ったのだ。
ロープで滝を越え、ひと休みしていると不気味な歌声が聞こえてきた。手下たちはフリントの歌声だと怯える。声の主はベン・ガンだった。
宝の場所はすでに掘り返されていた。リヴジー、ベン・ガンたちが銃撃して手下どもを追い払い、ジムとジョン・シルヴァーを助ける。
3年の間にベン・ガンが宝を掘り出して別の場所に隠していたのだ。彼は皆を宝の場所に案内する。海辺の洞窟に財宝が積まれていた。
一行は財宝を船に積み込む。ヒスパニオーラ号は英国に向けて出航した。海賊たちはついに姿を現さなかった。
ついにジョン・シルヴァーは本性を現す。彼は、舵を取るベン・ガンにナイフを突きつけて宝を奪い小舟で去っていく。
海原にジョン・シルヴァーの高笑いが響くのだった。
原作は読んだことがないので、どの程度忠実なドラマ化なのかは分からなかった。全体的に可もなし不可もなしといった出来ばえ。
悪くはないのだが、ちょっと盛り上がりに欠ける気がした。
出番は少ないがクリストファー・リーが誰だか分からないような扮装で怪演を見せるし、若き日のクリスチャン・ベイルが活躍するので見る価値のある作品だとは思う。