年度 ; (1970) |
監督 ; 山本迪夫 |
脚本 ; 小川英、長野洋 |
音楽 ; 真鍋理一郎 |
出演 ; 松尾嘉代、中尾彬、中村敦夫、南風洋子、小林夕岐子、高品格、浜村純 |
山本迪夫監督のホラー・シリーズ第一弾。 従来の日本映画が得意とした怪談物とは一味違うバタ臭さが特徴。 ハマーホラーを彷彿とさせる雰囲気を持っている。 また、ショッカーとしてのタイミングが抜群で、緊張した場面から一呼吸置いてホッとしたところで脅かすのがうまい。 三作品のキーポイントは深夜の洋館を彷徨う青白い顔の女。 嵐の夜、半年振りに海外出張から戻った佐川(中村敦夫)は、婚約者・野々村夕子(小林夕岐子)の住む蓼科の洋館を訪ねた。 その館には夕子の母・志津(南風洋子)、下男の源造(高品格)が住んでいた。 夕子は半月前に交通事故で死んだという。 その夜、佐川はロッキングチェアに座る怪しい人影を見た。 人影を追った佐川は闇に浮かぶ夕子の青白い顔を見るが、何者かに殴られ気絶してしまう。 翌朝、ベッドで目覚めた佐川は窓から庭を横切る夕子を見つけて後を追う。 佐川が追いついたのは墓場だった。夕子の手は異様に冷たく、「私を殺して」と言うばかり。 佐川が夕子を抱きしめると、夕子の目は黄色く輝き無気味な笑いを浮かべるのだった。 兄から一週間以上連絡がないことを不安に思った佐川の妹・圭子(松尾嘉代)は、ボーイフレンドの浩(中尾彬)と共に蓼科に向かう。 夕子の母は、佐川が四日前に帰ったという。 夕子の墓参りをした二人は、血の付いた兄のカフスボタンを拾った。 不審に感じた二人は、わざと車を故障させて館に泊まり調査することにする。 その夜、圭子は部屋で夕子に襲われるが、物音に浩が駆けつけると夕子の姿はなかった。 寝室で兄が夕子のために買った土産の人形を見つけた圭子は、夕子が生きているのではないかと役場に調べに行く。 そこで20年以上前、野々村家が強盗に襲われ、志津の夫が殺される事件があったことを知る。 夕子は、その事件から10ヵ月後に生まれたのだという。 二人は夕子の検死をした医師・山口(宇佐美淳也)を訪ねる。 山口は戦時中に死んだ兵士が起き上がって海に消えた体験談を語った。 単身館に戻った圭子が志津を問い詰めると、志津は夕子に会わせると言う。 それは罠で圭子は館の一室に閉じ込められてしまう。 そこに現われたのは山口医師。圭子は鎮静剤を打たれ意識を失う。 夕子が土葬にされたことを知った浩は墓を暴くが、棺桶の中にあったのは人形だった。 浩は源造に襲われるが、逆に源蔵を谷底に突き落とす。 圭子を探しに浩が館に飛び込むと、志津が真相を話し始める。 志津は事故で死にかけた夕子に催眠術をかけて生き続けさせたのだった。 だが、夕子は血を求める殺人鬼となってしまった。 催眠術をかけたのは山口医師。そして20年前の殺人事件も志津に横恋慕した山口の仕業であり、夕子の父も山口だった。 そのころ圭子は変わり果てた兄の死体を発見し、夕子に襲われていた。 叫び声を聞いた浩は圭子を連れて逃げ出そうとするが、銃を構えた山口が迫ってきた。 そこに夕子が現われ山口の喉を掻っ切った。 催眠術の解けた夕子も永遠の眠りにつくのだった。 昔の事件も絡む複雑なストーリーに未消化な部分があり残念だが、低予算ホラーとしてはかなり楽しめる作品になっている。 若き日の中尾彬のヒーローぶりも楽しませてくれる。 余談=死にかけた人間に催眠術をかけて不死者にしてしまう、というストーリーの原点はエドガー・アラン・ポーらしい。読んだことないのだが、ポー原作のオムニバス「マスターズ・オブ・ホラー」の第一話「ヴァルドマール氏の症例の真相」として映像化されている。 |