年度 ; (1973) |
監督 ; 山本迪夫 |
脚本 ; 小川英、武末勝 |
音楽 ; 真鍋理一郎 |
出演 ; 黒沢年男、岸田森、田中邦衛、望月真理子、太田美緒、、伊藤雄之助 |
一年あけて復活したシリーズ第三弾。「エクソシスト」で始まったホラー映画ブームも、製作決定の後押しになったのだと思う。 白木(黒沢年男)は八ヶ岳の麓にある聖明学園に赴任してきた。 学長助手の吉井に出迎えられた白木は学園に向かうが、途中、道端に事故を起こしたタクシーがあり、学長夫人がこの事故で即死したのだという。 現れた学長(岸田森)は、いきなり白木を後継者に考えていると言い出す。 その夜、学長低に泊まった白木は青白い顔をした二人の女に襲われ、何者かに殴られて気絶する。 翌朝、ベッドで目覚めた白木は昨夜と部屋の様子が違うことから夢だったと思い込む。 だが、女の一人は肖像画の学長夫人にそっくりだった。 白木は、地下に安置され葬儀を待つ夫人の死体を確認する。確かに死んでいたが、白木が後ろを向いたときには動き出す。 白木は医者の下村(田中邦衛)から生徒の一人が蒸発したことを聞かされる。 寮からの脱走は年に一人二人いるのだという。 資料を見た白木は、昨夜の女の片方が行方不明の生徒と同じ顔だったことに気づく。 白木は生徒の久美(望月真理子)に話を聞く。 そうとは知らない同室の杏子(荒牧啓子)は、久美を探しに出て学長に襲われ血を吸われてしまう。 次の日、杏子は授業中に貧血で倒れた。 翌日からは春休みだったが同室の久美と雪子(太田美緒)は杏子の様子を見るため、しばらく寮にとどまることにする。 白木は下村から地元に伝わる伝承を聞く。 200年前、一人の白人が漁港に流れついた。 キリシタンだった男は、拷問を受けて神を捨て彷徨い歩いた。 渇きを癒すため男は血を吸うようになり、最初の犠牲者となった少女は死から蘇えった。 村人たちは二人を襲い殺して頑丈な棺に納めて埋めたのだった。 その棺は今は空であり、それこそ二人が再び蘇えった証拠だと伝えられていた。 白木が下村に次期学長の話をすると、先代の学長に指名された島崎という教師が発狂して精神病院に収容されているという。 白井と下村は、聖明学園の学長が三代に渡って吸血鬼なのではないかとの疑い始める。 島崎教師が残した日誌を調べると、学長と夫人が就任と同時に人が変わり日中出歩かなくなったことが書かれていた。 杏子の手引きで雪子が襲われ、悲鳴で駆けつけた下村は窓を破って逃げる学長を見る。 杏子は吹き抜けになった二階から落ちて死ぬが、その間に雪子が姿を消してしまう。 学長を追いかけた下村は、森の中で学長に血を吸われる雪子を目撃。写真を撮ろうとするが学長に絞め殺されてしまう。 雪子は意識を失って発見され、下村は行方不明となった。 白木は警察を呼ぶが、吉井が学長のアリバイを証言した。 下村のカメラに残されたフィルムを現像すると、そこには妙なポーズの雪子が写っていた。 どうやら雪子は、写真に写らない誰かと抱き合っているようだった。 白木は、精神病院に島崎を訪問する。だが、島崎は喉を切られ口が利けなくなっていた。 寮を抜けだした雪子は学長夫人の元へ。夫人は雪子の顔を剥ぎ取り、自分が被って雪子の顔を手に入れる。学長夫婦は、代々他人の顔を奪って生き続ける吸血鬼だった。 雪子になりすました夫人は寮に戻るが、久美は雪子が別人であることを見抜いてしまう。 下村たちの遺体が沈められた沼のほとりで、白木は吉井に襲われる。格闘の末、吉井は沼に沈んでいった。 学長低で久美を見つけた白木は学長と戦いになる。 白木の投げた斧が学長の胸に突き刺さった。倒れる学長。 同時に久美を襲っていた夫人も倒れこむ。 久美を連れて逃げ出そうとする白木に眼前に斧が飛んできた。 再び学長が襲ってくる。 白木は暖炉の火かき棒を学長の胸に突きたてた。 倒れる学長夫婦。見る間に白髪となった学長は、這って夫人と手を重ねると力尽き溶解した。 白木と久美の前には手をつないだ学長夫婦の白骨が横たわっていた。 人里はなれた山間の女子校を舞台にして、怪しい雰囲気が盛り上がっており、三作中一番好きな作品。 正統派のショック演出も、相変わらずの冴えを見せているし、西洋の吸血鬼を日本の登場させるストーリー構成も巧み。途中語られる吸血鬼伝承も良く出来ていて作品に厚みを持たせている。 名優・伊藤雄之助が全く役に立たない刑事役でゲスト出演している。 余談その一=プログラム・ピクチャーの衰退もあってシリーズは三作で終了した。山本監督はテレビに活動の場を移し、その後劇場用本編を撮っていない。とても残念。根強いファンは業界にもいるのか、1999年テレビのオムニバス「学校の怪談たたりスペシャル」に起用されて市川染五郎主演の吸血鬼物を撮り矢口史靖ら若手監督と競作を果たした。 余談そのニ=ラストシーンで使用する吸血鬼の白骨を作るため、岸田森の頭部レントゲン写真を撮って参考にした、と当時は伝えられた。本当か、ただの宣伝かは不明。 余談その三=シリーズ二本だけなのだが、見事なインパクトで吸血鬼は岸田森のアタリ役となった。そのため大林宣彦監督の「金田一耕助の冒険」にも吸血鬼役でカメオ出演した。コメディなので観客を怖がらせないためか、猫の鳴き声がダビングされていて変なシーンになっていた。 |