製作 ; (1982) |
監督 ; 土橋亨 |
脚本 ; 松本功、土橋亨、中島貞夫 |
音楽 ; 槌田靖識 |
出演 ; 真田広之、勝野洋、伊藤かずえ、黒崎輝、安部徹、中尾彬、若山富三郎 |
真田広之の「百地三太夫」「吼えろ鉄拳」に次ぐ主演第3作。 当時ファイト一発のCMで共演していた勝野洋とコンビを組んだ。 CGもワイアもない時代の作品だが、生身のアクションの魅力にあふれた佳作Iとなっている。 アフリカ育ちのジョー(真田広之)は内乱で死んだ両親を葬るため日本に来た。 アフリカ行きの船便に乗るため神戸を目指すが、無賃乗車で乗り込んだ貨車が方向違いの城南市についてしまう。 町中を暴走する馬アロー号を止めたジョーは、馬主の和平(佐野浅夫)のもとでアロー号の調教をすることになる。 馬の調教中、ジョーは暴走族にからまれていた流れ者のギター弾き・勝(黒崎輝)を助ける。 和平と暮す孫娘・加代(伊藤かずえ)の誕生日に兄の文男が現れるが、誕生プレゼントを渡しただけで帰っていった。 その直後、文男が交通事故で死に酔払い運転で片づけられるが、加代は疑問を持つ。 今度は文男の友人だという西条(勝野洋)が加代を訪れ、文男から預かった物がないか問いただす。文男の死は殺人だというのだ。 西条は、文男が追っていたネタを捜していた。 それは大矢グループの総帥・大矢(安部徹)による武器密造で、西条は証拠を手に入れて大矢をゆすり一儲けしようと企んでいた。 城南市は大矢企業グループが牛耳っており、西条はその中でも異様に警備の厳しい鉱山が怪しいとにらむ。 暴走族が二人を襲うが、勝とトラック運転手の梶(若山富三郎)の協力で追い払う。 この件が元でジョーと勝は警察に留置場に連行される。 と、そこには西条と梶が留置されており、さらに暴走族たちも連行されてくる。 暴走族は大矢の手下・天坊(中尾彬)の指図でジョーたちを襲ったのだが、報酬をめぐって争いとなったのだ。 勝は金目当てで西条に協力を申し出て、天坊のオフィスにテープ・レコーダーを仕掛ける。 ジョーの身を案じた和平が町を出るように勧め、ジョーは加代に別れを告げる。 勝たちとお別れパーティーを開こうとしたジョーは、やはり町を出ようとしていた暴走族たちと出会う。 西条の提案で和解する一同。暴走族リーダー役のもんたよしのりが一曲披露し、真田広之もアクロバット・ダンスを決める。 そこで西条を狙った銃弾が勝にあたり、怪我をした勝は自分の代わりに恋人クーコにテープを取りに行かせる。 一方、加代は兄のプレゼントからフィルムを発見していた。 病院で連絡を受けたジョーたちは、写っていた化学記号から大矢が作っているのが青酸系の毒ガス兵器であることを知る。 ジョーたちは加代の元に向かうが、会話を大矢の息がかかった看護婦に聞かれてしまった。 クーコはテープと一緒に金庫の金を持ち出そうとして見つかり、勝とともにリンチにあい命を落とす。 ジョーたちが着くと、加代の姿はなく和平が虫の息で横たわっていた。 和平は、加代がフィルムの在り処を白状しなかったため大矢の部下に連れ去られたことを告げて息絶える。 勝と合流したジョーたちは盗聴したテープから明朝大矢が鉱山から毒ガスを山岳鉄道で集荷することを知る。 毒ガスの出荷先はアフリカだった。 加代と祖国のため立ち上がるジョー、敵討ちを誓う勝、もはや西条も大矢を見逃す気はなかった。 三人は岩山を這い登って鉱山に侵入するが警備兵に見つかり銃撃を受けてしまう。 西条は奪った銃で応戦、次々と敵を倒していく。 撃たれて重傷を負った勝は、ジョーを狙撃しようとしていた敵に飛びつき屋根から落ちて転落死する。 大矢と加代を乗せた貨車は鉱山を出発。西条は最後尾の貨車に飛び乗り、ジョーはアロー号で後を追う。 追いついたジョーは貨車に飛び移るが、銃弾を受けたアロー号はもんどりうって転倒、絶命する。この場面は、本当に馬が怪我しちゃうんじゃないかと心配になるほど迫力のある出来となっている。 銃を持った敵のため前に進めない二人。ジョーは列車の下に潜り込んで進み、敵の背後から襲いかかる。 不意をつかれた敵は銃を使えず乱闘となった。西条もこれに加わる。 トンネル内でメクラ撃ちした銃弾が運転手と大矢を射殺、さらに車両が切り離されてしまう。 縛られた加代と毒ガスを乗せた列車が暴走していく。 ジョーは追いつこうと山間部を駆け下る。 ついに渓谷にかかる鉄橋で列車に追いついたジョーはロープを使い宙を渡って列車の屋根に飛び移った。 急カーブの直前で列車を停止させることに成功するジョー。 ジョーは加代を助け出し、駆けつけた西条と勝利の喜びを分かち合う。 ジョーの想いはアフリカの大地へと馳せていた。 身寄りも愛馬も全て失った加代の行く末はどうも引っ掛かるが、とにかくハッピーエンド。 前半の展開は流れ者のギター弾きとか登場して往年の無国籍アクションを想起させる。 そこが魅力なのだが、ちょっとアナクロな雰囲気でもある。 クライマックスの、たたみかけるようなアクション・シーンは、これが監督デビューとは思えないほどの迫力。 余談その一=土橋監督は、その後の活躍が期待されたが、プログラム・ピクチャーの製作本数が大幅に減少していく時期でもあり助監督に戻ってしまい、本編の監督は’88年の「極道の妻たちU」のみとなっている。惜しいことだと思う。 余談その二=当時、真田広之はヘンリー・サナダの名で東南アジアの一大アイドルだった(デューク・サナダのクレジットもあったらしい)。「ラスト・サムライ}を見て当時を懐かしむお母さんが海外にも相当いるんじゃないかと思う。ちなみに志穂美悦子はスー・シオミだった。 |