フランシス・レイ作品(Vol.2)
追悼のメロディ(LE CORPS DE MON ENNEMI;1976)
アナログ盤アルバム(国内)
原題は「我が敵の死体」。
「恐怖に襲われた街」などコンビ作の多いアンリ・ヴェルヌイユ監督、ジャン=ポール・ベルモンド主演作品。
音楽はエンニオ・モリコーネと組むことが多かったので、フランシス・レイの起用は異例ともいえる。ライナーノーツにはスタッフがレイにモリコーネ・タッチを要求したとあり、その意味でも異色作。
殺人罪を着せられ7年間投獄されていた出所した主人公フランシスが出所して過去を回想するという形式でストーリーが進む。全体に地味な印象の作品で、派手な見せ場には欠けるし、同じベルモンド主演作でも「ラ・スクムーン」ほどの味わいもないので、ちょっと中途半端な出来の作品になってしまった。
翌早朝、ゴルフ場で自分を罠にかけた黒幕をあっさり射殺。前日知り合った若い美女とともに姿をくらます、というラストは、ベルモンドらしい感じがしたが。
アルバムは、全18曲と盛りだくさん(1分前後の短い曲もあるが)。
A1のテーマ曲「追悼のメロディ」はフランシス・レイらしい華やかさを持ちながら、フィルム・ノワールの雰囲気も生きた佳曲。このテーマのメロディはA7、B3でも使われている。ラストのB8はテーマのリプライズとなっている。
A3「恋のテーマ」は、女性コーラスを配して、モリコーネのタッチを意識しているのが分かる曲目。
A6「マドモワゼル」、A8「ユアー・ヘアー・イン・マイ・アイズ」は美しいメロディ・ラインが光る作品。
B1「ナンバー・ワン」が本来のフランシス・レイらしい華やかな持ち味の曲になっている。B6「思い出のワルツ」は劇中のパーティー・シーンに使われたのだと思うが、アルバム中では異質のワルツ曲。
編曲はクリスチャン・ゴベールが担当。

雨の訪問者(LE PASSAGER DE LA PLUIE;1969)
CDアルバム(輸入)
「ある愛の詩」「白い恋人たち」と並ぶフランシス・レイの代表作。チャールズ・ブロンソンの「さらば友よ」と並ぶ日本における出世作でもあり、この作品がなかったら丹頂もマンダムにならなかったかもしれない。
ちなみに、この時期ブロンソンはヨーロッパで出稼ぎ中。アメリカでスターになったのは、日本での人気に翳りが見えてきた後の「狼よさらば」あたりかららしい。
作品的にはルネ・クレマン監督による、フランスらしいひねった感覚のサスペンス佳作だった。
曲は「追悼のメロディ」より更に多く全20曲、1分前後の曲が9曲あるのでトータルのランニングタイムは38分と普通。
1曲目「雨の訪問者-テーマ」はセヴェリーヌによるヴォーカル曲で、作詞は脚本を担当したミステリー作家セバスチャン・ジャプリゾ。沈んだタッチの曲なので、A3「ワルツ」のほうがヒット曲となった。テーマのメロディは、作品の主題曲であると同時にヒロイン、マリーのテーマともなっており、7、8、10、12、20曲目でアレンジされて使われている。
10曲目「雨の訪問者」は本来B面の1曲目で、映画のオープニング曲(「雨の訪問者-テーマ」はエンディングにかかる)。地味めのアレンジだが、ミステリアスな雰囲気を盛り上げている。
6曲目ドッブスのテーマ」18曲目「駅前に立つドッブス」は、チャールズ・ブロンソン扮する謎の男のテーマ曲で、短いが軽快なジャズ調の曲となっている。