フォロー・ミー(FOLLOW ME;1972) アナログ盤アルバム(国内) 名作に名曲あり、という印象の傑作。 ジョン・バリーのスコアでも最高の一つと思うのだが、日本でしかアルバム化されなかったと聞いたことがある。 限定盤でCD発売されたこともあったらしいのだが、たちまち売切れてしまったとか。 主題歌「フォロー・ミー」が、フワフワした感じの中に哀感を漂わせた名曲。作詞はジョン・バリーとコンビを組むことの多かったドン・ブラックが担当した。ヴォーカルはロズ&ジョンとクレジットされているが、どのような人たちなのか不明。 ロック調のダンス・ナンバーであるA5「一緒に踊って」、ムード・ミュージック調のB3「あるパーティ」の2曲以外は、基本的にテーマ曲のヴァリエーションとなっている。 どの曲も良く出来ているが、どことなくミステリアスな曲調で始まりロック・ギターの伴奏でテーマが演奏されるB2「町と公園と小径」が異色か。インストゥルメンタル・ヴァージョンのB2はもちろん優れているが、メリハリのある演奏をバックにしたB4「もっと身近に」も良い。 イナゴの日(THE DAY OF THE LOCUST;1974) アナログ盤アルバム(輸入) なぜか4チャンネル・ステレオのアルバムになっている。 「真夜中のカーボーイ」のジョン・シュレシンジャー監督による、1930年代を舞台にした映画内幕物の力作。原作はナサニエル・ウェスト。 巨大セット崩壊からクライマックスの群集によるリンチまで一気に見せる作品だった。 ヒロインを濃い顔の個性派カレン・ブラックが存在感たっぷりに演じた。カレン・ブラックは決して美人ではないのだが、インパクトの強さゆえか当時は「エアポート'75」のような娯楽大作のヒロインにも抜擢されていた。 彼女は、ヒッチコックの遺作となった「ファミリー・プロット」にも製作者サイドにより採用された。ヒッチコック本人は彼女を気に入らず、バーバラ・ハリス扮するインチキ霊媒師を実質的な主人公とするストーリー展開に変えてしまったとか。 サントラはルイ・アームストロングの「ジーパーズ・クリーパーズ」で始まる。既成のヴォーカル曲が5曲入っており時代色を出している。多分当時のヒット曲なのだと思う。 全13曲中ジョン・バリーのオリジナル・スコアは8曲。A4の「THE FLYNG CARPET」とA7「SOFT SHOE SALESMAN」は、劇中で再現された当時の活劇映画の伴奏音楽という設定なので、デフォルメされたアルバム中では異色の曲となっている。B5の「THE DAY OF THE LOCUST」も、ちょっと毛色が変わっており、全編不協和音の演奏で緊張感を高めていく。 他のオリジナル曲はテーマ曲のヴァリエーション。場面によって曲調を変えるテクニックが見事。B1「FIRE AND PASSION」はミステリアスな雰囲気の伴奏にギターで旋律が奏でられる。B3の「FASHION AND FANTASY」はちょっと速めのテンポで、とぼけた雰囲気の演奏。フィナーレを飾る「THEME FROM THE DAY OF THE LOCUST」は1分35秒の小品ながらテーマが美しく奏でられる佳曲となっている。 映像イメージが強烈なせいか、音楽は地味めな印象となったが、ジョン・バリーらしい品格の良さとメロディラインの美しさが生きている。 |