日本映画主題歌(Vol.1)
孤独という言葉の中に/頭脳警察(1972)
アナログ盤シングル
ATG映画「鉄砲玉の美学」主題歌。B面の「今日は別に変わらない」も挿入歌。既成の「ふざけるんじゃねえよ」も使用されていたと思う。2曲とも編曲に馬飼野康二が加わりビクター・オーケストラが共演している(ちなみに頭脳警察のアルバムでは、4枚目の「誕生」の編曲を馬飼野康二が担当している)。
「孤独という言葉の中に」はスローなテンポの曲。孤独、苦しみ、悲しみを歌詞の基調として、パンタが切々と歌い上げる。
「今日は別に変わらない」の方がロックっぽいが、中盤からオーケストラがダイナミックに曲を盛り上げ、頭脳警察の中でもかなり異色の出来。
映画の主人公は、餌を与えられないことによってミニサイズであり続けるウサギに象徴される、高度成長期の中で漠然とした飢餓感を持った存在。その主人公が、ちょっと良い目をみて有頂天になり、鉄砲玉の使命を忘れてしまう姿が描かれていた。
パンタの表現する反逆的でありながら、ナイーブさも併せ持つ青春像とは若干誤差がある気もした。

裸のわたし/丸山圭子(1973)
アナログ盤シングル
「日本妖怪伝サトリ」主題歌。作詞は監督の東陽一が、作曲はヴォーカルの丸山圭子が担当した。
イントロで鳴る鈴のシャンシャンという音が印象的。
闇からの声に呼ばれ、さわやかな声で白い世界に別れを告げ暗闇へと向かっていくわたしが、ダイナミックな演奏と力強いヴォーカルで表現される。ハーモニカも印象的に使われていた。
歌詞とはうらはらに曲自体からは暗い印象を受けない。
映画のラストで一人残されたが、それでも力強く生きるヒロインの姿と、うまく重なり合っている気がした。
B面の「空」は映画に関係ないフォークソング。彼女のピアノを含めたバンド、ピピ&コットの演奏となっており、本来の個性には、こちらの曲のほうが近いのではないかと言う気がする。