非情のライセンス/野際陽子(1968) アナログ盤シングル テレビ・ドラマ史上に燦然と輝くおバカ・アクション・シリーズ「キイハンター」の主題歌。 千葉真一も谷隼人も若かった。この頃からお姉さまキャラだった野際陽子は今でも大活躍なのだからたいしたもの。 作詞は「YAMATO男たちの大和」で現役振りを示した佐藤純弥監督、作編曲は菊池俊輔。 菊池俊輔は1960年代から仁侠映画を中心に活躍、1970年代以降は「仮面ライダー」「ドラゴンボール」「ドラえもん」などの特撮物、アニメを多く手がけてきたヴェテラン。「スチュワーデス物語」などの大映ドラマも担当している。 コメディタッチのエピソードが多かった内容とは関係なくスパイ同士の哀しい愛を歌い上げた名曲。エレキギターを全面的にフューチャーした伴奏もかっこいい。 B面「おしゃれなスパイ」は挿入歌となっているが、使われていた記憶がない。特定のエピソードに使用されたのかもしれない。 ところでこの番組の最終回は、もっとも多く悪役を演じたという南原宏治がゲスト出演。年老いたキイハンターのメンバーがかっての名場面を振り返るという総集編で学芸会みたいな出来だった。 「スパイ大作戦」=「M.I.」シリーズに対抗して、思い切った高予算による新メンバーの映画版「キイハンター」を作ってほしい。この曲のカヴァーは倖田來未で。 影を追う男/高城丈二(1969) アナログ盤シングル 秘密捜査官・洞門桜の活躍を描く高城丈二主演のテレビ・シリーズ「プロファイター」の主題歌。原作は島田一男の連作「赤い影の男」。 この頃はジェームズ・ボンドに始まったスパイ映画ブームの影響で一般の刑事とは違う特殊な捜査官を主人公にしたものが増えていた気がする。 また、島田一男には「影を追う男」というタイトルの連作もあるが、別の捜査官を主人公になっている。 すぎのりひこ作詞、冨田勲作編曲。オープニングとエンディングに流れる口笛のメロディが洒落ている。独特な高い声で歌い上げるヴォーカルは、良くも悪くもインパクトがある。 ちなみにB面の「ブルーボサノバ」の同じコンビの作。後にシンセサイザーの権威になる冨田勲としては異色とも思えるバリバリのムード歌謡。 高城丈二はニヒルな二枚目で売ったが、個人的には竹脇無我主演のテレビ・シリーズ「姿三四郎」におけるライヴァル役桧垣源之助がもっとも印象強い。 同じキャストで映画版が作られるほどの人気番組となった原動力の一つが高城丈二演じる桧垣の堂々たる悪役ぶりだった気がする。 前半のクライマックスで姿に敗れ、シリーズ後半では改心して良い人になってしまったため、影が薄くなり出番も減ってしまったのが残念だった。 その他では千葉真一、志穂美悦子が出たテレビ・シリーズ「ザ・ボディガード」におけるライヴァル役があった。キザなのだが世帯じみた側面もある役柄で、残念ながら出番は少なめだった.。 インターネットの情報によると、高城丈二は闘病生活の後芸能界を引退、実業家となって一切の取材を拒否しているため、「あの人は今」にも登場しない幻の俳優になっているらしい。 |