歌うスター(Vol.2)
雨あがりの恋人/イザベル・アジャーニ(1983)
PULL MARINE/ISABELLE ADJANI

CDアルバム(国内)
フランスの名女優イザベル・アジャーニがセルジュ・ゲンズブールの作曲により作り上げたアルバム。
作詞はゲンズブールが5曲、ゲンズブール+アジャーニが6曲、イザベル・アジャーニ単独によるものが1曲となっている。
歌の上手い下手より、女優としての表現力で聞かせきってしまうところが、さすがと思った。
1曲目の「オハイオ/OHIO」はビートの効いた曲で、発売当時は、MTV関連の番組によくミュージック・クリップが流されていた。
4曲目の「ひみつのタクシーフォン/D'UN TAXIPHONE)は恋人が電話に出ず焦る女心が緊張感のある曲調で表現されている。
5曲目「いけない遊び/C'EST RIEN JE M'EN VAIS C'EST TOUT」はスローでドスの効いた演奏が特徴。
6曲目「愛の証し/LE MAL INTERIEUR」はスローバラードのラヴソング。イザベル・アジャーニが切々としたヴォーカルで心のすれ違いを歌い上げる。
7曲目「ボウイのように/BEAU OUI COMME BOWIE」はデヴィッド・ボウイと「綺麗、ウイBEAU OUI」という言葉が語呂合わせになった曲。同じフレーズの繰り返しが印象的。
8曲目「幸せは不幸せ/LE BONHEUR C'EST MALHEUREUX」は、アップテンポで華やか。もっともフレンチ・ポップスらしい仕上がりで、それゆえこのアルバムでは異色作と感じた。
10曲目の「あなたはシューシュー/ET MOI CHOUCHOU」は、イザベル・アジャーニ単独の作詞。そのためかアルバムの中でも特に表情豊かなヴォーカルになっている。
11曲目「マリン・ブルーの瞳/PULL MARINE」は澄んだ歌声で美しいメロディーを歌い上げるバラード曲。ストリングスも効果的に使われ切ない雰囲気を盛り上げている。
歌詞にひねりのあるラヴソングが多いようなのだが、聞いても分からないので訳詞に頼るしかない。アルバム自体は、なかなかカラフルな仕上がりとなっている。

(掲載の画像にはアナログ盤のジャケットを使用)

ゴールディ/ゴールディ・ホーン(1972)
GOLDIE/GOLDIE HAWN

CDアルバム(輸入)
製作年から考えて「ブタフライはフリー」前後の録音となる作品。張りのある初々しい歌声が魅力。意外と上手いと感心したのだが、allcinema onlineによれば、ゴールディ・ホーンは父親がミュージシャンで無名時代はコーラス・ダンサーとして巡業に参加していたというから当然のことなのかもしれない。(ジャケット裏面には父親とのツーショット写真が掲載されている)
1曲目はドリー・パートン作の「MY BLUE TEARS」。編曲にもパートンが参加。伸びのある歌声が魅力の作品。
3曲目はダニエル・ジェラールの「BUTTERFLY」。ゴールディ・ホーンはフランス語で歌い、サビには少年コーラスが入る。
4曲目はビル・モンローの「UNCLE PEN」。明るいウェスタン・ソングで、楽しみながら歌っている雰囲気が伝わってくる。
6曲目はボブ・ディランの「I'LL BE YOUR BANY TONIGHT」ヴァイオリン演奏が印象的で、ゴールディ・ホーンの歌声も表情豊か。
7曲目はジョニ・ミッチェルの「CAREY」。のびのびとした雰囲気のウェスタン・ソングに仕上がっている。
8曲目はトラヴィス・エドモンソンの「CLOUDY SUMMER AFTERNOON」。バンジョー(多分)の演奏が印象的な軽いタッチの作品。
10曲目の「I WANNA WOO YOU」はヴァン・モリソンの作品。
ラストの11曲目はハリー・ウォーレン、グラント・クラーク、エドガー・レスリーによる「PASADENA」。管弦楽器(ファルセットというのだろうか)がユーモラスな演奏を繰り広げ大昔のポップソングみたいな雰囲気(30年代あたりを描いた映画でクラブ歌手が歌っているような曲)の異色作。
良く分からないが、おそらく全部が既製曲なのだろうと思う。明るくて楽しいウェスタンのアルバムとしてまとまっており、聞いていてゴールディ・ホーンのコケティッシュな笑顔が浮かんでくる作品。