『蒸気船フォボス』    作:ミッキー  戻る

※これは、以前別のホームページの掲示板に投稿したものを加筆訂正したものです。そのため、少し古い記述などもあります。

翻訳バトルテックの3巻を読んでいたら、面白いことが書いてありました。

グレイソン達の乗る降下船<フォボス>は、敵の攻撃をなんとか耐えながら、ノルン星系ベルダンディに降下します。しかし、降下船はぼろぼろ。さいわい海岸に不時着できたので、船体の穴からの浸水で沈没する心配はないのですが・・・
 すぐに、また敵の攻撃が始まります。何とか撃退した後、グレイソンとイルゼ・マルチネス船長は、<フォボス>を移動させて隠すことが何とかできないかに付いて話を始めます。

P182〜より
「<フォボス>は小型の核融合炉で融点に達するまで水素を熱して圧縮する。すると強力な磁場が生じて、制御された小さな核爆発が繰り返される。そうだな?」
「核爆発っていったって小さなもんで放射能もでないけど、その通りさ。」
「ということは、核融合炉で水素を熱して高温のガスに変換し、反応物質として船尾のチューブから噴出することも出来るはずだ。初期の原子力宇宙船に使われた原理はこれだ。反応物質を後方に放出して船を前進させたんだ。」
 「だけど核融合熱パルス推進ほど性能が良くないし、効率だってぐんと落ちるよ。」
「ああ、でも、効率なんかどうだっていい。」
「そりゃそうだ。今のあたし達に必要なのは燃料なんだからね!着水した時水素タンクがやぶれて、ただでさえ少なかった予備の燃料が無くなっちまったんだ。<フォボス>を動かすつもりなら、まず水素を手に入れなくちゃ駄目さ。」
「そう、僕が指摘したかった点もそれだ。反応物質を使用する単純なエンジンに改造すれば、水素は必要ない。」グレイソンは略図を書いて説明した。「まず間に合わせの材料で吸い込みバルブを作って、ここと・・・ここと・・・ここに取り付け、海水をポンプでくみ上げる。海水をくみ上げたら、ポンプを使って融合炉内を循環させる。そして、残っている水素を融合炉で燃焼させて
海水を熱すると同時に、火器にエネルギーを注入させるんだ。発生した蒸気はこれらのチューブから噴出される。」


以後もグレイソンとイルゼ・マルチネス船長の話は続くのですが・・・
なんか、すごいことが色々分かります。
降下船は、水上船に改造可能(笑)
メックの手を借りた場合改造にかかる時間は、約5時間(爆)
しかも、蒸気船!(核爆)

5時間で宇宙船が蒸気船に・・・情け無さすぎ・・・

さらに、降下船というのは、嵐でぶっ壊れるようなやわな物らしい。
まあ、あちこち被弾して、脆弱になった降下船ではあるんですけど・・・
あ、あと、高さ80mくらいの降下船をすっぽり隠せるカモフラージュネットが船内の倉庫に有るとも書いてある。
ほんとにあったんだ・・・こんなもん・・・

で。上の会話を読んでいる限り、「反応物質」というのは、核反応なんかに使用する水素などということではなく、

「反動推進の噴射剤」

であるようです。また、「燃料の水素」は、酸素と混ぜて燃やすようなものでなく、核融合そのもので消費されるという意味での燃料と分かります。

てっきり、降下船のエンジンて、核融合炉を使って、噴射剤の水素を熱して反動推進をしてるのかと思っていたのですが・・・

つまり、メックなんかと同じ熱核ジェット/ロケットエンジンだと。

降下船のエンジンは、核パルスエンジンのようです。
核パルスエンジンのネックは、発生する膨大な放射能をどうするのかということなのに、放射能は発生しない。しかも、この様子だと、放出されるのは水素でなく、より噴射剤に適したプラズマヘリウムである可能性が・・・

一週間から、時には数ヶ月にも渡って1G加速を続けられる降下船の秘密って、こんなとこに書いてあったんですね・・・

それと、降下船の装甲板というのは、イコール気密を保つための外装でも有るようです。これは、潜水艦ルールなんかとも合わせて分かったことですが。
(潜水艦や水中にいるメックは、ダメージを受けると、亀裂が出来て浸水しないか判定をするそうです)