強襲降下  作:M−鈴木さん  戻る  

さて、お立会い♪
地球型惑星に於ける強襲降下に於けるタイムスケジュールをご所望と聞き及び馳せ参じた次第。

と言っても

用いる技術レベルの問題があり、一概には語るべくも無く、唯、騙るのみである事を事前にご承諾頂いた上での話でゴザルよ、ご同輩。

さて、話は当然大気摩擦による破壊に焦点が向けられる訳ですが
使い捨てのシステムとして、フェアリングの耐久性の設定と、展開する整流・減速翼を有効に使用する技術、携行可能な推進剤の量によっての話ではあるものの
「出る時の速度限界に等しい」と考えられます。
つまり、人間で言うなら「耐えられる加速度」を上限とした加速度で、地表ぎりぎりで速度が0に近似の数値・・・・と言う事になる訳です。

単純にこれを計算しますと
移動距離(減速開始必要高度)=初期速度+加速度×0.5×加速時間×加速時間
になる訳です。
(惑星上に着陸する場合、固有のGを忘れない様に!実際の対地減速は機体固有の加速度から1G=9.8m/ssを引いたものになる一方で、人体にかかる負荷は機体固有の数字のままなのです)

あ、さてさて、しかし、この前提はある問題を無視しております。
それは「噴射ノズルが大気衝撃に耐えられるかどうか?」と言う事です。
これを無視するならば10G加速で減速して(対地Gは9G)地表ぎりぎりに降り立つ・・・って事も可能なんですが

無論、無理です(じゃないと、検証する意味が無いものね・・・実はもう1つ、別の要因から考察を要する点があるのですが、これは後述)

しかし、その数値は可也恣意的に設定するしかありません。
まず、ノーズコーンフェアリングで耐え忍び、減速索なり翼で減速し、減速板を展開してから「ぐるっぽ」(180°回転)し、初期保護マスクごと噴射して大気衝撃を相殺可能な噴射バリアゾーンを形成可能な対気速度を幾つに設定するのか?
ここでは、飽く迄も恣意的にマッハ5と仮定します。根拠?ありません。「取り敢えず」ですんでご容赦の程を。

さて、M5は秒速1700mです。
これを10G加速(実質9G減速)で0にするのに要する時間は
0=1700−9×9.8×時間です。
これは約19.3秒になります。
つまり、19.3秒間10G加速を行えば、速度は0から1700m/sになる訳です。
次いで、その間に「移動してしまう距離」を計算します。
自分で計算したくは無いですよね?
その答えは「16427m」
高度16.4kmで減速を開始して、高度0で速度が0になるのです。

わ〜を

逆に言うと、高度16.4kmに到達するまでに、速度をマッハ5まで「落とさなくてはいけない」と言う事でもあります。
その辺の考察も、使用する推進剤と無駄にする資材の量と価格次第なので、単純に「衛星低軌道(200km)から自由落下で加速、その後0.2Gで減速」と言う条件を恣意的に与えてみます。(根拠?以下略)
ここで、移動経路は高度16.4kmから200kmまでの183.6kmで速度M5を初速として速度0になる場合として考察可能です。
1G加速でM5を0にするには約173.5秒が必要で、その間に移動する距離は147.5km
すると、残る距離は僅かに36.1km
これをM5を初期&終端速度とした1G&0.2G加減速時間は・・・
あー
ほぼ、無視できますな
敢えて計算結果を語ると、3.5秒1G加速を追加して、17.5秒の0.2G減速を行う事で残る距離を通過します。
つまり、高度200kmで自由落下を開始し、大気摩擦に抗して1G加速を177秒行い、次の瞬間から0.2Gの減速を開始、17.5秒で速度はマッハ5にまで低下
ノズルのフェアリングを噴射で吹き飛ばし、瞬時に推進剤ガスによる干渉バリアを形成しつつ人体対G姿勢での限界Gに近い負荷を与えつつ高G減速
19.3秒で速度0で地表に到達
都合3分半程度の旅

勿論、初速を予め与えてやるなりしてやれば、もっと時間は短縮されます。
しかし、姿勢制御や人体の影響を考えるとこの数字は無理でしょう。(加速度の変化率だって、この値じゃ死んでしまう)

そして、もっと重要な点はこれです。
このスケジュールでは、降下ポイントの地表高度が予測と違ったり(流されて丘の上に・・・とか)、減速タイミングが0.2秒ずれたりしただけで致命的な結果を生じてしまいます。
それを防ぐには「もう少し高い高度で高G減速を終了し、緩G減速による降下を行う」事になります。
ですが、そこで減速しすぎると、今度は「推進剤の不足」を生じるばかりか「対空射撃の好目標」と言う名誉を賜ってしまいます。
勢い、水平方向に変化させた速度を維持することで、対空射撃から身を守る事になるでしょう。
それは、大気突入時から水平方向の分力を考査するべきだと言う事にもなります。

この辺はファジーに考えていただくしかありませんね(笑)

さてさて
駆け足で極端な例を紹介して来ましたが、最後にユニオン級で考えられる降下・・・についてです。

この場合、主機の大気衝撃下加速度を2G(減速1G)
ノズル限界速度をM4と仮定します。
すると、高度95kmから2分20秒かけて減速してくるユニオン級と言うビジュアルが成立します。
これは、転回時間(約30秒)や軌道高度まで考えれば高度200kmからざっと5分かけて降下する・・・と言う事になります。
(ビヴァ!!未来技術)
実際には地表近くでのタキシングタイムを加えて6〜10分は最低でも必要でしょう。

どんなもんでしょう?
加速度に関わらず、案外時間に差が無い事もお分かり頂けたと思います。(現代の技術ではそうはいかない)
降下中は僅かな軌道のずれ、気象条件、地形の変化が致命的なのです。

降下船やASFパイロット諸氏は言うに及ばず、メックウォリアー諸君もシミュレートを欠かさず健闘願いたい。