『メックの完全破壊とは?』 作:ミッキー 戻る
とあるときとある所でこんな質問を受けました。
「メックの修理不能とはどの程度の損害をさすのでしょう?」
このコラムは、その時に答えたレスをもとに書いたものです。そのため、一部の記述が古くなっていたりしますがご了承ください。
また、このコラムは基本的に日本語版ルールブックならびにそのサプリメントを基準としております。やむなく未翻訳の資料等を使う場合、なるべくそれが明確にわかるよう気を付けますのでご了承ください。
なお、疑問質問矛盾点の発見誤字脱字の指摘等等は大歓迎です。ぜひ、このコラムの完成度を上げるためにご意見をおきかせ下さいm(_
_)m
(1)結論その1(基本の確認)
一言で言えば、あらゆる装備に致命的命中(複数装備欄があるなら複数箇所に)を受けて機体中枢が全部無くなっていると修理不可能です。
つまり、どんな損傷も修理可能です。(部品と工具と優秀なテックがいれば)
ただしこれは、『ドアしか残っていない往年の名車』の、ドア以外の部品全部どこかからか調達してくればレストアできると主張するようなものです。
普通は、重要部品が壊れていればバラして部品取りに使ったほうがいいと判断されかねません。
まあ、頭と胴中央が無事で他も致命的命中だらけでないなら大破といえど割と簡単に修理可能と覚えておけば問題ないでしょう。
メックは、整備や修理が非常に簡単なのです。この規模の大きさの超高度技術機械にしては、ですが。この秘密は、疑似ボーンとマイアマーによる柔軟かつ各ブロックに別れた構造をしているところと、ほぼ全てのメックが共通規格で製造されており、消耗部品や周辺部品なら代替品を探すことが比較的簡単であることなどから来ています。
また、弾薬誘爆などが起きてメックが破壊された場合でも、致命的命中のチェックはきちんとしておきましょう。後の修理に重大な影響を与えます。
弾薬誘爆が起こって中枢が奇麗さっぱり無くなっても、各部位における致命的命中の発生する確率は41.7%ずつにすぎません。6割近くの確率で、マイアマー以外の部品は無傷なのです。重要部品が無傷なら、修理は簡単です。
※海外記述:だからこそ、2400年代末にたったの10年間、5000機しか生産されなかったバンシーが、3025年代に三分の一以上も稼動していたりするのです。
(2)エンジンとジャイロの検討
メックの重要部品の中で、一番値の張りそうな部品といえば、やはりジャイロとエンジンでしょう。
ジャイロは1回の致命的命中なら3分の1の値段である『ジャイロ部品』があれば直せます。しかし、2回の致命的命中で完全破壊で、ジャイロ丸ごと交換のようです。メックウォリアーRPGリプレイ第1巻の第1話で、敵味方のシャドウホークのジャイロが両方とも完全破壊していました。
1トン辺り30万CBですから、それに組み立て費用を含めて考えると・・・
ワスプやスティンガーならメック部品全体の4割5分程度がジャイロの値段ということになります。
シャドウホークなら90万CB×1.55=139.5万CBですから、3割3分程度がジャイロのお値段ですね。
エンジンのお値段はQ&Aで修正されてメック重量×エンジン出力×200÷3となっています。エンジン遮蔽のお値段はエンジン出力×1000×メック重量÷75と書かれていますね。
そう言えば、いままでエンジン関連のお値段の計算はしたことないですね。 ここで計算して見ましょう。
スティンガーのエンジンだと 20×120×200÷3=16万CB
機体全体の1割?
・・・て、たったこれだけ!?
・・・・写し間違えたんだろうか?
元の計算式だとメック重量×5000×エンジン出力だから、20×5000×120=1200万CB・・・スティンガーの値段が160万1520CBしかしないのだから、やっぱりこの式も変だ・・・
スティンガーのエンジン遮蔽は 120×40×20÷3=3万2千CBですね。
3回の致命的命中を受けてしまったら爆発は起きないものの使い物にならなくなります。
※海外記述:後に海外ではルールが変更され、無傷のエンジンが一撃で致命的命中3回になると、爆発チェックをしなければならなくなりました。1回致命的命中を起こしたあと、もう2回致命的命中が有った場合、爆発は(なぜか)しません。
おそらくは、PCゲームやコンシューマゲームで、機械の表示限界があったためでしょう。
これらのゲームでは、各坐したメックは速やかに爆発四散します。
各坐したメックを表示しつづけると、処理に負担をかけるから、爆発四散したほうがCPUには有り難いという理由です。
その影響で、メックの寿命は著しく短くなったものと思われます。
日本語版とは違いますのでご注意を。
・・・て、それは横に置いといて(^_^)
それよりも他のメックで計算してみましょう。
フェニックスホーク
エンジン 45×270×200÷3=81万CB
遮蔽 270×40×45÷3=16万2千CB
81×1.45=117万4500CB
だいたい3割のお値段ですね。
ジャイロは90万×1.45=130万5000です。
両方合わせて247万9500コムスタービルで、メック全体価格の6割1分を占めます。
バトルマスター
エンジン 85×340×200÷3=192万6666CB
遮蔽 320×1000×85÷75=36万2666CB
192万6666×1.85=356万4333CB
バトルマスターのお値段が841万CB。エンジンだけで中量級メックが買えてしまいますね・・・
ジャイロが120万×1.85=222万ですから、足して578万4333CB・・・6割9分がジャイロとエンジンです。
スティンガーと比べてなんて高価なエンジンなんだ・・・強襲型の製造が大変な理由がよ〜〜〜くわかってしまいました・・・
でもって、軽量級の製造が簡単な理由も・・・基幹部品の一つであるエンジンが比較的安価に作れるからなんですね・・・
いや、それはともかく!!
この計算式だと、同じ出力のエンジンでも、メックの重量が違うと『原価が』まったく違うことになってしまいます。
エンジンとは、出力が同じならどれも同じではないのでしょうか? それなのに、なぜこんなにも値段が違うのでしょう?
わかっちゃいます。ですが、あえてヘルメスIIとライフルマンのエンジンの値段を比べてみましょう。どちらもピットバン240ですから。
ヘルメスII
エンジン 40×240×200÷3=64万CB
遮蔽 40×240×40÷3=12万8千CB
ライフルマン
60×240×200÷3=96万CB
遮蔽60×240×40÷3=19万2千CB
うう〜〜ん・・・なぜ同じエンジンでこうも値段が違うのでしょうか?
エンジンには底深い周辺部品があって、それを含めてのお値段なのでしょうか?
例えば、同じ50トンの機体中枢でも、歩行移動力4と6では、スピードがまったく違うため、疑似ボーンにかかる負担もまったく違うはずです。
これを補強するショックアブソーバーとか疑似ボーンの強化などもエンジンの値段に含まれるのでしょうか・・・?
うう〜〜む・・・(悩)
(3)マイアマーと装甲
マイアマーは1点辺りのお値段が装甲の倍です。つまり、それだけお金を出せば調達可能です。しかも、このマイアマー、長さと太さしか規格が有りません。ですから、もっとも正規部品が手に入り易い部品だったりします。
また、修理も比較的容易な箇所です。バトルテックルールブックP45より抜粋
>>戦場でメックが手足に損傷を受けた場合、この繊維束を交換するか、メックの他の部分から移植することにより、修理は容易に行える。
>>繊維束の移植を行った場合、完全な機能を取り戻すには至らないが、制限付きとはいえ動きと強さを回復する。
機体中枢点×マイアマー1点あたりの値段である1250CBと、設計時のマイマーに割かれる部品代を比べると、ほぼ似たような値段になります。これは、機体中枢の修理に「交換用マイアマー」(メックウォリアーP46、119、131、133)があれば良いことを示す根拠の補強程度にはなると思います。
20トン 33点×1250= 4万1250 設計時 4万
50トン 83点×1250=10万3750 設計時10万
80トン 122点×1250=15万2500 設計時16万
100トン 152点×1250=19万0000 設計時20万
一方で装甲は、安価では有るものの、正規部品を手に入れるのが結構大変だったりします。
メックウォリアーP132より
>>それぞれの装甲は、取り付けるメックの形式と取り付け場所に合わせて特別に作られます。
>>継承権戦争において、この極めて特殊化した設計に、整備兵と戦場での修理工は絶えず悩まされ続けています。
>>装甲はメックとその部位に応じてあまりに精密に作られているため、必要に応じて適切なサイズや形のものを入手することが難しく、多くの場合、整備兵達はそうこうの形を変える事を余儀なくされます。
>>それは、装甲を構造的に弱めることに繋がるのです。
幸い比較的安価ですので、全装甲セットを各メック毎に3回分以上、その他に規格品装甲を多数用意しておきましょう。
(4)駆動装置や腰、肩
駆動装置、腰や肩、手駆動装置等等の部品の値段はメックウォリアーRPGのP119と133に載っています。どれも比較的安価な部品です。
それで注目したいのが、腰や肩の値段がメック設計で使う表に載っていないことです。誤植だと思いますので、みなさん忘れないようにしましょう。
でないと、「なに? そのメックは腰と肩の値段が入っていないのか? じゃあ、そのメックは五十肩とぎっくり腰で行動不能だ」などとマスターに突然いわれたりとかするかもしれません(^^)
いやまあ、冗談ですけどね(^^)
この事の証明には、修理部品代金と設計時の値段を見比べてみると良くわかると思います。疑似ボーンの値段はメック全体で400×重量ですが、腰の値段は1個で300×重量です。肩は1個200×重量です。つまり、両腰と両肩を合わせると、メック全体の疑似ボーンの2.5倍にも達してしまいます。
修理のルールから見るににマイアマーの値段に含まれるのでも有りませんし、設計時と修理時の値段を見比べるとマイアマーの値段はマイアマーだけの値段である事もわかります。
腰や肩の値段はどこにも入っていないのですね。
そういうわけで、腰と肩の値段が設計時に含まれないのは誤植と思われます。
後のルールでも含まれないのだとしたら、誤植の増殖現象の一つと思われます。
腰と肩は、疑似ボーンに密接に関連する部品と思われますので、応急修理で正規部品以外をくっつけるのはかなり大変だと思います。
(5)操縦席と生命維持装置、センサー
操縦席は、どのメックも共通で20万コムスタービルです。生命維持装置は5万コムスタービルです。
という事は、生命維持装置に致命的命中を受けたら、戦闘報酬が吹き飛ぶことを意味します。
操縦席に致命的命中を受けた場合、戦闘報酬と勝利報酬を合わせた15万コムスタービルでは修理代金を捻出することが不可能である事を意味します。
身の代金や、月ごとの契約金に頼らざるを得なくなってしまうわけですね。
センサーも比較的高価です。しかも、メック毎にセンサーの種類が違います。けっこう正規部品を手に入れるのに苦労するでしょう。
(6)疑似ボーン
メックの疑似ボーンは、重量×400しかしません。かなり安価です。
(リプレイで出てきたエンドースチールはその4倍の重量×1600)
メックの疑似ボーンは、非常に丈夫ですが、壊れると修理不能(メックウォリアーP131)です。そして、機体中枢の修理部品として疑似ボーンのことは触れられていません。疑似ボーンがダメージを受けたらどうなるのでしょう?
それとも、疑似ボーンはダメージを受けないのでしょうか?
色々調べてみまするに、疑似ボーンにダメージを受けると、装甲板や機体中枢点の上限が低下するようです。
(推測ですが・・・)
バトルテックシナリオ集グレイデス軍団より
P15 ローリー・カルマーのローカストの胴中央正面の装甲は最大で8点に低下。通常の最大値は10点。
(他に、2点余分に発熱し、放熱器が2基減っているので実質的な放熱能力は6点と思われます)
その後乗り換えたシャドウホークは、左腕の装甲が12点、左胴正面の装甲が10点に減少しています。通常の最大値は16点と18点です。
P16のデルマー・クレイのウルバリーンは、胴中央の装甲値が18点に減少しています。通常は20点です。
P18のハッサン・アリ・カレドのウォーハンマーの左足の装甲値は最大12点
※うん? P21のシェリルのシャドウホークはD型だったのか・・・気付かなかった・・・
ブラックウィドウでは、
P16ミクロス・デリウスのアーチャーが、「左脚の内部構造にかなりの損傷を与えており、その結果左脚の装甲値は10点になっている。
P19サイモン・フレイザーのスティンガーは、「至近距離から粒子砲の直撃を受けた。そのため機体の左胸に内部構造へ及ぶ損傷を受け、その部位の装甲値は4点しかない」
こんな感じです。いずれも、機体中枢の耐久値の減少はありませんが、装甲の最大値が減っています。
装甲板を取り付けるための結節点などが酷い損害を中枢に受けたときに壊れてしまい、それを修理することが不可能なのではないか? と考えています。
メックの修理で一番大変なのは、部位/装備の完全破壊(要交換) 目標値11 というものです。
海外の修理ルールなども調べてみるに、機体中枢が完全に無くなった場合疑似ボーンに損傷を受けたと見なし、修理がものすごく大変になるということなのかもしれませんが、詳しいことは不明です。
ともあれ、
>>機体中枢が損害を受けている 目標値6
というのとは根本的に修理難度が違うところを見ると、ある程度の根拠にはなるかもしれないとは思います。
(7)結論その2(まとめ)
疑似ボーンの基本値段はメック重量×400であり、マイアマー価格のわずか2割のお値段です。しかし、この安価な疑似ボーンこそが、メックのシャシーであり、全ての部品を取りつけるための根幹部品であることは間違い有りません。
・・・メックの修理不能というのは、疑似ボーンの修理不能を意味するのだろうかという気もします。