『階級と命令権』 作:ミッキー 戻る
雪輪さん>>曹長でも良いのですが、軍内経験の長いバルグレイには、ゲッツの教官のようなこともやってもらいたいと思うのです。この場合は、たとえ階級上では上官でも教導任務の中では、バルグレイはゲッツに命令する必要があるのですが、その場合の命令権の理由を階級以外のなにに求めたらよいのでしょうか?
雪輪さんから上記のようなご質問を受けたため、階級と命令権についてちょっと書きたいと思います。
○基本の確認
通常、階級毎、兵種毎に基本的な命令権(部下の規模)が決まっています。これらは国や状況、兵科によって大きく違います。さらに、官位相当の命令権や配下の数には、多くの例外が有ります。例えば、上級者が戦死して低い階級の者が大部隊を率いたり、大部隊の指揮官だったのに部下の大半が死傷してわずか数人の部下しかいなくなってしまう場合などです。しかし、一般的な例をいいますと以下のようになります。
曹長or軍曹or伍長=分隊もしくは班を率いる
少尉or中尉=小隊を率いる>数個分隊で小隊
大尉=中隊を率いる>3個小隊前後で1個中隊
少佐=大隊を率いる>3個中隊前後で1個大隊
大佐=連隊を率いる>3個大隊+輸送艦隊+後方人員で1個メック連隊連隊を超える軍組織は通常バトルテックワールドでは編成されない。
連隊を超える組織の指揮官は、通常将官がつくが、その規模、階級はかなりの幅がある。
メック連隊長は通常歩兵連隊などの指揮権を兼務して将官である場合と、メック連隊長の上に惑星防衛軍を束ねる将官がいる場合の二つがある。連隊以上の組織
2個連隊で1個旅団=2個連隊
4個連隊で1個師団=4個連隊
数個師団で1個軍団=8〜20個連隊?
数個軍団で1個軍=30〜60個連隊?
数個軍で1個軍集団=70〜250個連隊?1個連隊2000人(普通科歩兵)とすると軍集団は数十万人と言う事になります。湾岸戦争時のイラク軍は兵員238万といわれていますから数個軍集団を保持していたことになります。
ちなみに、この頃のイラクの戦車は約9700両、空軍500機、艦艇25隻とされています。
T72 500両、41トン125ミリ滑空砲、最大装甲280ミリ、時速60キロなど。
T62 1500両、40トン、110ミリ滑空砲、最大装甲242ミリ、時速50キロ等
○小隊毎の人数
基本となる小隊毎の人数と指揮官の階級をリスト化します。小隊が別れて分隊や班になり、小隊が集まって中隊になるわけですね。4人、中尉:バトルメックのみの小隊、
7人、少尉:海軍?
20人、中尉:重戦車小隊(5人×4両)(国、部隊、戦車による)
30人、中尉:軽戦車小隊 (3人×10両)(国、部隊、戦車による)
24人、少尉:整備小隊
21人、中尉:対メック戦闘用ジャンプ歩兵
28人、中尉:対メック戦闘用SRM/SMG/火炎放射器/ライフル歩兵
40〜60人、中尉:普通科歩兵
○教育課程
教育課程の階級ですが、日本帝国海兵学における丁度いい資料が有りますので抜粋しておきます。
成美堂出版日本帝国海軍P102下段徹底したエリート教育より抜粋
>>戦時体制に入る以前の合格率は二十倍前後であり、この激戦を突破した生徒は、晴れて江田島生徒となるのである。
入学した生徒がまず驚くのは、いきなり下士官の上、准士官の下という身分を与えられるのである。従って、下士官教員よりも階級が高いので、けして生徒には命令はしない。水泳訓練でも、「○○生徒飛び込め」といったようなことは言わない。ではどのように言うかというと、「○○生徒は飛び込む」と、まるで他人事のような三人称的号令をかけるのである。これは、手呈したエリート教育の第一歩なのである。
また、同社の日本帝国陸軍104P〜候補生ルール集
には、候補生(軍曹)が、同階級の教官に対して敬礼を行うことという決まりや、教練間二幹部ノ勤務ヲトルモノニ対シテハ勤務相当ノ敬礼ヲ行フモノトス(第13条)という、規則も有ります。
この場合、軍曹の生徒(中隊長役)に兵の役をしている学生(准尉)が敬礼することなどを意味します。
そういうわけで、教育期間における命令権は、戦闘事の階級準拠とはまた別物と思ったほうが良いです。
○戦時階級
戦時階級とは、戦闘事などの緊急時の間だけ一時的に階級を上昇させる事です。通常、より上位の将校によってこれらの戦時階級が決定されます。
これは、部隊の指揮を執る幹部が足りないときに、しばしば行われます。兵士の養成は簡単でも、命令を下す上級者を育てるのは大変で、しばしば不足するからです。
給料は本来の階級と同じですが、命令権や待遇、そして『義務と責任』が上昇します。
例えば、軍曹が戦時階級で少尉になった場合、給料は元のままです。ですが、支給される制服や武装などは将校用の上等なものです。士官会議に出席できます。士官用宿舎に寝泊まりできます。士官用食堂で食事ができるので、栄養事情も良くなります。
その一方で、効果的な命令方法などを秩序だって教育されていないにもかかわらず、少尉と同等の指揮能力、書類処理能力、交渉能力などが期待されます。
・・・そういえば、本来の階級が大尉だかで、『戦時階級は将軍』にまでなった人が南北戦争当時のアメリカにいたんだったと思います。このかた、戦争が終わってもとの階級に戻るのが嫌で、インディアン相手に延々と戦争を続けて将軍職にとどまったとか・・・
○軍属
軍属というのは、民間人では有るものの軍隊内部で働いている人達一般を指します。掃除洗濯を行う下働き、物資の運搬を行うために雇われた人足や事務員、医師、技術者等等、多岐にわたります。
これらの中でも特に、階級をもらっているような人達を指す場合も多いようです。
ガンダムの開発者、テム・レイ大尉や、高機動ザクの開発に尽力したエリオット・レム大尉などはこの典型でしょうか。医師は、正規の資格を持っていれば佐官級の待遇を受けられる事も有ったかと思います。また、従軍僧侶、従軍牧師などの聖職者も、入隊イコール下士官(士官)待遇などという国も多々有ります。
軍属のもらう階級は、完全に「慣例と上級者の判断」です。
この場合、軍属の命令権は、階級相当ではありますが、対象が限定されたり状況が限定されたりするようです。
いずれにせよ、待遇が良いのと引き換えに、大きな『責任と義務』が生じます。
組織模式図
メック小隊・・・指揮官:中尉 メックウォリアー4名
メック小隊”・・・指揮官:中尉 メックウォリアー4名、整備兵2〜4人、助整兵10〜20人、歩兵一個分隊、偵察兵等
上記の二つは、メック小隊と支援人員を分けて管理する部隊か、それともまとめて管理する部隊かという違いで、部隊によって様々です。航空小隊の場合、気圏戦闘機パイロット2名、整備兵2名、助整兵10名程度が加わったりします。
歩兵小隊・・・指揮官:少尉 歩兵5〜10名
歩兵小隊”・・・指揮官:中尉 歩兵20〜80名
上の歩兵小隊は、海軍式もしくは特殊部隊的な場合であることが多いようです。装備や艦に費用がかかるために、数より質で勝負をしなければならない兵種ですね。
下の歩兵小隊は、いわゆる「普通科」の歩兵部隊に多いようです。装備が安く、損耗も激しい兵種になると、質より量となってこうなる傾向にあるようです。中隊・・・指揮官:大尉 3個小隊
大隊・・・指揮官:少佐 3個中隊
連隊・・・指揮官:大佐 3個大隊+(あるなら)艦隊
歩兵部隊もメック部隊も、部隊三個で一つ上の単位の戦闘集団になります。