『アレス条約』   作:ミッキー 戻る

「人間は創造よりも破壊を得意とする罪深い生き物である。」

誰の言葉かは忘れましたが、いたく感心した覚えのある一言です。

 この言葉通り、人間は破壊に情熱を懸けてきました。敵を倒すため、奪うため、くだらない見栄や恨みのために。
 強力な偉力を誇る武器が次々に開発されていった結果、全力で戦ったら、地球そのものを破壊してしまうという所にまで来ています。

 そのため、今日の地球では、闘いの力をセーブせざるを得なくなりました。核軍縮などが、1歩進んでは下がるというような歩みではありますが進められています。(今は残念ながら後退局面です)

 おなじくバトルテックワールドでも、破壊の力をセーブしようという努力が為されました。
 アレス条約です。
 生物・化学・核兵器の使用禁止や制限、都市や市民や生存に不可欠な施設への攻撃禁止、降伏の権利、捕虜の待遇保証、負傷者の手当て、対宇宙攻撃基地以外への宇宙からの爆撃の禁止、宇宙港への直接降下の禁止、等等が定められています。

 しかし、アレス条約は、しばしば破られました。特に、第1次、第2次継承権戦争は、2回の世界大戦のように、悲惨極まりないものでした。
 「敵の生産力を根本的に破壊しないと、いくら戦車やメックを破壊しても意味が無い」と気付いた武王達が、アレス条約を無視した虐殺、無差別破壊を繰り広げました。広島長崎や東京大空襲みたいなことがあっちこっちで繰り広げられたのです。
 ケンタレスWの大虐殺・・・全人口の9割に当たる5千万人が最大とされてますが、もう少し小規模なものなら各地で起きました。
 航宙艦を破壊して通商破壊をおこない、食糧供給を止めて餓死させるとか、浄水施設等の破壊といった間接的な虐殺ならあちこちで行われてきました。
 全ての継承国家でおこなわれた忌まわしい記憶です。
 特にドラコ連合は、アレス条約をずっと守らないでいたことによってかなりダーティなイメージがあります。

 アレス条約がようやっと守られるようになってきたのは第3次継承権戦争から、それも、「資源や技術の枯渇により仕方なく」アレス条約みたいな不文律となっていったのです。
 もっとも、イリアンのメック工場は3015年に大爆撃を受けて壊滅していますし、それ以外にもいろいろ無法な話は有りますので、あんまり守られていないようにも思います。
 じっさい、どの継承王家も、裏ではアレス条約違反のひとつやふたつはしています。ですが、できるだけこそこそと、見つからない程度にすませるようになっただけはるかに増しと言えるかもしれません。

 こういった事の詳しいことはメックウォリアーP15からの[継承権戦争]に書かれています。ぜひ一度を読んでみてください。

 なお、アレス条約の本文については、RsさんのホームページIrregularsをご覧ください。日本で一番詳しく正確な訳文を掲載して下さっています。
 http://www08.u-page.so-net.ne.jp/cd5/ryu-s/index.htm
 http://www08.u-page.so-net.ne.jp/cd5/ryu-s/ares_conventions.htm