『メック倉庫』   戻る  トップへ

 

9月11日午後1時
 遺跡探索任務に着いていた偵察分隊の面々は、遺跡の最深部にまで到達していた。 
 「よいせ、よいせ。よし、だいたい土砂は取れたな。」
 クライバーンの豊作一番号が、バトルメックですら楽々通れる巨大な通路の中で作業している。崩れて来た土砂をかき出し、外へと運ぶ。天井の補強工事を行う。10メートル以上もある鋼鉄の巨人が作業するのだから、大抵の土木工事はあっさりと終わってしまう。あとは、探索任務に優れたR・R少尉とその部下の仕事である。数百年の時を越えていまだ生き残る数々の警備装置を無力化し、複雑な内部構造を見破り、隠し通路や倉庫を見つける。遺跡探索は、大詰めを迎えていた。
 「よし、罠に注意して前進!」

 R・Rの声と共に、10人ほどの偵察小隊員が前進を開始する。壁を叩いて音響センサーで内部構造を調べ、赤外線や紫外線スキャナーで警報装置を探し・・・やがて、通路の突き当たりに、一つの巨大な扉を発見した。
 「バトルメック用の通路だ。多分倉庫に続いてると睨んでいたが・・・いよいよかな?」
 R・R達は、息を潜めて、扉が開くのを待った。
 「扉が、開きます! 構造からいって、この先がメック倉庫のはずです!」
 ゴゴゴゴ・・・
 音を立ててシャッターが開いていく。
 ビーーッ!! ビーーッ!!
 と、その時、センサーの一つが警報を鳴らした。
 「しまった! ガスが! 急いで閉めるんだ!」
 「なに!? 罠か!」
 「ガスだと!?」
 テックの声に、全員が慌ててガスマスクを装着した。これで、鼻や口からのガス吸入は防げる。しかし、もし皮膚からの侵入だけで死ぬような致命的なものなら、効果はない。皆は、必死で逃げようと・・・
 「おい、逃げなイトマズイゾ」
 「イ、イソイデニゲナイト・・・ナンダアァ!?」
 「ナンダ、コノどなるどだっくミタイナコエハ!?」
 みなは、逃げる途中で、妙に甲高い、おかしな声になってしまったことに戸惑った。キンキンしたその声は、ガス警報で緊迫したこの場の雰囲気をだいなしにした。
 「ミンナヘンナコエダ!?」
 「・・・・オイ、コレッテへりうむがすカ!?」
 「・・・フカッセイがすデめっくノレッカヲフセイデオクシュホウカ!?」
 「ジャア、ドクジャナイノカ!?」
 「・・・・・・・・ドクデナイデスケド、ソウコナイゼンブガへりうむがすダトスルト、サンソガナイノデコキュウガデキマセン」
 「・・・・ゼンイン、タイヒ! ホカノミナニモレンラク! イキノコッテルカンキコウヲふるぱわーデウゴカセ!」
 「リョウカイ!」
 
 かくして、バトルメックの倉庫の扉を開く瞬間という感動場面は、ドナルドダックの声に払拭されてしまったのであった。
 
 

『アイアース基地にて』  作:MT.fuji   戻る  トップへトップへ

9月11日午後4時

 既にアイアース基地の格納庫への扉は開くのに成功していた。
 現在は中にあったメックの調査が進められている。どうも似たタイプのメックが多く、且つ今まで見た事のない型らしく技術者が訝しがっている。

 「ロックウッド少尉、報告があがりました」
 「え?・・・ああ、そうか俺今は少尉だったな・・・んで? 結局、どうだったんだ?」
 ついつい少尉待遇になった事を忘れてしまうろR・Rだったが、技術者は気にする事なく報告を行なった。
 「はい、どうやら、あの中にあったのは作業用メックの改造タイプのようです。民生メックとでも言いますか・・・」
 「・・・民生メック?」
 「はい、通常のバトルメックに比べ、はっきり言って性能が明らかに劣っています。排熱・・・重量に比しての移動能力・・・武装・・・まあ、数が揃っていますから無視は出来ないかもしれませんが、1対1で普通のバトルメックに当てるのは危険すぎますね。まあ、20トン前後までの軽量級ならともかく・・・」

 現在の技術が衰退した時代からすれば、民間生産ラインを転用して、限定的とは言え、バトルメックに対抗する事が可能なメックを生産する、という事は考えられないような話ではある。しかし当時はまだ継承権戦争も始まったばかり。現在とは異なり、ある程度の物真似は可能だったのだろう。さすがに短期間で本物のバトルメックと同等にまで引き上げるのは無理だったようだが・・・

 「折角、バトルメック多数を発見したと思ったのに、それか・・・」
 R・Rは正直腐っていた。
 「これじゃあ・・・部隊の財政にあのシブチンの惑星政府が貢献してくれるほどの報酬を出してくれるとは到底思えんな・・・真っ当なバトルメックならともかく、こんなメックでは・・・」
 「惑星政府は先のトットリ基地陥落後の一件でかなり腹を立てていますからねえ・・・」
 「ああ・・・おそらくここのメックは“ないよりマシ”とか言って全部持っていって・・・そして自分達に回ってくるのは僅かな報酬だけだろうな・・・」
 契約だからある程度の戦利品はもらえるはずだ。だが、クーゲルとかいう軽戦車が少々でお茶を濁されて終わるのではないだろうか? それも、お役所仕事のあいつらのことだ。こっちに分け前が届けられるのはいつになるかわかったものではない。
 「段々腹が立ってきた・・・」
 R・Rは気分転換に部下の一部を引き連れて、周辺警戒という理由をつけて体を動かしに出かけた。

 9月11日午後5時
 「隊長〜機嫌直してくださいよお〜〜〜・・・・」
 「・・・俺は別に機嫌悪くなんかない!」
 R・Rは明らかに不機嫌真っ只中にいた。・・・だてに付き合い長くはない。部下からしてみれば、一目瞭然なのだ。 その証拠に普段回らないような・・・幾らなんでもこちらからは危険すぎて襲撃などかけられないだろう、というようなアイアース基地の西側にあるちょっとした小山を踏破しつつある。
 問題はここが少なくとも数百年は全く人の手が入ってない地帯であるということで・・・
 「・・・我々が踏破出来るって事は敵も踏破出来るって事だ。文句言わずについて来い!」
 理屈はその通りだが・・・木々が厚く生い茂り、通るにしても一人一人順番に通るのがやっとの道を切り開くのに一苦労、車輛の通過なんて問題外。通った所で部隊の野営している所からは開けた場所を通って結構離れているとなれば、あまりこちらに回る事はないと思うのだが・・・
 バトルメックなら話は別だろうが、そんなものがやって来たら、幾ら何でも気付かないはずがない。だから、攻撃はないと判断されていた方面なのだ。
 「・・・うわあっ!」
 その時だった。ボイスが足を滑らせて、地面の窪みに落ち込んだ。普段ならそんな事はないのだが、うっかりしていたのだろう。あるいは厚く積もった腐葉土に足を取られたのかもしれない。
 当然、R・Rの表情は険しくなる。
 出て来たら怒鳴ってやる、そう顔に書かれているのを見て、他の部下達は冷や汗を流していたのだが・・・ボイスが上がってこない。
 それ程深い窪みではなかったのだが・・・

 さすがに不審に思って、R・Rと部下が近付いた時、落ちたボイスが驚きに満ちた顔で上がってきた。
 「・・・どうした?」
 様子がおかしいので、すぐに怒鳴りつけず、R・Rはボイスに尋ねた。
 「隊長・・・ちょっとこの下見て下さい・・・」
 そう言って、彼は窪みの底を指差した。

 「おい、こいつは・・・!」
 下に降りたR・Rが見たのは、明らかにハッチと呼ばれるものだった。長い時が過ぎたせいだろう。周辺にはおそらく偽装の為と思われる土盛りの上に木々が生い茂り、そこからおちた落ち葉が厚く積み重なっていたのである。もし足を踏み外して、予想外に固い感触に尻を撫でたボイスが一体何が、と落ち葉を何気なしにどけてみなければ、誰も気付かなかっただろう。
 「開く、のか・・・?」
 部隊は周辺警戒を中止、解錠装置やらでハッチを開けにかかった。先程までアイアース基地の地下で相手にしていたものとレベルが違う。はっきり言って、こちらの方が余程しっかりしている。だが、ここにいるのは全員が一流の偵察兵として鍛え上げられた面々である。なんとか開ける事に成功した。その時には既に暗くなりつつあったが、全員気にもせずに作業を続ける。
 そして、警報や防衛システムを警戒しつつ、中に入った彼等が見たものは・・・!

 R・R少尉とクライバーン准尉は、善後策協議のため、帰還することとなった。
 

 『増援の真相』   戻る  トップへ

 3026年9月12日午前
 カウツV政府が呼び寄せた増援の正体。これの調査は、少しばかり手間取った。リリム大尉に、ライフルマン改等を含んだ臨時編制の部隊をつけて、戦利品の回収にいかせたためにばたばたしていたと言うのもある。だが、一番の理由は偵察小隊のほとんどが遺跡探索に出掛けていたからである。
 今、ようやっと情報収集から帰還し、司令官室に来たシグル伍長を前に、クロフォード中佐とメイスン少佐が報告書を読んでいた。
 「ふむ・・・遺跡に、生きているバトルメック倉庫の存在の可能性か・・・それに乗る人員とバトルメックを派遣してもらったという訳だな? 倉庫内のバトルメックの一部譲渡を条件に?」
 「は! そうであります!」
 それを聞いて、メイスン少佐が難しい顔で話しだした。
 「由々しき問題です。このような事は、遺跡探索の依頼を受けた時には一言も言及されませんでした。連盟期のバトルメック倉庫ともなれば、そのセキュリティは凄まじいものである可能性が高いです。普通の部隊では、全滅の可能性も有ります。明らかに不当な契約です。」
 「確かに・・・増援が9月10日に到着したからには、依頼した時にはバトルメックが眠っている可能性を知っていたことになる。」
 「抗議しますか?」
 「ふむ・・・それは、もうちょっと様子を見てからだ。それより、この報告書によると、派遣されてきた人員の中には、有能な失機者が少なからず混じっていると言うが、どれくらいいるのだ?」
 クロフォード中佐の質問に、偵察小隊員のシグル伍長が答えた。
 「は! 調査によると、20名から30名の間と思われます。それ以上の詳しいことは調査しきれませんでした。」
 「ふむ・・・よし、下がってくれていい。」
 「は!」
 シグル伍長が退出する。部屋には、クロフォード中佐とメイスン少佐の二人だけになった。
 「クライバーンとR・Rが戻ってくるそうだ。どう見る?」
 「・・・それはやはり、通信機では危ないことの報告・・・でしょうな。」
 「そう思うか? という事は・・・」
 「見つけたんでしょうなあ・・・バトルメックの倉庫を。」
 「だろうなあ・・・」
 「ま、うまい事、人員補充にでも利用してやりますか?」
 「それもいいな・・・しかし、遺跡を押さえているのはこっちなんだ。いくらでもごまかしは効く。それがわかっているのか・・・惑星政府は・・・」
 「わかっていないんでしょう。なにしろあの無能ぞろいですから。ま、詳しいことは、R・R達の報告を聞いてから考えますか。」
 「そうだな。雑務がまだ有るし。」
 かくして、クロフォード中佐達は、待つことにしたのである。

 

『秘密会議』    戻る  トップへ

 9月12日午後
 今、司令官室には4人の男達がいた。クロフォード中佐、メイスン少佐、R・R少尉、クライバーン准尉だ。彼らは、人払いをし、盗聴装置の有無を確かめ、記録装置を切って密かに話し合っていた。
 「その後連れてきたテックと共に多数の罠を突破して辿りついた倉庫には本物のバトルメックが眠っておりました。うち8機はあまりに高価な代物であるとのことです。つまりは遺失技術の類が使われていました。」
 R・Rとクライバーンが、報告をしている。報告書も書かずに、直接口頭でだ。時間が大事だとの配慮だろうか。あるのは、メモ程度の紙のみだ。いや、違う。記録を残したくないのだ。
 「ふむ・・・遺失メックが8機か・・・一介の傭兵部隊で運用するのは手に余るな。何せ壊れたとて補修用のパーツが手に入らない。それに、今は時期が悪い。カウツV政府の機嫌を取りたい時期だ。」
 「もてあますものなら、王家に引き渡した方が絶対お得でありますな。」
 クロフォード中佐の呟きを受けて、メイスン少佐が答えた。クロフォードは一つうなずくと、次の質問をした。
 「で、現在の技術のメックは何機だ?」
 「5機のバトルメックは現在の技術であります。」
 「ふむ・・・それを、うまく隠匿できるか?」
 この問いに、クライバーンとR・Rは、少し相談した。 うなずき合うと、まずはRR少尉が口を開く
 「その後の調査で巧妙に隠されたメック用ハッチの存在を確認しました。表側からの発見は現在の技術では不可能であります。そこを通って、秘密倉庫から主倉庫へ行くことが出来ます。」
 「そこから自分が豊作一番号で遺失メック達を運び出し、民生メックの一番奥に安置、倉庫の奥から引っ張り出したボロボロのカバーをかけ、もとからそこに有りました、という風情を装えばあるいは・・・」
 「いや、いっそのこと、遺失メックの再稼動整備を我々が先行してやり始めていたと言うことにして倉庫内を荒らしておけば、さらに見分けはつかなくなるかな?」
 「よし。では、そうしてくれ。法的には、そのメックの所有権はカウツV政府に有る。一部を貰えることにはなっているが・・・トットリ基地からの戦利品をやらなかったことで機嫌を損ねているからな。色々ごねるだろう。しかし、不当な契約をしてきたのは向こうが先だ。その分こちらも儲けさせてもらおう。政府を喜ばせつつ、こちらも充分な報酬を得るぞ(ニヤリ)」
 「了解しました(ニヤリ)」
 「後は、クリタとの戦闘で鹵獲したと、書類をごまかしてうちのものにすればいいですな(ニヤリ)」
 「うむ。だが、いきなり5機は不自然だ。少しずつ増やそう。」
 「了解であります! では、最初に持ち帰るのはどれにしますか?」
 「一番軽いメルデゲンガー。これが手ごろでいいだろう。訓練生の中から良さそうなのを見繕っておこう。それと、明日の午後、会議が有る。それへの出席までは休んでおけ。ご苦労だったな。」
  
 こうして、秘密の会議は終わりをとげた。
 
 

『身の代金交渉』     戻る  トップへ

 9月13日午後。駐屯メック部隊基地の第2会議室では、士官が集まり、会議を開いていた。議題は、天使降臨作戦の後始末に関する経過報告や、今後の方針決定などである。
 
 「というわけで、修理したライフルマンのおかげでクリタの気圏戦闘機も追い払うことができ、無事にサンダーボルト、オリオン、ハンチバックを回収してきました。我が方の損害は装甲板の損傷のみで、修理は簡単に行えます。」
 リリム・フェイ中尉が報告する。彼女は昨日まで隠しておいた戦利品の回収に行ってきたのである。その際、2機のライフルマン改とバスタードを連れていっている。訓練中の新兵の代わりの戦力として、慣らし運転をかねて連れていったのが功を奏したのだ。
 フェイ大尉が報告を終えて着席すると、クロフォード中佐が話し始めた。
 「ふむ。良くやってくれた。さて、戦闘終了後から続けてきた政府との交渉だが、無事に終了した。クリタの部隊を無法者と認めて、戦利品に関して自由裁量を通達してきた。マスコミに売った虐殺や暴行の証拠が効いたらしい。」
 クロフォード中佐は、ちらりとR・Rを見る。このアイディアは、彼の発案なのだ。福次効果として、侵攻してきたクリタ部隊に対する効果的な行動を取れない惑星政府への不満の声も出始めている。うまくすれば、おいしい仕事が沢山入ってくることになるかもしれない。
 「そして、クリタ部隊との捕虜に関する交渉だが・・・先日、ようやっと連絡がついた。いよいよ、交渉が始められる。そこで皆に聞きたいのだが・・・どうする? 相手はクリタの無法者だ。別にメックを返さんでも問題はない。しかし今後の事も考えると、全く返さんというのも恨みを買うことになってしまう。」
 クロフォード中佐は、ここで一旦発言を待った。
 すぐに、R・R少尉待遇曹長が発言する。(カサンドラ少尉は、いまだにノイローゼで寝込んでいる。しばらくはこの状態が続きそうである)
 「返す必要・・・感じません。」
 ぼそりと、実に簡潔に述べただけでR・R少尉は着席してしまう。それを聞いたクライバーン准尉は、苦笑しつつ立ち上がって発言した。ほとんど、R・Rの発言の補足を行う心境である。
 「火力小隊はアレス条約違反をしたとはっきり解っております。取り上げてしまった方が絶対にいいと考えます。それに、クリタの連中であります。他の部隊も、同じような性格と考えられます。返す必要はないと考えます。負けた時の事は今考えても仕方ないと愚考します。」
 それに対し、守護天使小隊長のマルガレーテが反論する。
 「ちょっと待ってください。少なくとも、偵察小隊の方々はさほどひどい方とは思えません。何というか・・・戦っていて、騎士道を重んじる方々のように感じました。・・・クリタですから、サムライというんでしたかしら? とにかく、偵察小隊の方々の分は返して欲しいのです。」
 「ふむ・・・確かに報告書によると、なかなか男気溢れる戦い方のようだ。」
 クロフォードはうなずいた。それに対し、テック代表のエンドウが発言した。シェリル中尉は忙しいので、代理で出ている。 
 「しかし・・・ただ返すってのは・・・敵を出来る限り消耗させないと、今後に差し支えるのではないでしょうか?」
 「そうですね。ウォーハンマーの腕を引き千切って、PPCは交換部品として取っちまって。他のメックも、骨組みだけにして返すってのはどうです? エンジンとジャイロと操縦席と・・・機体中枢が残っていれば、一応返したことにはなるでしょう。そうすれば、交換部品は潤う。」
 マディックがニヤニヤ笑いながら言った。じっさい彼は、戦闘終了直後に似たような事を実行しようと本気で考えたのである。クリタの火力小隊が無法者だと解っていなかったのでかろうじて思いとどまったのだが。
 次に、リリム大尉が発言した。
 「メックウォリアーの死亡したスティンガーは返さなくても良いでしょう。・・・・・・今、うちにあるスティンガー2機と、火力中隊のメックを取り替えるというのはどうです? メックウォリアーには、無法者とはいえかわいそうだから、とかなんとか言いくるめて・・・そうすれば、かろうじて失機者にはならずに済みます。あまりうらみは買わないで済むでしょう。使えないアーバンメックも交換に出しますか?」
 『情けをかけられるなど、末代までの恥! この屈辱、必ずやはらしてやる』
 R・Rが、ぼそぼそとつぶやいた。なんだか、いやにリアルで、会議室は静まり返ってしまう。
 
 1時間後・・・喧喧諤諤の議論の結果、以下の事が決定した。
 
1、偵察小隊のバトルメックについては、捕獲したドラゴン、ジェンナーを返還する。身の代金は通常通り、バトルメック価格の10%
2、火力小隊のバトルメックについては、その全てを没収する。
3、火力小隊には、没収したメックの代りに、偵察小隊から捕獲したスティンガー1機、ブラッドハウンドで保有していた大破したスティンガー1機、アーバンメックの3機を返還する。身の代金はメック価格の20%
4、トットリ前進基地陥落に伴って獲得した戦利品については、14%程度を惑星政府に渡す。これによって機嫌を取る。ただし、当面ブラッドハウンドが必要としない物を選ぶ。
5、捕獲機体や戦利品の分配等については別の会議にて相談する。

バトルメック収支
部隊に増える機体:ウォーハンマー、オリオン、ハンチバック、サンダーボルト
部隊から減る機体:スティンガー、アーバンメック
分解した機体:スティンガー、アサッシン

身の代金額:163万Cビル(端数切捨て、ドラゴン、ジェンナー、アーバンメックX2、スティンガーX2X2)
 
 
 

9月13日の夕刻、惑星政府にトットリ基地の戦利品が一部引き渡された。
9月14日、アイアース基地において、バトルメックの隠匿工作が終了した。
9月15日の早朝、惑星政府にアイアース基地から発見された民生メックと遺失メックの報告が届けられた。
9月15日夕方には、レパード級降下船シャネルクイーンが忙しく往復し、アイアース基地へ人員とバトルメックを運んだ。再稼動に成功していた一部の遺失メックも、アイアースの警備という最初の任務をこなし始めることとなった。

 そして、惑星政府と恒星連邦の間では、すったもんだの挙げ句に以下の事が決められることとなった。
 
 1、恒星連邦は、カウツV政府の依頼により、メックウォリアーを派遣した。これらの人員は、以後カウツV政府の管理下におかれる。ただし、帰還を決めた者に関してはその限りではない。
 2、カウツV政府は、恒星連邦に遺失メックを引き渡す。また、以後、別の遺跡から遺失メックが発見された場合も遺失メックを引き渡す。ただし、恒星連邦は、相当の補償を行う。同重量程度のバトルメックの支給も考慮する。
 3、恒星連邦がカウツVに増援として送ったバトルメック1個小隊は、倉庫内の民生メックの再稼動が終わるまで警備を行い、その後帰還する。

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