『増援の到着』 戻る  トップへ

 タウロスの町に増援が来た。4機のバトルメックだ。パイロットは、先日行われた失機者募集の入隊テストに合格した者達だ。彼らは以前、同じ機種に乗っていた。よって機種転換訓練の必要が無く、即バトルメックを与えられて派遣されてきたのである。

 「うう〜〜む、たいしたもんだ・・・」
 リョウ・カナヤ中尉は、来た増援のバトルメック達を眺めて、感嘆の声を漏らした。
 「確かに、いいメックばかりですね。」
 フェンサー少尉もうなずいた。サンダーボルト、ウォーハンマー、ハンチバック、オリオン。いずれも獲得したホフ小隊のメックを修理したもので、総重量は260トンに及ぶ。ジャンプ能力はないものの、良い近距離武装を装備しているので森林戦も充分こなせる。
 「さすがはクロフォード中佐だ。拙速よりは遅効を貴ぶ見本だ。大兵なるは勝利ということを良くわかっていてくださる。」
 マディック大尉は、いかにも満足した様子でうなずくと、早速辞令にしたがって再編成を行った。

 ヴァレリウス小隊には、サンダーボルトを貸与されたフェルミ・マイネトリウム(35歳男)と、ウォーハンマーを貸与されたセレン・レニウム(24歳女)が配属された。 

 カナヤ小隊に編入されたのはオリオンを貸与されたモリブデン・ビスマス(38歳男)と、ハンチバックを貸与されたプロメ・ルビジウム(26歳女)だ。

 片方の小隊が町の防衛に当たり、片方の小隊が周辺パトロールに向かう。そんなシフトでクリタ部隊の駆り出しが開始される事になった。

 相変わらず道が狭く、森を通るしかない状況であるため、進軍速度は非常に遅い。そんな中、スキマー分隊の情報を頼りに森の中を移動する。ここまでは、昨日までと同じだった。違うのは、町に頼りになる防衛戦力がある事だ。安心してパトロールに専念できる。もう一つの違うことは、戦力が倍である事だ。この差は大きい。
 「うむ、後顧の憂いを絶ったというのは、実にいいな。あとは、敵を叩き潰すだけで・・・」
 その時、ピピピ! とアテンションアラームがなり、戦術モニターに光点が映った。200mちょっとしか離れていない近場だ。
 「磁気センサーに反応! クリタのジープか!?」
 ゴウッ!
 マディックは、ブラッドハウンドのジャンプジェットから高温の排気を大地に叩き付け、天に飛び上がった。木々の上を飛び越え、緩やかに蛇行する細い林道に着地する。だが、まだジープの姿は見えない。厚い森の木々にはばまれている。見えない以上、両胴に装備された中口径レーザーも右手に持った粒子砲も撃てない。いや、撃てないわけではないが、撃っても当たらない。
 「くそ、またこのパターンか!?」
 マディックはぶつくさ言いながら再度ブラックハウンドをジャンプさせる。その間に目標のジープは方向転換し、脱兎のごとく逃げ出している。たちまち磁気センサーの感応圏外に近くなる。
 再度ジャンプ。しかし、距離は縮まらない。より広くなる。森の中だから狭いとはいえ、道を通れるジープは時速80キロ程度のスピードは出せる。一方でブラックハウンドは最大ジャンプを繰り返しても、スピードは時速55キロがせいぜいだろう。ジャンプとジャンプの間には、吸気口から取り入れた空気を過熱し、高圧の反動ガスにする時間が必要だ。ジャンプそのものは走行よりも遥かに素早いのだが、連続して使えない。どうしてもタイムロスが出てしまうのだ。これでは、軽快に全速で走りつづけられるジープとは勝負にならない。
 「くそ〜〜、また逃したか・・・」
 諦めたマディック大尉はブラックハウンドを止めた。気温の調節、水資源の確保、酸素の供給、木材の収穫、獣肉や毛皮の確保等々、様々な恩恵を与えてくれる森林だが、こういう時には実に厄介だ。
 フュゥゥウ・・・ゴウ! ズシン!
 ブラックハウンドの隣に、ナースホルンが降りてきた。マディック大尉が追跡を諦めてから10秒とたっていない。森の中を進軍中に多少離れていた事を考えると、実に素早い反応だ。
 「いつもながらいい腕だな、フェンサー。」
 「いえいえ、隊長にはかないませんよ。」
 「謙遜しなくてもいい、おれは別格なんだから・・・と・・・あれ?」
 フェンサーに声をかけていたマディックは、途中で疑問を覚えて言葉をとぎらせた。
 「フェルミとセレンの二人はどうしたんだ?」
 そういえば、ジープを見つけてジャンプをし始めてから反応が無かった気がする。その疑問に答えるように、通信機から応えがあった。
 「森の中を移動中です〜〜〜」
 「ジャンプが出来ないのでこれが精一杯です!」
 「・・・・・・・・・・・そ、そうか。」
 マディック大尉は、しまったと言う顔で返事をした。
 開始された直後に、この編制とシフトが大失敗であることが判明してしまったのである。

 ・・・森林地帯のこの辺りでは、動きの鈍い主戦級メック達は、行軍についていけない。クリタの部隊を見つけても、ジャンプジェットを装備していない増援の2機は、高機動メックに乗った先任者達に置いてけぼりにされてしまう。これではクリタの偵察部隊を撃退するという作戦目的の役に立たない。
 つまり、哨戒する実質上の戦力が以前とまったく変わらない。いや、役に立たない2機が移動面で足を引っ張る以上、索敵範囲と即応性が絞られる。ある意味戦力は低下しているといえるだろう。

 そんな状況で、偵察任務は続行された。そして・・・

 「くそう! また逃した!」
 フェルミ・マイネトリウムは、悔しそうに舌打ちをもらした。彼は採用されてすぐにバトルメックの貸与を受けるという、破格の待遇を得られた。理由はただ一つ。機種転換訓練の必要が無く、即戦力となるからである。他の合格者達の中には、はるかに腕のいい者達もいる。早いところ手柄を立てて有能であるところを見せなければ、彼らに地位を追われることになってしまう。
 何としても、この作戦で有能であることを見せなければならない。それが、焦りとなって彼を苛だたせている。

 「また1発も撃てなかった・・・」
 ウォーハンマーを貸与されたセレン・レニウムも焦っていた。ようやっと掴んだチャンスなのだ。急がなければならない。現に、先日クリタから捕獲したとか言うメルデゲンガーというバトルメックには、新兵並みの腕しかないゼッキード・ノス軍曹が乗ることになっている。昔からブラッドハウンドにつくしてきた一族の七男坊だから、という理由だけで。実績を上げなければ、新兵にすらその座を奪われる。まして、自分より腕のいいライフスとアルベルトの二人・・・彼らは、虎視淡々とメックウォリアーの地位を狙っている。なんとしても、手柄が必要なのだ。急がなければ、また失機者の地位に落ちぶれてしまう。養わなければならない郎党達のためにも、ここで手柄を! 彼女の心は、焦りに満ち満ちていた。

 「・・・一旦タウロスの町に戻るぞ。」
 マディック大尉は、疲れた声で帰還命令を出した。このままでは埒があかない。新入りの焦りも募る一方だ。しかし、方法はある。少なくとも、増援の来た今なら。

 そんなマディックの様子を見て、フェンサーはまた危惧を覚えた。随分と追いつめられているように思ったのだ。
 フェンサーは、再度パエトン基地に連絡した。

 

『作戦会議』 戻る  トップへ

 タウロスの町にて、作戦会議が開かれていた。参加しているのは、今タウロスの町にいるメック戦士8人全部と、ナイトストーカーの班長達、そして、タウロスの町に駐屯する戦車分隊の車長達である。タウロスの町の歩兵隊は含まれていない。自警団に毛の生えたような惑星軍の歩兵では、頼りにならないからだ。
 「いいんですか?」
 リョウ中尉は、マディック大尉の発表した方策に、疑問を呈した。
 マディック大尉は、ニヤリと笑って答えた。
 「クロフォード中佐は作戦目標を提示し、要求する結果を明確に示した。逆に言うなら明確に示したのはそれだけだ。その方法論は俺が任されたと判断していいだろう。」
 「しかしねえ・・・無謀すぎますよ。許可なんか下りないのでは・・・?」
 リョウ中尉は、もう一度言ってみた。しかし、マディックは、自信を持って続けた。
 「任務遂行における方法論の選択は現場指揮官の適性・練度・経験・・・総じて個性とも言えるものがその中心に据えられている。今度の作戦の総指揮官は俺だ。一応の上申はしたし、結果を見せればそれで問題なかろうよ。」
 マディックは、作戦をより詳しく説明しはじめた。表面的な行動だけでなく、その裏にある戦術的な理由まで含めての説明だ。
 「森林戦を最も得意とするのは良好な近距離武装を持つ高機動バトルメックだ。その次に得意なのが、厚い装甲と強力な近距離武装を装備した主戦級バトルメックだ。しかし、主戦級メックはジャンプジェットがない中量級もしくは重量級であることがほとんどであるために、森林戦で主導権はとれない。敵のほうから近付いてくるのを迎え撃つという戦いを強いられる。鈍足なために進軍速度も遅く、戦力の高速展開もできない。だから、高機動バトルメックにはどうしても一歩を譲ることになる。狭い道を高速で逃げ回るジープや車両部隊には、そもそも射撃の機会すら得られないことがしばしばだ。それは痛感しているだろう?」
 そういって新人達を見る。
 「はい。」「ええ。」「確かに。」「そうですね。」
 4人とも、即座にうなずいた。彼らのメックには、いずれもジャンプジェットが装備されていない。
 「もっとも森林戦を不得手とするのは、鈍足でジャンプシェットを装備していない・・・往々にして重量級や強襲型の・・・支援機だ。近距離を狙える武装が少なく、遠距離は木々に邪魔されて狙えず、移動は著しく制限される。しかし幸いにして、ジャンプジェットを装備していない支援機はここには配備されていない。」
 そういって、ちらりとバーニィー・ハミンソン少尉とフェンサー少尉のほうを見る。彼らのメックはいずれも支援機だ。しかし、高機動メックであるので、まだしも今回の任務には向いている。
 「そこでだ。8機のメックを3つに分け、そのそれぞれにスキマーを1台つける。他のスキマーとジープは森に散って敵の索敵だ。そして、町に残るのは・・・」
 そう言うと、マディック大尉は、入隊したばかりのフェルミ少尉(サンダーボルト)の顔をひたと見据えた。
 「君に増援の4機を任せて臨時編制の第4小隊とし、タウロスの町付近を哨戒させる。これだけの重量があるなら、大抵のメック部隊は圧倒できるだろう?」
 「は、はい! タウロスの町の守備はお任せ下さい!」
 フェルミは、感動した。町から離れて哨戒任務につけないという事は、積極的に敵を探す事が出来ないということだ。だから、手柄はたてにくい。しかし、失機者が入隊してすぐに小隊長を任せられるなど、破格としか言いようが無いではないか。たとえ、臨時編制で正式なものではなく、すぐに隊長の任を解かれるとはいえ、素晴らしい事に変わりはない。
 その様子を見て、大丈夫そうだなと思ったマディック大尉は、話を先に進めた。
 「今日の夜には民生メックがタウロスの街に到着し、明日からここを拠点として道路の整備や灌漑工事に従事する予定だ。町が襲われそうになったら、この戦力もあてに出来る。無理な命令ではない。がんばってくれ。とはいえ、かれらは完熟訓練もまだだ。土木工事は、完熟訓練を兼ねているんだ。最初から彼らを当てにしてはいけない。むしろ、手すきのときに土木工事を手伝うくらいのつもりでいてくれ。」
 「・・・・・・」
 惑星軍の民生メックが来て、土木工事をおこなう。これを聞いた時、新入隊員の4人に、微妙な表情が現れた。侮蔑、というほど強い感情ではない。しかし、同系列の弱い感情。作業用メックを改造したメックに乗っている事で、劣った奴等だと思ったのか。それとも、土木工事などメックウォリアーのする事ではないと言う事なのか。ともあれ、手伝うつもりで、というところでその表情は隠しきれなくなったようだ。それを見て取ったリョウ中尉は、素早く口を挟んだ。
 「防御陣地の構築なんてのは、良くやる事だろう? それと同じだ。馬鹿にしちゃいけない。」

 地方惑星で駐屯任務に就く傭兵部隊というのは、ようするに何でも屋だ。消耗物資の供与と毎月の契約金だけでは部隊の運営は非常に苦しい。そして、戦闘などまったく無いようなときが駐屯任務の大半を占める。臨時収入など期待できない。これだけでは、部隊の財政は火の車になる。
 だから、依頼を受けたのなら警察力の代行や災害救助、治安維持まで、何でもこなさなければいけない。お金さえもらえるなら、土木工事だって大喜びでやらなければならない。
 仕事を選り好みされては困るのだ。
 
 まして、選り好みが元で地元の防衛軍と険悪になってもらったりしては困る。惑星の大地は広大だ。限られた数のバトルメックで広大な大地を守り切れるものではない。町は数多く、広くあちこちに分散しているのだ。惑星軍と連携を取れなければ、どうしようもない。
 険悪になっては困る。侮るような感情があっては、仲良くできるはずが無い。

 リョウ中尉は、これらの事を、かんでふくめるように説明した。4人の新人が、神妙な顔で説教を聞いている。どうやら、わかってもらえたようだ。リョウ中尉は、ほっとしてマディック大尉のほうを見た。
 マディックは、一つうなずくと中断した作戦説明を再開した。 
 「リョウ中尉、バーニィ少尉、フェンサー少尉の3人は、比較的町から離れて敵を探す。3機の高機動メックなら、まず大抵の部隊には負けないだろう。少なくとも、この辺りに潜んでいるクリタ小隊は圧倒できる。アーバンメックは撃墜したばかりだし、ジャベリンは軽量級だ。フェニックスホークはバスタードで圧倒できるだろう。チャージャーがちょっと厄介だが・・・ジャンプできないからなんとでもなる。少なくとも、無事に撤退することは可能だ。」
 3人がうなずいた。無理の無い評価だろう。
 「残るのはおれのブラックハウンドだが、これは遊撃分隊として、単独行動をする。すなわちこの作戦は、おれを囮としてクリタのメック部隊をおびき出し、さらに単独で撃破するというものだ。メック部隊が撃破されれば、ジープ部隊は恐れをなして撤退するだろう。」
 一同が、無謀極まりないと言う顔でマディックを見ている。マディックは、かまわず続けた。
 「お前達の懸念はわかる。だが・・・クリタのメック部隊は、神出鬼没に移動を続けている。補足するのは非常に困難だ。相対できなければ、当然撃破も出来ない。ならば、相手から来てもらえばいい。戦力の分散という、戦術的失敗をしてみせて、クリタの奴等にやる気を起こさせればいい。一見無謀に見えるかもしれん。だがな、おれは、ホフ小隊を単独で撃破した。充分に勝算がある。心配しなくていいんだ。」
 これらの説明を受け、リョウ中尉が、ようやっとうなずいた。
 「そこまでおっしゃるのでしたら、もう止めません。やってみましょう。」
 バーニィ少尉はリョウ中尉の意思に従い、フェンサーは元から反対していない。フェルミ以下の増援4人は、自分達が貸与されているメックを、目の前の男が単独で撃破したのだと直接聞いて・・・反対できなくなった。噂では聞いていたがやはり本人から聞くと格別だ。
 とはいえ、不満が無いわけではない。臨時隊長を拝命したフェルミはともかく、残る3人はもっとも敵の来なさそうな任務に不満顔だ。どうしても手柄を立てたいのだから、当然だろう。それを見て取ったマディックは、3人を見てニヤリと笑いながら告げた。
 「まあ、あせるな。ナイトストーカーにも頼んである。キツネ穴では一緒だ。」
 「?」
 3人はいまいち良くわからないという顔をした。それを見て、フェンサーが通訳してやった。
 「マディック大尉がクリタのメック小隊と戦いますよね? 当然全部撃墜するのを期待するのは間違ってます。隠れ家に向かって撤退する奴もいるはずです。それを、ナイトストーカーにつけてもらうんですよ。拠点の場所が分かったら、全員で乗り込んで制圧します。手柄はその時に立てられますよ。」
 フェンサーの説明を聞いて、3人は納得した。

 

 『加奈子蠢動』  戻る  トップへ

 それから1時間後。タウロス山の反対側にある洞窟では、クリタの牽制部隊を指揮する加奈子・藤果大尉が、偵察部隊からの報告を受けていた。
 「そう・・・部隊を3つに分けたのね・・・どうやら、ブラッドハウンドで派遣してきた部隊の指揮官は、少しおつむが悪いようね。あら、そう言ってはかわいそうかしら? 私の焦らし戦法が巧みだったという可能性もあるし・・・フフフフ。」
 「で? どうすんだい?」
 クルセイダーのパイロット、ウビエルがぞんざいな口調で聞いてきた。裏切りの条件の一つとして中尉に特進してから1年も経つというのに、いまだに口調が変わらない。だが、加奈子はそれを咎めたりしない。自分に忠実であれば、些細な事は許す程度の度量は持っている。
 「タウロスの町を警備している部隊を叩くわ。」
 タウロスの守備部隊を叩く。すなわち、もっとも重く、もっとも数の多い部隊を相手にするということである。
 「なに?」
 「それはさすがに・・・」
 「本当ですか?」
 当然ながら、部下からは疑問の声が上がった。加奈子は、懇切丁寧に説明してやる事にした。
 「偵察兵からの報告によれば、タウロスの町を守っている4機はホフォベクウィッチ小隊のメックよ。完熟訓練も終わったかどうか、という状態のはず。それに、ブラッドハウンドはメックウォリアーがものすごく不足していて、年端もいかない子供や30過ぎで始めてバトルメックに乗ったようなカスしか残っていないとの情報も有るわ。つまり、一番強そうに見えて、一番弱い、はったり部隊なのよ。お手ごろな獲物でしょ?」
 この説明に、加奈子の部下達は、いずれも納得したようだ。
 「さあ、そうと決まったら準備はしっかりとしなくてはね。1機の遊撃分隊は今後B1と呼称します。3機の小隊をB2と呼称します。タウロスの町を守っている4機の部隊をB3と呼称。B1とB2には賞金が懸かっている機体がいるわ。要注意よ。」
 「は!」「おう!」「了解!」
 3人から、威勢のいい返事が帰ってくる。加奈子は、小気味良さそうに聞いた後、やつき早に命令を下した。
 「刀葉、牽制についているメック部隊と車両部隊を使ってブラックハウンドとその他の3機を遠いところに引き離すのよ。北にむけて、ある程度おびき出せば充分だから、細かいところはお願い。」
 「了解しました。早速かかります。」
 敬礼すると、刀葉は即座に出ていった。 
 「ウビエル、タウロス付近の哨戒部隊を一時的に引き上げて、あの辺りを安全そうに見せかけて。そして、ジープ1台だけを使って南におびき出す準備をお願い。あと、地雷の敷設の準備も頼むわ。」
 「おう、任せときな。」
 ウビエルも敬礼を一つすると出ていった。
 「四郎太、貴方はホフ中尉にこのことを説明して。あいつにもB3撃破に参加してもらうわ。元は自分のメックですもの、張り切り方が違うでしょうしね。その他の細かい準備もお願い。」
 「は!」
 四郎太も敬礼をすると出ていった。
 加奈子は、モニターに写るタウロス山付近の地図を睨み、細かい作戦計画を立てることにいそしんだ。
 「ふふふふ・・・私が来たからには、攻めるのはこっちよ。覚悟しなさい!」

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