『ザムジード攻略作戦始動』 作:Coo 戻る

 第2の戦闘時間が終了してしばらく後、ベース・キャンプの一角で会議が行なわれ様としていた。会議に参加するのは、いずれもブラッドハウンドの偵察小隊に所属する特殊訓練を受けたものばかりである。

「よし、全員揃ったな。これよりブリーフィングを行なう」
 壇上からギリアム少尉の声が響いた。少尉の脇にはR・R少尉が立っている。
「今回の我々、ナイトストーカーの任務はヘスティア基地に駐留している敵ユニオン級降下船『ザムジード』の攻略である」
そう言うと、前方にユニオン級のホログラムが現れた。
「これは、戦線が崩壊しヘスティア基地に踏みとどまろうとするドラコ軍に弾幕を張り、撤退を牽制しジャングルに追い込む為の決定打になる作戦だ」
ギリアム少尉はここで一旦声を区切った。
「また、背後にあるへスティアの町を人質代わりに使われる心配も無くなるだろう・・・」
「諸君、この作戦は例えるならチェスで言うチェックメイトに相当する極めて重要な作戦であるが・・・諸君等ならば完遂できると私は判断した。非常に危険な任務なので参加を強制はしないが、できれば全員参加して欲しい。拒否権を使用するものはすぐに退室してもらいたい。以上だ。」

ギリアム少尉は姿勢を正して敬礼をした。
俺たちも席を立ちギリアム少尉に答礼した。退室するものは誰もいない。
 それを見て、満足そうに壇上から降りていくギリアム少尉に代わりR・R少尉が壇上に立った。

「これより、作戦の詳細を発表する」
ロックウッド少尉は淡々と告げる。
「まず、敵から奪ったスキマーやジープを使い敵基地に侵入。そして、警備の補充と偽って敵降下船に侵入する。その後、各班ごとに別れて重要施設を制圧。ザムジード全体を掌握する」

ロックウッド少尉は手元のバインダーを見ながら告げる。

「各班の詳細を言う。第一斑は俺とウツホの班で構成、ブリッチを制圧する。 第二班はトレスの班で、空調施設の制圧を担当する。第三班と第四班は融合炉を制圧、制圧後はスタンリーの班は融合炉を確保し、第四班、つまりピーターの班でメック・ベイを制圧する。キリングハウスでの訓練を思い出せ。」
 このご、ロックウッド少尉は細細とした指示を出した後、腕にはめた時計を見た。

「出発は今から1時間30分後だ・・・それまでに装備の点検をしておけ・・・解散!」

 ロックウッド少尉が解散を告げるとこの会議は終了した。
その後、敵から奪ったBDUや銃が支給され、各班ごとによる作戦会議等が開かれていた。

「ロックウッド少尉、これは?」
クラークは机に広げられている地図のような物を見て聞いた。
 すでにドラコ軍の野戦服に着替え、銃も支給されていた。
           タ チ バ ナ
支給された銃はTACHIBANA突撃銃と言う銃で、先のトットリ基地攻略戦において武器庫に保管されていた物や、捕虜等が携行していた武器を今回の作戦の為に引っ張り出してきた物である。
日本製らしく、部品の数は多い物の命中精度は高い。
使用弾はG30突撃銃と同じ4.56mm無薬莢ライフル弾を使用。
装弾数は60連マガジンが二つで計120発。
ニ液混合式の発射薬は高効率のマガジン式の物を銃杷部分に装填する。
重量は3.9kgである。
サイドアームとして自分の愛用しているワルサーP99を携行している。
 クラークはこの銃にレーザー・ポインターを装着し、弾薬にホロー・ポイント弾を使用している。

「こいつはユニオン級の見取り図だ・・・こいつをもう一度しっかりと頭に叩き込んどくんだ」
 ロックウッド少尉が真剣な顔で言う。
「この作戦はスピードが命だ。もし迷子になったらしゃれにならんからな・・・」
「解っています・・・」
クラークは静かに頷いて見取り図を見つめていた・・・。

・・・以前おこなった、オルトロスの突入訓練が役に立つときが来たか・・・
 クラークはそんな事を考えながら野戦服の胸ポケットに手を伸ばしていた。
が、途中で手を引っ込めた。
・・・何やってんだクラーク、煙草はやめたんじゃなっかたのか?
 ・・・親父と兄貴が死んで以来・・・・。
 『クラーク!煙草はやめろと何回言えば解るんだ!』
・・・親父の小言も、いまとなれば懐かしいな・・・・・

「クラーク?どうかしたのか?」
ロックウッド少尉が怪訝な顔をして聞いてきた。
「いえ、何でもありません。・・・ちょっと昔の事を思い出しただけです」

 クラークはそう答えると改めて目の前にある見取り図に集中し始めた。
今は感傷に浸っている時じゃ無いな・・・やるべき事をやらなくてはな・・・・


その後、時間は流れるように進み出撃時刻を迎え彼ら17名は出撃して行った。