『セイちゃんの受難・検査はお好き?』 ロックウッド:作

RR曹長指揮下のスキマー隊が到着したのはもう日も暮れる頃だった。今日も今日とて敵本拠地の捜索に出撃していたのである。

「隊長、三日連続はやっぱり疲れますね」
「まあな・・・ん!? なんだあいつは?」
ちょうどセイちゃん(当年9歳)が半裸でシャワー室から飛び出してきたところである。
「なんだ子供じゃないっすか、結構可愛い子っすね。男だけど」
「いや・・・部隊内にはあのような子供はいない・・・」
「覚えてるんですか、部隊全員+家族の顔・・・」
「当然だ・・・」
 その時後ろ見つつ走っていたセイちゃん(当年9歳)がRR曹長にぶつかってきた。そして、其処で何をどう間違ったのか、こう叫んだのである。
「パパ助けて!!」
「・・・・!! (アセアセ)」
(待てよ私に子供なぞいるはずが無い、大体私は幼い頃から戦場にいたんだから、、子供!?いやよく考えろ、、確かあの時はいやそれじゃなく(以下無限ループ))
「(つんつん)隊長? 固まってる・・・」
 しょうがないので部下Aが事情を聞いたところ、マディックの子供「らしい」と言う事が判明した。次の瞬間RR曹長の態度は豹変しセイちゃんを半ば連れ去る形で普段は使われない・・・しかし捕虜をつかまえた時には良く使う部屋へ連れていった。
 (守護天使小隊の抗議は「安全保障のため」といってRRが無視した)
「まずは官姓名を言いなさい」
 セイは先ほどとは全くといっていいほど態度が違うRRにおびえ始めていた。それにこの部屋は自分にむけて眩しいほどの明りが照らされているのだ。
「・・・名前はセイです。マディックって僕のお父さんで・・・だいたいおじさん誰なの?」
「君には質問する事は許可していない! がよいだろう、私はロバート・ロックウッド曹長だ。現在は本ブラッドハウンド中隊の偵察小隊に所属している。」
「なんだメック戦士じゃないんだ。」
「・・・君は何か誤解をしてはいないか? 君のお父さんも元は偵察兵だった。そしてこの基地にはメック戦士の何倍もの人たちがメックを最適の状態で稼動させるために働いている。ある者はメックの整備をし、ある者は偵察をし、また食事を作る者もいる。それらの人々に支えられて始めてメック戦士は戦えるんだ。決してメック戦士は特別な人間では無い。ただメック戦士氏族の家庭に生まれメック操縦が出来ると言うだけの存在だ。だが巨大な力を手にしたメック戦士の中にはそれを理解せずただ無法を働いているものもいる。君がメック戦士になると言うのならばそう言った人間にはならん事だ。もし無法者となってしまったら私が君を殺すよ? まあ人の痛みを知る人間になる事だ。解ったか?」
 セイはまだよく解っていない様だが、ただ怖くてかコクコクとうなずいていた。

それからしばらくしてセイの尋問は終了した。
「中佐、とりあえずあの子供には怪しい所は見られません。また部屋にセットされたX線等の機器にも反応は見られませんでした。」
「うん、解った。しかし随分君はあの子供に関心を示していたようだが、君にしては珍しいな」
「・・・・・昔の知り合いによく似ていただけです。」
 それっきりRRは過去を話そうとせず、敬礼を一つして部屋を出ていった。そして、心の中でつぶやいた。
「あの時、あいつにもこう言う話をしてやれる奴がいればよかったのだが・・・」