さっきはぐれそうになっちゃいましたよ・・・・・・。 ・・・・・・そうか、すまない。 では、こうして俺が君の手を握っていればはぐれることがなくなるし、 歩く速度も調整が取れるだろう。 再び、人ごみの中を歩く二人。 ・・・・・・れ、零一さん、やっぱり早いですよ。 着物だと歩幅がいつもより小さくなっているので・・・。 零一さんの早さだと、私、転んじゃうかもしれません・・・。 ・・・・・・わかった。気をつける。 零一は軽く握っていたを手を今度はギュッと力を入れて握った。 そしてそのまま境内に続く道を歩いている途中あることに気がついた。 ・・・・・・。 気のせいであって欲しいのだが、皆の視線が我々に注がれている気がしてならない。 俺と君がこうしているのは何か不自然か? いいえ、そんなことはないと思いますが・・・・・・。 うむ。そうか。 では、ただの俺の過剰な意識に過ぎないということだな。 それなら、よろしい・・・・・・。 零一さん、顔赤いですね・・・・・・。 ********** 神前でのお参りを終え、人もまばらな裏道を歩いている途中・・・・・・ 手はしっかり(もしくはちゃっかり)繋いでいる。 コホン・・・。 さきほど君は相当真剣に祈願していたな。 一体何を願っていたんだ? え?零一さん、私の願いごとが気になるんですか? いや・・・・・・あんなに真剣な君の表情は定期試験でもそうは見られないからな・・・・・・。 もう!どういう意味ですか!私はいつでも真剣ですよ! しかし去年より賽銭を大分奮発していただろう? ・・・・・・ そんなに気になるんでしたら、教えますよ。 そのかわり零一さんの願い事も教えてくださいね。 俺は願い事などしていない。 えー?本当ですか? 私の横でちゃんとお賽銭投げて手を合わせていたじゃないですか。 あれはしきたりに従っただけだ・・・・・・。 零一さんも強情ですね。 私、ちゃんと見ましたよ。 真剣に何かをお願いしている零一さんの顔を。ちょっと呟いていたような・・・。 な?!君はあんなに真剣に願っていると思ったら、横目で見ていたな? 全く・・・・・・。 そんなことより・・・・・・ はいはい。私の願いごとを知りたいんですよね。 じゃあ、耳貸してください。 フム。 しゃがんでの言葉に耳を傾けようとする零一。 ・・・・・・まだ高いですよ。 もう少ししゃがんでください。 ・・・・・・こうか? 零一がまた少し腰を落とすと丁度の口元が零一の耳の高さになった。 しかし、次の瞬間の口元が向かった先は零一の頬だった。 チュッ・・・・・・ はわざと音を立てて唇を離した。 なっ?! 零一は大いに驚き声を翻らせた。 頬を赤くさせ周囲を確認している。 誰かが見ていたらどうする・・・・・・。 ウフフ・・・・v 願いごとは他の人に言ったら叶わなくなっちゃうので言いませんよv ・・・・・・全く、君は。 でも、零一さんの願いごと、気になるなぁ〜。 に顔を覗き込まれ慌てて視線を逸らした先にしっかりと握られた彼女の手があった。 零一は高鳴る胸の鼓動より自分の願い事が 自身の手を伝わってに悟られているのではないかと思っていた。 彼が願ったことは 「と今年も沢山触れ合えるように・・・・・・」 |