神秘色の沼と展望の山
天頂山は、知床峠南西に位置する1000級の山であり、登山道はなく積雪期に計画する。
知床峠は、羅臼と宇登呂間の知床横断道路の中間最高点に位置して、冬期間は閉鎖されて4月末に除雪が完了と報道されるも1000〜1530が車両通行可能時間帯である。
知床峠からの山行には、予備もない短時間と制約を受ける為自転車で知床峠往復を計画する。
深夜に知床自然センターに到着して車中泊、早朝鹿が群れるのを横目に知床自然センター近傍の知床5湖方面との分岐点にある封鎖ゲートを抜ける。
霧で遠望できない天候下、壊れそうなMTBのペダルをスキー靴で踏むも背中のスキーが妙に重たく、ノロノロと高度を上げる。
知床峠までは終始なだらかな傾斜道路が続くも、超遅いペースで過去、自転車ロードレース時代は、軽い車体に細いタイヤでこの道程度ならと又ペダルと靴が噛み合っているので転倒すると自転車と一体となり地面にたたきつけられた事もあったと想い返す。
休憩は、この際道路中央にと荷物を一杯に広げて冷気に煙草の煙が流れ、妙に静かと道路中央に横になりいい気分!!。
高度をのんびり上げる辛抱の時間帯が続き、道路標識に20.5Kmを見ると右手に「愛山荘」が疎林の雪景色に有り立ち寄る。
濃霧と強風の景観に高所情緒を感じると無人の知床峠にやっと到着し、展望が皆無の中、豊富な積雪に登山ルートを探すが農密度の灌木と背丈の高いハイ松に阻止されて再三の突撃失敗。
霧が薄れ道路まで引き返して、地形を大観しルートはと開豁部斜面を探し、斜面に取り付き順調に高度を上げて819m高点南側300m付近を過ぎると突然眼下に神秘的な色彩の沼を見て、回復傾向の天候下に不思議な色合いだと雪面に座る。
沼上部の急勾配斜面を慎重に切ると再び急勾配上部にハイ松に覆われた頂上部へと続くピークを見ながら慎重に斜面を切り、山頂 方向の尾根筋に寄り道と向かう。
勾配の強い斜面灌木に高度感を覚えて、ハイ松漕ぎの末に雪溶けが進む羅臼湖が台地に広がり、その上部に知西別岳の山容が望め、今回の目的は知西別岳偵察も兼ねており山容を眺めつつ経路を探し来春は是非訪れたいと思いを巡らす。
再びのハイ松漕ぎから、天頂山へと雪面を拾いハイ松漕ぎに樹木に囲まれた木標もない狭い頂上部である。
大きく裾野を広げる羅臼岳・開花地した裾野を広げる知西別岳等にここは知床!!時間は自由と昼寝の時間!!
下山途中、風に乗って人の声…眼下の知床峠は銀座の賑わいと道路に出ると先程の人声GP(NEOSツァー10人程)が、沼までの往復であり楽しそうに開豁中斜面を滑り降りてくる。
道路から天頂山を見上げルートを追うと私の迷歩は信じられない簡単コースが上部へと連なりガックリ…濃霧の影響をまともに受け自分の地図判読と現地地形読みの未熟さに反省である。
峠よりの帰路は、登りのうっぷんを晴らすぞと自転車に跨ると背中のスキーもあり、強風に左右往生で後方から車両が近づくと怖くて、短い足を地面に着地できる体勢を確保…登りと変わらないスピードにガックリ!!
再びの「愛山荘」で昼食しながら、この愛山荘は冬季登山者を対象に網走山岳会が管理しており、ストーブと豊富な薪が備えられて、山小屋特有の香りに過去、この時期に鳳凰山荘(南アルプス)にて10日間ランプの灯りの下、堀炬燵に湿気った布団をかぶった当時を懐かしく思い出す。
この山は、知床峠から望め距離的には比較的近いも、途中に勾配の強い雪面横断もあり注意を要するが、神秘的な沼と展望に優れた良き山である。
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知床峠
A 沼
B 天頂山頂上部
B 羅臼岳
C 知西別岳
D 愛山荘
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