春近しの雪壁
  
1999.5.15/単独
           安政火口コース
       
「十勝岳温泉〜安政火口〜三段山南側斜面〜三段山」


 三段山は、通常夏山登山では対象の山として登られる事は少ないが、厳冬期の十勝岳連峰の写真又春山スキーのメッカとして季節を限定して人気がある。
 例年にない雪の世界は人気がなく、雲上に白き峰々が気品高く聳えて、別世界の領域でと残雪の十勝岳連峰を眺めながら、アイゼンがガッチリとかんだ雪面に足跡は残らないと振り返りながら、安政火口手前で幾筋の足跡が途絶えて富良野岳方向には、踏み跡がなく稜線上にセッピが張り出し、登山が危険な状態であり、冬季の山は難しいと感じる。
 左手に三段山の急斜面に特徴ある大岩と長い雪渓が点在し、三段山への直接ル−トと判断し、急登にアタックを開始する。
高度を上げるとともに、緊張感が増し、岩場と雪渓にル−トハンティングしながら進むが、左手に巻くと断崖であり引き返し、高度感と滑落の危険性にル−トを探しながら断念もと考えながら 大岩を右手に迂回し、雪渓を見上げるようにして登るが、急傾斜面にかかり、直登は危険度が大きく無理と判断し、雪渓を慎重にジリジリと横断する時間が長い!!……滑落の緊張に必死にピッケル・アイゼンの前爪を頼りに4点支持状態に緊張し、「登ることはできても下ることはより難しい」と実感しながらやっとハイマツ地帯に入り込み、これで滑落する事はないと雪渓を眺める。
ハイマツ地帯から稜線までは距離が短く、視界が開け十勝岳を望むと力が抜け、ル−トを振り返るが急すぎて下方の雪面地帯しか見えない。
 このような急斜面の雪面は久しぶりてであり、踏破できた事に現時点では満足するが少々無謀であったと反省するとともに、冬山は雪渓が点在し、いくらでもル−トがあるが危険性もあり技量に応じた登山が必要と痛感する。
 三段山頂上には、吹上温泉からの山スキ−登山者が5名いて「貴方はどこから登ってきたのですかと聞かれ、大岩からと答えるとビックリした顔で……」頂上からは、写真の好ポイントだけあり、旭岳・噴煙の十勝岳・安政火口と上ホロカメットク山・富良野岳が快晴の青空に白銀に映え素晴らしい景観を見せる。
 下山は、通常夏季温泉口のル−トを下るが雪面に踏み跡はなく、ハイマツ地帯にかかると道を失いながらも、高度を下げると登山口に立つ陵雲閣が眼下に望まれ、三段山の断崖を下降できるル−トを探し一般登山道がある平坦地に到着し、雪面にピッケルで穴を掘り昼食。
 一人山行でもあり、吹上温泉の風呂【無料】に浸る……施設はなく沢沿いに露天風呂があり、テレビ等でも紹介されるだけあり、素朴な自然の醍醐味に手足を伸ばす。
@ 富良野岳
A 安政火口から三段山ルート
B 三段山から上ホロカメットク山
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