頂上からの大斜面滑走
桜前線は、道南の函館まで北上し本格的な春到来、スキーを持参して陽気な息吹一杯の田園風景の国道から木々の芽が膨らむ緑豊かな山麓を白銀温泉へと向かい十勝岳山麓の望岳台分岐点から吹上温泉への道路は未除雪にてゲート閉鎖である。
今年の連休は、連日快晴が続き青空と雪面が映え、リュツクにスキーを付けて、望岳台からの大量の残雪はまぶしく、汗も吹くが登山靴は堅い雪に心地よく、先行者の姿が高く遠いと美瑛岳への分岐点を過ぎ直進する。
十勝岳避難小屋からは、夏道ならば左手の沢を渡り尾根にとりつくが、正面の凹地斜面へと直進すると一段と傾斜が増し、雪原の階段状に点々と続く足跡をたどり、美瑛岳・富良野岳そして火口噴煙に十勝岳等との大きな景観が広がり、自己の存在の小ささにこの一歩が無情に感じる頃、一層傾斜が増し、アイゼンを付けて辛抱の時間帯が続く。
冷風が急激に吹き抜けるグランド火口は、夏季ルートからは常に眼下に見るも、春山は歩ける場所がコースであり、夏とは異質の景観が広がる中、十勝岳頂上直下の急斜面ルートへと火口の底から上がると斜面は急峻であり、慎重に足を運ぶ。
眼下遠方には、富良野盆地が長い雪国から解放された色豊かな風情を見せるが、ここは深い残雪に白一色の世界、頂上の輝きに一歩つづ近づく。
岩場混じりのルートを自由に拾いながら右手に回り込むと十勝岳頂上であり、後方に白き「旭岳」・「美瑛岳」、前方には「富良野岳」そして遠方には「トムラウシ山」等容易に人を近づけない白き大雪山の山並みの景観が雄大一望に広がり、登りの苦労が報われる。
頂上で、強い陽差しを一杯に浴びながら、スキーの滑走ルートを確認し、一気に火口部までパラレルターンで降下、非常にスピード感があり、自然地形の広い急斜面を自由奔放に滑るのは、心地よく満足感が大きく、特に十勝岳避難小屋の上斜面は、絶好の斜度で十分に春スキーを楽しむことができ、長いコースを一気に滑るも避難小屋から望岳台までは斜度も緩まり、ステップターンで加速しながらのんびりと汗を流す。
雄大な十勝岳を振り返り、重い荷物を背負い長時間の登りに費やした苦労を短時間にあの斜面を滑走したのだと、満足感を十分に味わい観光客で賑わいを増した望岳台に暖かさを感じ、何度目かの頂上からの春スキー登山を終える。
@ 十勝岳より美瑛岳(前年)
A 十勝岳から富良野岳(前年)
B 十勝岳から富良野岳
C 十勝岳頂上
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