最高峰と高所自然風呂
        
1999.9.23/単独
             
旭岳登山口〜天人ヶ原〜裾合平〜中岳温泉〜中岳分岐〜間宮岳〜旭岳〜天人ヶ原〜旭岳登山口


    北海道の最高峰として、白い噴煙を上げる「旭岳」は紅葉の季節到来とテレビ等で.紹介されることが多い季節となり、山麓からのロ−プウェイは、長期間運行停止の工事中で、過去に下山路として利用したルートを登る。
 過去の登山道は、道なき状態であったが、沢山の登山者姿に登山道がしっかりと整備されて便利な乗り物でなく、自分の足で北国の最高峰を極めるのが真の登山と痛感すると、徐々に紅葉の季節を実感しながら青空の下に高度を上げる。
 第二天女ヶ原の湿原地帯から旭岳頂上部を眺めながら比較的歩きやすい道沿いに秋の気配を強く感じ、振り返ると樹海の中に旭岳温泉街が望まれ、急斜面の人工階段を登り詰めると、ロ−プウェイからの人気のない登山道に合流し、「旭岳」の全貌が冷たい空気に浮かび汗をかいた喜びを実感する。
 夫婦池及び姿見ノ池等を巡る登山道から、本日は「大雪山の高所にある唯一の露天温泉」中岳温泉へと夫婦池を過ぎて、広がりのある裾合平から旭岳の北側斜面の裾を横切る。
 正面に北鎮岳から永山岳へと連なる一連の山並みが大きく、昨年の10月に黒岳石室の寒さに震えて一夜を明かし、愛別温泉へと歩いた稜線が紅葉と青空に映えて、登山道に熊の糞を三カ所発見した頃、「天上の楽園」と言われる裾合平の空間は、大きく大雪山ならではと実感する。
 裾合平分岐を右折し、草原地帯から渓流を越え、深い渓谷の岩場地帯の沢水に温泉独特の濁りを見ながら高度を上げると「中岳温泉」と言うより二人程度が入れる浅い自然の手堀り岩風呂である。
 九州からの男性が一人」この温泉が夢でしたと言いながら「青空」の下、施設もない露天温泉に満足した顔……早速に隣を堀り直して湯に浸りながら、これぞ何時間もかけた登山者にだけに与えられる「金」では買えない精神的にも贅沢な時間空間を2時間程味わう。

 中岳温泉からは両側が岩壁に囲まれた岩場地帯を越え、尾根へと上がると風は冷たいが、俄然展望が良くなり、砂礫に緑がなくなり景観が変貌する。
 尾根道の四周に山並みが展開し、中岳分岐からは、正面にお鉢平、黒岳、赤岳、白雲岳そして後方に旭岳振り返れば裾合平に一筋の道が延びて雄大に望まれ北大雪の山が広がる。
 旭岳へと気持ちの良いお鉢コースを回り込み、間宮岳分岐を折れ、正面に北海道一の標高を誇る「旭岳」の黒々とした急登斜面を望みながら、静かな空間に熊ヶ岳の噴火口次いでテント場、そして最後の「旭岳」の草木のない砂礫地の急斜面に足が非常に重く、眼下に湖沼が、数多く点在し、過去この旭岳の急登で道を失い、樹海地帯に迷い込み、SOSの信号を残し、白骨化した登山者を思うと自然気象は驚異と痛感する。 
 疲労困憊状態で、頂上に立つとこの旭岳の裾を半周したのだと実感し、感慨深く腰を下ろし、静けさに雄大な景観を堪能すると冷たい風に震える。
 露天風呂に浸り過ぎたのか時間を予想以上に要したと足早の下山途中に沢山の登山者が見え、紅葉の時期も手伝い人気の高さがうかがわれる。
 
@ 旭岳
A 裾合平
B 安足間岳
C 熊ガ岳方向から旭岳
D 姿見の池

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