奥深き野性味の秀峰
イドンナップ岳は、日高山脈の支稜線に位置するエサオマントッタベツ岳とカムイエクウチカウシ山の中間から西側へと派生する稜線の最も西に東西4Km程の屋根型の山容を見せて日高山脈への好展望の山でもある。
この山は奥深いが、昭和60年代の電源開発によって車道が新冠湖奥へと延びた経緯もあり、以前のルートとは違う現在の登山道は、新冠山岳会によって開削されたとあり、遠き道を代表する一山に先人の苦労が偲ばれると体感する。
登山口へと新冠町から71号線に入り「泉」集落の泉第二バス停の分岐路「岩清水・新冠ダム線」標識に直進すると程なく舗装が終了する三叉路を再び直進して、22Km付近に新冠発電所があり、更に1.5Km地点の新冠ダムに深夜到着する。
新冠ダム堰堤を渡り、新冠湖沿い林道の10.3Km付近に架かる札内橋を渡った先に林道分岐広場があり、右手に「札内線/イドンナップ岳登山口」標識と登山届ボックスがあり広場で車中泊する。
翌早朝、イドンナップ岳を往復するには食事等も含めて13時間は必要とあり、出発時間によっては新冠富士又は三角点までと大きく左右されると0330起床し、林道広場で出発準備中、昨夜に糸納峰(イドンナップ岳)山荘に宿泊したGPの3台の車両が札内線林道へと入るのを見送りながら朝食である。
サツナイ沢沿いの札内線林道を、浅瀬渡渉点を渡る箇所もあり、鬱蒼とした林道景観の林道終点(登山口)は1.6Km程であり、駐車広場もあるが、私は1.1Km程入った地点の沢広場から歩き始めると林道終点から更に200m先までは普通車でも進入できる。
2GPの1組は出発し、後発1組に挨拶をして、先行とサツナイ沢の河原歩きから程なく二股で、標示テープに従い左岸に上がり、右股に方向を変えると短時間で沢景観を終えて、942(売山)東側の作業道にて山腹を切り、高度を上げコル部に出ると尾根歩きに変化し、高度差のない緩やかな道も本格的なアップダウンの登山道へと変わる。
この山は、ロングランの稜線歩きが特徴で精神的・肉体的にもタフさが要求されるコースで、忠実に尾根歩きを続けると先行GP(男女各3人:この中に後刻知る事となる女性が!!)に追いつくと男子3人が私の後につく。
途中、岩稜部を巻く箇所にロープ等もあるが、特に危険な箇所はないと振り返ると、遠望稜線に高度感を感じ1200m付近の尾根筋右手からは、待望の新冠富士が朝の涼けさに望まれ新冠富士までの中間地点付近である。
1404m高地手前からは尾根筋右手を辿り、大きくアップダウンを繰り返して、新冠富士を実感すると急登斜面が続き、辛い時間帯には花畑が広がり、シラネアオイが群生している。
新冠富士の北西尾根に上がり、雪渓に涼んで屈曲のダケカンバ林の急登を終え、頂上部を囲む短いハイマツ帯を緩やかに抜けると待望の新冠富士の頂上である。
破損した頂上標識がある狭い頂きからは、三角点・イドンナップ岳又端正な幌尻岳が遠望されるが南西方向は雲がわいていると無人の静寂空間に時間が流れる。
後着した3人の男性GPの山標定の会話を聞きながら、予想時間より早いと三角点へと向かう道筋は稜線部から外れ中間点付近までは結構明確であるも、稜線北側次いで笹藪とハイマツに不明確となる稜線南側歩きから再び明確な道筋に変わると三角点からイドンナップ岳への稜線ラインが青空に浮かぶ。
三角点の頂上部は狭く、イドンナップ岳が稜線上にコブのように同高度に盛り上がり、時計を眺めると余裕時間と引き続きの稜線歩きは、非常に歩きやすく道筋も高山雰囲気を漂わせて、アップダウンを繰り返すと岩稜がハイマツに覆われた砦の見晴台のようなイドンナップ岳が眼前にある。
コル部から短い急登の末に立派な頂上標識があるイドンナップ岳頂上は狭く、登山口から5時間15分後の頂きであったと看板を撫でて、深山気分を暑い陽射しに堪能する。
帰路への時間的余裕は十分とゆったり気分で再びの三角点には女性3人GPが休憩中で、一角での昼食中の会話にHP「私の歩いた日高山脈」のK女史で、「日高に燃えて」の著者でもあり、私は過去にS氏/函館から凄さを聞いてからはHPを訪れていたが…ここでお会いできるとはビックリと感激で、思わず松ヤニで真っ黒の手で握手を求め嬉しい限りである。
後刻メールをいただき「おはぎ3個をペロリと平らげた様子に感激」とあの時は小枝でつまんで食べましたが、いずれにしても、足元にも及ばないが刺激を受ける存在の人との出逢いでした。
長い帰路は、辛抱意外何もなくアップダウンを繰り返してサツナイ沢の登山口に出ると、初夏の香りに大満足しながらロングコースの情景を振り返り山行を終える。
登 り
5時間15分
(休憩含む)サツナイ沢登山口 下 り
4時間10分
(休憩含む)3時間40分 新冠富士 40分 三角点 30分 イドンナップ岳
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1404南西付近から新冠富士
A 新冠富士からイドンナッブ岳と幌尻岳
B 三角点直下からイドンナップ岳と稜線
C イドンナップ岳
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