海に浮かぶ鋭鋒
  
2003.08.16〜17/単独
                
1721m

鴛泊〜北麓野営場〜長官山〜避難小屋〜北峰〜沓形分岐〜三眺山〜沓形登山口〜沓形


 利尻山は、利尻島全体に裾野を広げ四周を海に囲まれた1700m級の鋭山であり、稚内市から島への船旅もあり、情緒溢れる旅気分での山行を楽しむ。
 利尻山は、我が街から比較的近距離で登頂は容易であるが、北海道の山を多少とも歩き、北海道200座達成の記念にと、長年の間密かに胸に抱いていた憧れの山であり、鴛泊ルート〜沓形ルートへの一泊縦走に199座目となるを山行を計画する。
 稚内市からフェリーが離れると、以前2年半程勤務していた当時を岬半島に思い浮かべ、観光客の歓声に北海道の夏を謳歌する季節と海面を眺め、小さな旅の始まりである。
 利尻島の鴛泊港が近づくも、利尻山が裾を広げる島下部しか見えない中、0935下船して、本日は鴛泊ルートの避難小屋までと、埠頭から北麓野営場標識に従い利尻山神社次いで利尻富士温泉を見て、緩やな舗装道路を55分程歩くと三号目の北麓野営場で設備が充実しカラフルな沢山のテントも点在し、大半の登山者は、ここでテント泊して翌日に頂上を目指すが、私は翌早朝の展望を期待し又沓形ルートへと縦走も視野に入れ、予定通りに前進する。
 野営場から500m程で東屋の建つ甘露泉水で、喉通りはまろやかと水補給してズッシリとする重みを背中に間もなくポン山との分岐である。
 良く踏みならされた登山道は、五号目(高度:610m)までは樹林帯に覆われて、展望がなく、下山者と挨拶を交わす辛抱の時間が続くとトイレブースがある五合目で鴛泊港等の展望が広がり、次いで長官山を見上げる六合目広場に飛び出ると、素晴らしい景観が一気に広がる第1展望台で、ポン山・港等が爽やかである。
 ここからは植生がハイマツに変わり、尾根筋を実感しつつ高度を一気に上げながら、イワギキョウが咲く岩場を抜けると石碑が建つ長官山であり、晴天時は利尻山の山容が見事であるが霧に包まれて視界はない。
  稜線歩きに傾斜が緩くなり高度を下げると3名の大学生が先着する避難小屋が樹林に包まれるように登山道沿いにトイレブースと隣接して建ち、床半分は2段で30名程の登山者が収容できるが水場はない。
 夕刻、避難小屋の直上から眼下の沓形港方面を眺めていると一瞬の時間に霧が晴れて、利尻山が荒々しい山容を見せ、大学生と感嘆の声を上げて高い!!としみじみと眺める。
 翌朝、薄曇りに利尻山の急峻な山容を眺めつつ、赤茶けた大崩壊部斜面が間近になるとトイレブースのある九合目で頂上部の岩場を高度感をもって眺める。
 勾配も強まり、ハイマツ・ロープ等を手掛かりに一気に高度を上げると、丸い火山礫に登山靴が滑り非常に歩きにくい斜面に登り・下り標識地点が沓形ルートとの分岐である。
 崩壊が進捗する壁面に高度感を強くすると社がある北峰で、本日一番乗りと西大空沢とローソク岩が高度感を実感させてくれる静かなる高所を味わう。
 利尻山の最高峰は、200m南の南峰であるが、切り立った岩稜を伝う登山道は細尾根で高度感も結構あり立入禁止である。
 祠のある北峰で朝食を摂りながら、眼下の長官山・ポン山・姫沼・鷲泊・沓形そして北の果ての海に長年の夢だったと弧高に静かな時を2時間程過ごす。
眼下に登山者を避難小屋から延びる登山道に散見される中、沓形ルート分岐から高度を下げるように急峻な岩場を抜け、大岩壁下のガレ場(沓形登山口には、親知らず子しらずの名)を切ると程なく、魅力ある山容の三眺山で、小広い頂上部には小さな社がある。
 三眺山からの眺めは実に迫力があり、利尻山頂上部からローソク岩下部等に渡る鋸状の稜線景観は、北アルプスを思い出すと魅力ある展望をスケッチブックでもと思う。
 下山ルートの沓形から鴛泊へのバス時間には有り余る程の時間的余裕と長時間楽しむ。
鴛泊ルートとの分岐から三眺山までは、緊張感のある岩場地帯であるが、三眺山から沓形登山口までは、植生豊かで当初の「馬の背」は低灌木とハイマツに高度を落とすと八合目標識(登山口まで7.9Km/頂上まで2.9Km)次いで標高960m付近の夜明かしの坂にトイレブースを過ぎ、駒岩の坂・見晴の台を過ぎ、笹が混じると標高770mに避難小屋が建つ。
 人気の感じられない小屋は、6畳程のブロック造りで木製の長椅子があり、真中に円卓があるだけで、床がなく寝場所の確保は難しい。
 五葉の松を経て、高度が落ちない足元が滑りやすい登山道に涸れ沢を抜けると突然、見晴台公園下の標高410mの登山口に出る。
 舗装道路に程なく観光客で賑わう公園広場で下山へと腹ごしらえ後、時間の余裕は十分過ぎる程と5.5Kmの舗装道路をトボトボと歩いて沓形バスターミナルの裏手海岸で、裸になり、海を眺めながら旅気分に山行を想い返す。
 フェリーが、利尻島を離れると利尻山の頂上部が霧に霞み、別れを惜しみ、船人となり稚内港が近づくと懐かしい「宗谷岬」の曲が流れ、北の果ての小さな一山旅を終える。

利尻山登山にあたって
・登山ルートは、鴛泊ルートと沓形ルートの2本あるが前者が圧倒的に登山者が多い。
・沓形ルートは、分岐点からは岩稜の急峻地帯でロープは終始あるも「親知らず子知らず」を通過するまでは要注意で、特に降雨時は落石の危険性が大である。
・沓形コースの避難小屋は、宿泊にはあまり適さない。
・この山も環境問題が深刻であり、携帯トイレの使用は登山者の必須である。
・水場は、登山口周辺のみでしか得られない。
・鴛泊ルート下山後は、利尻富士温泉を楽しめバスも運行されている。
・縦走時の沓形から鴛泊間のバス運行(730円)は、平日と休日があり時刻表を要確認。
    宗谷バス(株)利尻営業所  利尻郡利尻町沓形 TEL 4−2550

鴛泊埠頭 1時間 北麓野営場 3時間05分 鴛泊避難小屋  
鴛泊避難小屋 1時間 頂上(北峰) 1時間10分 三眺山 2時間 沓形登山口 1時間15分 沓形

@ 鴛泊ルート避難小屋と長官山
A 避難小屋付近から頂上部
B 頂上(北峰)とローソク岩
C 三眺山
D 三眺山から北峰とローソク岩
E 三眺山から南西尾根

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