迷子に苦戦した雄峰
    
2000.10.14/単独
           白井右股川コース
「白井右股登山口〜右股川林道〜登山口〜.932〜分岐〜北東コル〜ケルン〜余市岳」


余市岳は、札幌市の最高峰で余市川の水源にこの山の名が由来し、全体的にふっくらとした大きな山容である。
 道央の山は私には、未踏部分が多く定山渓温泉から紅葉の定山渓天狗岳を過ぎ、沢橋を渡ると立派な「登山ポスト小屋」が建ち、定山渓天狗岳と余市岳との分岐で、右股川林道に入ると深い山間渓谷に谷間の紅葉が見事で林道に静けさを実感しつつ、緩やかな時間帯が流れ、白井小屋分岐を過ぎると林道脇の大木に直接ペンキで「余市岳」と書かれて、こんな導標は初めてである。
 登山道に入ると踏み跡形跡が薄く落葉が積もる樹林内の間隙から遠方の山々は頭部が雪に白く輝き、徐々に高度を上げると時折、初雪に頭を下げたササが登山道を塞ぐ場面が断続的に続き、振り返りながら見通しの効かない道を確認するが、山奥へと心細さにルートが不明確である。
 コルに小さな池を眺めると周囲は完全に雪景色、笹が密集し背丈を越えて、立っては進めなくなると太い笹の根元を這って歩くことも度々で頭上からは笹の重たい雪が降り落ちて雨具を通して完全にズブ濡れ状態である。
 寂しい不安な時間帯が続き、断念すべきかと前進・後退かと迷い、振り返ると笹に積もった雪が足跡を消して後退方向も定まらず、霧に霞む無意根山から派生する稜線を眼前にして、前進と方向を定めて、笹と雪との戦い…それにしても、非常にピンチであり、動揺を隠せない!!
 時間が予想以上に経過し、距離が延びないままコンパス標定で無理矢理に前進すると突然、稜線に広い登山道が……鮮やかな白い雪道に点々と幾つかの足跡がなだらかな稜線に延び頂上へと続いている……不安な苦しい末に、確かな登山道の展開にやっと安心できる場所に出たと虚脱感……ドッと空腹に疲労と足が重たい。
 頂上へと新雪を踏み、高度を上げると頑丈なハイマツの下を這い、展望が開けると完全な冬季の世界に強い寒風が広い台地の頂きを吹き抜ける。
 立派な遭難者のレリーフが建ち、思わず若き御霊に手を合わせ、広い丘のような平坦な道を進むと真冬の景観余市岳頂上!!
 広い頂きからは、遠方に無意根山、振り返ると小樽方向の日本海の青さが印象的であり、随分と苦労をしたものだと寒風に震えながら痛感し、唯一の登山1組のGPにルートを訪ねると、札幌側と小樽側があり、私が登った札幌側は廃道状態であるとの事、下山を開始すると苦労した分岐点、登った登山道を笹道の根本に探すが、笹の落雪と暖気で溶け雪面に足跡はなく白井二股への登山道を再び引き返すのは危険と判断し、小樽側の快適な秋深しの紅葉を眺めて高度を下げ、沢を渡るとキロロスキー場リフトで快適な登山道口である。
 登山1組のGP(高校の先生)に同乗し、ホテル等の豪華な建物そして小樽港の米空母「シティホーク」の威容を眺め、朝里駅で下車、札幌の妹に迎えに来てもらい定山渓までの長い車中に今日の一日を反省し以下教訓。
★ルート確認は、数冊の本で確認
★ コンパスは必需品を再認識
★ 携帯電話の電池は、万全に
★ お金は、多少持ち歩く
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