厳しき沢筋の弧峰
       
2003.09.16/単独
                  
1587m

ヒュッテ〜札内二股橋〜コイカクシュサツナイ川〜右股〜ピラトコミ山〜南東沢〜ヒュッテ


 ピラトコミ山は、中日高のカムイエクウチカウシ山東側に位置して、日高主脈から外れた1500m級の弧峰であり、地形図には「ピラトミ山」と掲載されているが、誤りと知り、興味を覚えていたが、この山頂を目指す登山者は稀であり、ルート情報も皆無にて計画する。
 登山口へと上札内から「ひょうたんの滝」標識に札内川渓谷沿いに数多くのトンネルを抜けると、覆道手前に道路封鎖ゲートがあり札内ヒュッテが建つ。
 翌早朝、札内二股橋を渡るとコイカクシュサツナイ岳登山口標識に左折、短い林道は終わり、広い河原のコイカクシュサツナイ沢に入渓すると直ぐにピラトコミ山への右股があるが、入口は狭く半信半疑で進むと程なく谷間が広がり砂防提を3度巻く。
 流木の墓場の感の景観が続き、590m付近からは、函・滝が相次いで出現して、大半を高巻きを繰り返すと標高800m付近からは、左岸は高い岩壁が続く大きな景観に函・大滝が高く連続して続き、私の技術ではとても無理であり、最上部の大滝上部の流れを目標に右岸に一気に高度を上げて、最上部の大滝の高さまでと目測しながら藪を漕ぐ。
 比高差があり、遙か眼下の滝・函連続の地形状況の細部は不明であるが、下部は草地斜面が沢沿いに続き、とても下降は危険であり、沢の状態を確かめる気にはならない。
 山腹を切り幾つもの小沢を渡り、緊張感と体力消耗が続き、この山は私には無理なのかと下山を何度か考えながら木々と笹に捕まりながら必死に最上部の大滝上部を目指す。
 やっとの思いで再び沢に降り立ち、比高差200mの大高巻きであったと一難を越えると再びの連続した滝を巻く。
標高1300mで涸沢となり、愚直に稜線へと小沢を直線的に低灌木の藪薄い枝に捕まり、急勾配が一定に続き、高度を辛抱強く上げるとついに頂上直下の稜線に辿り着く。
 左(南側)へと尾根筋の鹿道を辿ると、3畳程の草地尾根の一部が待望の「ピラトコミ山」頂上であり、木々に周囲が囲まれているが、幸運にもカムイエクカウシ山とコイカクシュサツナイ岳方面が視界が開け、見事な鋭い山容が、紅葉斜面を従えて雄大に聳える。
 多難であったと、標識も標石も何にもない草地に裸で横になり、陽射しを浴びながら弧峰の空間を味わう。
下山ルートは、登りに使った右股沢は勘弁してほしいと地図を眺め、これ以上厳しくなる事はないだろうと幸いな事にGPSに予備経路を入力してあり、南東沢の下降を選定する。
 下山と尾根筋の鹿道を快適に辿り、1550m付近から尾根筋を変えるが、灌木の藪斜面に尾根筋の特徴が掴めなくコンパスとGPSにて方向修正しながら高度を深い藪に下げる
 1190mから沢源頭に入り、1100m〜840m付近まで再び滝が連続して出現し、高巻き・懸垂下降を幾度となく繰り返し、地形を読みながら高度を下げるのも一難去って又一難である。
 ザイル長が30mであり、沢に降り立つのにザイル限界高度も幾度か現れて、支点確保点まで高度を下げるのに緊張する時間が続き、予備の20mを携行していないのが悔やまれて教訓となる。
 滝は650mまで続き、沢の流木を支点にして、シャワーを全身に浴びる場面もあり、やっとコイカクシュサツナイ沢の広河原に出るも、予想以上の時間を費やしている。
 登り下り共に時間的に限界であったと、精神的にも疲労困憊であり、虚脱感の中、何とか無事下山できたとシャワーを浴びた体に、舗装道路並のコイカクシュサツナイ沢の渡渉を繰り返す度に、寒さを感じながら沢も終わりの時期かと広河原を一人歩く。
全般
 この山への他ルート細部は不明ですが、今回私が使用したルートは、厳しく中・上級者は別としてお勧めとは言えません(独断意見)

札内ヒュッテ
登り 13分 下り
4時間55分
コイカクシュサツナイ沢入渓
5時間
ピラトコミ山頂上

@ 登りの連続した大滝
A 頂上からコイカクシュサツナイ岳
B 頂上からカムイエクカウシ山
C 下りの連続した大滝
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