長旅の静寂深山
芦別岳は、夕張山地の最高峰で岸壁・沢歩き等バリエーションルートを持ち北海道では数少ない鋭鋒である。
富良野市を経由し、山麓の山部自然公園が登山口であり、ルートは2本で今回は登りを旧道のロングコースで沢筋の緩急に踏み跡が少なく、下りの新道コースは通常の尾根歩きコースの全体的に健脚者ハ−ドコースである。
林道終点からユ−フレ川左岸沿いに沢音を聞きながら高巻きを幾度となく繰り返し、ある時は沢に出て道を探しながら又滝を眺めながらと変化に富む。
鉄製梯子を登るとユ−フレ小屋分岐で、小屋には、一人の宿泊登山届け記録があるも無人であり、踏み跡を沢筋に探しながらの人気は全くなしの少し不安状態が続く。
巨大な夫婦岩が霧にかすむ頃、今朝は自宅を2時に出発したので寝不足に加えて熱射・空腹と前段のオ−バペ−スがたたり、最終水場を過ぎ、笹混じりの急登にかかると空腹で足に力が入らず、喉の乾きを我慢しながらパンを少しづつ口に押し込みながら進む。
頂上までの時間が見えない苦しい時間帯が続き、北尾根に出ると小屋泊まりの登山者に追いつき初めて人との出会い、ルートは間違いないと確信し安堵感が広がる中に先行する。
北海道の山では珍しいミニアルプス的な岩峰乱立のやせた岩尾根キレットのアップダウンを繰り返すとやっと夕張岳が霧にかすみ、平坦な山頂直下のお花畑に出ると頂上に登山者が散見される。
緩やかな広い斜面のお花畑で、タバコの煙が流れると鋭い岩稜尾根の乱立景観からこのような優しい世界が広がり、自然の偉大さに心地よく、霧雨に休憩する。
頂上直下の岩綾帯を登り詰めると狭い芦別岳頂上には、新道ルートからの数人の先客が完全な濃霧にたたづむ…長く淋しかった道程と感慨深い。
下山は、ノーマルな新道ルートへと泥濘化した滑りやすい急勾配に一気に高度を下げて樹林に囲まれた雲峰山、コル部の小湿地帯に熊ノ沼とあるが不明、そして「石碑:旭川西高校」が建ち、「鐘」がある休憩場所に適する樹林に囲まれた半面山を過ぎ、対岸に苦しかった登りの象徴の夫婦岩を望み高度を下げると、眼下には緑の水田と十勝連峰を望み暑さに汗が吹き出る。
芦別岳へは、この新道が安心コ−スではあるが、終止樹林に囲まれた変化の少ない長尾根歩きの連続で忍耐が要求され、今だからいえるが旧道コ−スは変化にとんでいると比較しながら、2時間半の下りに新道入口で、山行を終えるが、下山途中の反面山直下コルに建つ石碑の意味が新道登山口に建つ大きな旭川西高校遭難碑に刻まれた遭難状況は
「昭和30年6月3日、教師2名・山岳部員13名が碧空の青空の下、半面山に至ると俄然、喉の乾きを訴え、熊ノ沼で水を求めるも得られず、深い本谷へと沢水・雪渓を求め2名が遭難したものであり、私も今回水で比較的苦労したので実感として手を合わせる。
真夏日の炎天下、頂上では水不足でラ−メンを作れなかったと汗をかきながら腹ごしらえ、霧に包まれた頂上を思い浮かべる…長かった!!
@ 夫婦岩
A 北尾根キレット
B 芦別岳頂上
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