稀布岳 南北横断の変化ルート
稀府岳は、伊達市の東に聳える里山の雰囲気で、端正な山容を山麓から眺められるが、頂稜東斜面は迫力ある岩壁を巡らす山でもある。
先日、伊達紋別岳から眺めた稀府岳北西尾根の鋭い凹凸尾根に興味を覚えて、この際南側の沢筋を辿り、北西尾根を伝っての縦走を計画する。
単独行の弱みで、下山口となる稀府岳北側に流れる谷藤川沿い林道の渓谷付近に、自転車を残置しつつ高度感のある断崖を見上げ、尾根下降ルートを探すもザイルが念の為に必要である。
登山口へと稀府駅から国道次いで高速道路下を抜けて山側へと直線的に向かい、大規模な採石場に入り、牛舎川に架かる右手の橋を渡りゲート解放状態の林道に入る。
林道には500m単位に標識があり、牛舎川左岸沿いの緩やかな林道左手に、山麓からの山容とは全く表情を変えた稀府岳の迫力景観を見上げ、2.7Km程進んだ地点から鬱蒼たる斜面に牛舎川支流の沢筋地形にルートを決定する。
水流の少ない牛舎川に降り立ち、支流沢に入ると苔岩も点在するが多少の藪沢に順調に高度を上げて、二股(標高390m)を左股に進むと稜線ラインが高く望める。
標高560m付近の岩場を左手に迂回して、笹が覆うガレ沢を忠実に辿ると沢形地形も終わり、のびやかな笹斜面に広がる背丈の高い笹藪を掻き分けて、稀府岳北側に派生する岩稜と672Pとのコルに出る。
笹一面の広い尾根筋からは、伊達市と内浦湾が広がり、快適な時間帯に引き続き笹を掻き分けて、頂上部へと続く岩壁の西側を辿ると、笹の尾根筋に三角点がある山頂であり展望は良好である。
この頂へは、HP「一人歩きの北海道百名山」の坂口氏が南西斜面の尾根にて621Pを越えて、GPS初デビューにて山頂を踏んでおり、長くゆったりと続く南西尾根ルートを眺める。
これからが、南北横断の本番と笹原の広がりが心地よい672Pへと引き返し、尾根筋を標定後、伊達紋別岳方向と再び藪を漕ぐが苦にならない。
笹に足元が隠れ、尾根筋も狭くなったりと注意を払いながら、尾根分岐を地図判読しつつ緩やかに凹凸を繰り返し高度を緩やかに下げる。
東側がスッパリと切れ落ちる箇所もあるが、西側に巻くことができ、細尾根に立ち塞がる天狗岩に無難に到着するが、大岩の見事なバランス景観に溜息である。
天狗岩以降は、笹は完全に消え低灌木の細枝が痛くなると、凹凸が俄然厳しくなり、灌木を抜けようとすると、突然足元が消えるような岩場尾根が出現し、予想以上に時間が流れる。
下山口となる林道を眼下に探すが遙か下方であり、高度が意外と下がらないが、秋日和に気楽に眺望を楽しむと、沢音が下方から響き林道を間近に確認!!
自転車を残置した沢からの断崖が近くなり、問題は下降ルートであり、ルート偵察と空身で岩場の尾根を伝い覗き込むが、木々の密度が薄くザイルは30mと心細く又この迫力景観に気負けして、ザックデポ地点から下降する事にする。
途中1度ザイルを使用するが、木々の密度が比較的濃く、意外と楽に谷藤川沢に降り立ったと、林道広場から自転車に跨り登山口へと14Kmのペダル漕ぎである。
暑い陽気、山麓から山容を眺めながら、何もここまでして横断する理由もと自問自答しつつ憧れだった横断山行を無事終える。
参照:
日高の大きな山行に同行させていただいた「一人歩きの北海道百名山」の坂口氏が辿った南西尾根ルートです。
牛舎川入渓 |
1時間35分 |
稀布岳 |
2時間10分 |
谷藤川沿い林道 |
1時間15分(自転車) |
牛舎川登山口 |