リゾート地域の静寂なる山
石山は、北日高のトマムスキー場(占冠村)の南側に位置し、「石山」の山名は北海道にも幾山あるが、鹿追町の1439mに次ぐ1000mを越える山である。
登山口へと狩勝国道(国道38号線)の「落合」から石勝線のガード下を何回か抜けるとゲレンデが広がる「アルファリゾート・トマムスキー場」であり、トマム駅を登山口とする。
Naさん(「地図がガイドの山歩き」チーム員)とトマム駅裏手の中トマム林道へと石勝線の鉄道をスキー装着で横断して林道に出る。
林道の積雪量は多いが、暖気に雪が重く衣類も濡れながら、緩やかに取り付き点へと向かうと後方では華やかなスキー場のアナウンサーの声が響く。
北東尾根の取り付き点に約30分で到着、積雪量の豊富な広い斜面に緩やかに高度を上げるが、樹木の密度が濃厚で雪質も重い。
北東尾根に辿り着くと樹林の間隙からトマムスキー場が望まれ、これからは顕著な尾根を辿る。
尾根筋の東側は雪も豊富であるが斜度が強く、西側は緩斜面であるが笹藪の露出部分が多く又風雪も強い状況であり、小さな凹凸を繰り返す尾根筋をラッセルする。
荒れ模様の天候、風雪も時間と共に悪化する状況に黙々と高低差のない尾根に岩場の迂回を交えたラッセルが続く。
標高950mを越えると疎林帯に変わり、白き急斜面の深雪をトラバースして尾根筋を辿るも、再びの急登に頂上が遠い。
頂上直下にやっとの思いで辿り着くも、頭上には雪庇が張り出し強風に雪煙が舞い、迂回して上がる事もできるが、厳しい気象条件を考慮して山頂を約30m目前にして断念する。
同行者の装備・体調を確認し、スキーシールを外して急斜面の滑降開始である。
深雪の雪質は重く、ターンに苦労するNaさんを振り返りながら、トレースの消えた尾根筋の安全地帯に逃げ込んでホッとする。
スキーが絡まる尾根筋からは、トマムスキー場と高層ホテル群が眼下に広がり、華麗な旅気分とは随分と世界が違うと濡れ気味の寒さが体に凍みる。
濃密な樹林斜面はスキー操作が難しく標示テープを回収しつつ、順調に高度を下げると明るい林道に降り立つ。
登山開始から下山まで大休止もなく、季節外れの多湿の雪に体もスキーも重い条件の中、最後まで弱音を言わずに頑張り通したNaさんも、ホッとしたのか疲れた表情に腰を曲げ…お疲れさまでした!!
トマム駅で暖を取りながら、わびしくも美味しい「自前ソバ」でお腹を満たしながら、無事下山できたと、降り注ぐ雪を窓から眺め思い返す。
トマム駅 | ||
登り 3時間40分 |
30分 | 下り 2時間20分 |
南西尾根取り付き | ||
3時間10分 | ||
山 頂 |
1
剣小屋付近から朝陽
2 南西尾根からアルファリゾート・トマムスキー場
3 山頂部
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